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33. 太陽に報告 ②

「お前らさ、昔から少し言葉が足りないんだよ。きっと他の人にはわかり得ない、意思通じるものもあるんだろうけどさ、でも結果こんな事になってんじゃん? もっと、ちゃんと言葉にしろよ?」 「うん、それはさっきうちの親にも言われた」 「だろ? ……でもさ、麻琴は怖い思いしたかもしれないけど、ほんとこれくらいで済んで良かった」 「うん……」  おれらの母親か何かだろうかと思うくらい容赦なく、でも愛ある言葉を並べてくる。  中学からの付き合いではあるけれど、おれ達の両親が信頼するほどに、太陽との関係は深くなっている。  そんな太陽からの言葉は、心の中までじっくりと染み渡っていた。   「太陽には、色々と迷惑をかけた。麻琴を見守っていてくれてありがとう」  的を射た言葉を言われ黙ってしまっていた蒼人が、ゆっくりと口を開いた。  そして、深く頭を下げた。 「これからは……。今度は間違えなく、俺が麻琴を守っていく」  蒼人の決意表明を、太陽はウンウンと嬉しそうに頷きながら、耳を傾けている。 「俺達は、番になる約束をした。……そして、結婚を前提の付き合いをすることになった。さっき、お互いの両親に報告をしてきた。……両親の次には、太陽にちゃんと報告をしたい」  理由も言わずに、ただ見守っていてほしいだなんて、本来なら身勝手この上ない頼みごとに対して、太陽は蒼人を信じ何も聞かず、おれの側にいてくれた。  ピンチの時蒼人に連絡してくれたし、太陽がいなかったら……そう思うとゾッとする。  そんな太陽にだから、ちゃんと二人揃って報告をしたいと、こうやって呼び出したんだ。  太陽は蒼人の言葉を噛みしめるように何度か頷いたあと、顔を上げニヤリと笑う。 「……で。お前ら、付き合ってんの?」  太陽に初めて会った時に言われた言葉で、治験の前に荷物を届けに来てくれた時にも言われた言葉。  もうおれ達の合言葉のようになっている言葉を、このタイミングで言ってくるところが太陽らしい。    おれと蒼人は顔を見合わせ合図を送るように、ニッと笑った。 「「付き合ってるよ!」」  二人の声が重なる。  みんなが期待していた答えは、これなんだと思う。  それなのに、本気でおれは『付き合ってない』って答えていた。  みんなにびっくりされるのも当然だ。    おれと蒼人と太陽の三人で、再び顔を見合わせると、盛大に吹き出した。 「やーっとかぁ……。長かったよなー」  一通り笑い終えると、太陽は感慨深そうにつぶやいた。

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