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34. おれ達、付き合ってるから! ①
日ごとに増していく暖かな空気に春を感じる頃、おれ達は胸に卒業生と分かるコサージュを付け、通い慣れた教室で旅立ちの時を待っていた。
今日は高校の卒業式。
色々あったから、卒業式には出席しないつもりでいた。
けれど、あれからだいぶ落ち着いたし不安も取り除かれた。最後くらいは顔を出しても良いじゃないか? と、蒼人 と二人で決めたんだ。
……それに、クラスメイトに報告したいことも出来たし。
「おー、森島 と由比 じゃないかー。久しぶりだなー。元気だったかー」
「ひさしぶり。元気元気」
普通に学校に通っていれば、一月末まではクラスメイトと顔を合わせていたはずだ。
それを待たずに休学してしまったのだから、みんなとこうやって会うのは久しぶりになる。
オメガクラスにアルファがいても、何の疑問も抱かないクラスメイトの変わらない姿に、思わず笑ってしまう。やっぱり卒業式のために学校へ来てよかったなと思った。
普段の朝とは違い、式典当日はゆっくりとしている時間はない。
みんな支度を済ませ、体育館へと向かった。
◇
厳粛なムードの中、滞りなく卒業証書授与式は執り行われた。
あちこちですすり泣く声も聞こえる中、おれ達は教室へと戻り、担任からのメッセージと帰りの挨拶まで済ませた。
そしてその後は、意中の人へ思いを伝える恒例行事なのだが、今年から花束を渡すのは禁止とされてしまった。
以前から、複数人に渡されてその後の対応に困ってしまう生徒もいたため、協議がされていたらしい。
「ちょっとみんなに話があるんだけど」
支度をして教室を出ようとしているクラスメイトもいた為、少し声を張り上げて教室内に伝わるように呼びかけた。
その声に答えるように、近くにいた数人の生徒が、なになに……と言いながら近寄ってきた。
みんな用事もあるだろうし、手短に済ませようと前置きなしで告げることにした。
「おれ達、付き合ってるから!」
単刀直入すぎただろうか。
でも、あれこれ余分なことを言っても意味は無いし。簡潔に事実を伝えるのがベストだと思う。
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