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26. 告白 ②
普通ならまぁ、おはようとかそんな感じから話すだろうし、正直昨日のことがあったから、病室に入るや否や、そのあたりに突っ込んだ話をされるかと思っていた。
だって、勢い余って告白したんだぞ?
それをなかったことに……とは言わないまでも、『それは置いといて』みたいな感じになっているのは、おれとしてもどうもムズムズしてしまう。
でも、言い逃げとも言える形を取ったのも、おれ自身だ。
「うん……。もう大丈夫。朝も普通に御飯食べられたし」
昨日目が覚めてから暫くの間は、身体が思うように動かないもどかしさがあったけど、今は身体も思考回路も正常だと思う。
昨日のことはしっかりと覚えているし、なかったことにしてくれなんて思わない。
蒼人が結婚すると分かっていても、おれのこの気持ちが嘘だったとは思いたくはない。
おれのわがままでしかないけど、本当の気持ちを伝えられたのは、良いタイミングだったと思う。
蒼人は近いうちに正式に結婚するだろうから、その前にそっと距離を置こう。
とりあえずは、北海道に行くのも良いかも知れない。広大な大自然の中でゆっくりしてから、日本を離れようか。
「……本音をいうと、おれは麻琴 にすべてを話したくない」
おれがごちゃごちゃと考えていたら、蒼人の絞り出したような声が聞こえてきた。
一人の世界に入りかけていたおれは、はたと我に返り、蒼人の方を見た。
「喫茶店でのことも、学校でのことも、全て調査が完了している」
「え……」
「正直、麻琴にとってショックなことも含まれていると思う。……それでも、聞きたいか?」
蒼人は、苦しそうな表情で聞いてくる。
すべて警察に任せているのかと思ったら、蒼人も協力してくれていたのだろうか。
真相を話したくなさそうだったけど、ここで聞かなかったら、逃げていたら、ずっと後悔すると思う。
「……おれは、全てを知りたい」
きっと、真実を告げる蒼人だって辛いはずだ。そんな思いをさせるのは心苦しいけど、前を向くために必要なこと。
大きく深呼吸をしたあと、蒼人の顔をしっかりと見て、大きく頷いた。
「分かった……。気分が悪くなったら、すぐ言うんだぞ?」
「うん」
蒼人はおれの返事を聞いたあと、少し考えた様子で室内を見回し、壁際に設置されているソファーへ腰掛けた。
そして、自分の膝の上をポンポンと叩く。
「麻琴。こっち来て」
言われるがままにそばへ近寄ると、ぐっと腰を掴まれ、いつものように、膝の上へと腰掛ける形になった。
そして後ろからおれをふわりと抱きしめると、「肩、大丈夫か? この姿勢でも平気か?」って耳元で囁かれたから、ドキドキしながら頷いた。
顔が熱いよ……。
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