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34. おれ達、付き合ってるから! ②
「えっ?」
「はっ!?」
おれの言葉に、おそらく教室にいるほぼ全員が、一斉にこちらを見た気がする。
それどころか、廊下にいた生徒まで、驚いた様子でこちらを見たり、バタバタと走って寄ってきたり、廊下で驚きの声を上げたりしていた。
「マジか!」
「ほんとに付き合ってんのか?」
質問責めにあいながらも、うんと頷くと、何故か教室の内外で大きな拍手が沸き起こった。
「やっとかー!」
「長かったなー」
「おめでとう!」
「良かったなー!」
あちこちから、安堵の声と祝う声が聞こえてきた。
そんなに? って思うが、それだけみんなに心配してもらっていたのかと思うと嬉しくなった。
けど、この反応を見る限り、やっぱり気付いていなかったのは、おれだけだったというのが分かる。
そんな中、とある一人のクラスメイトがすっと一歩前に出てきて、おれのすぐ目の前で立ち止まった。
「……じゃあ、卒業式恒例の、あれ始めるか。まずは俺!」
一歩前に出てきた奴が、そう言いながら挙手をすると、コホンと咳払いをした。
「この際だから言わせてもらおうと思う。……おれ、中学の時からずっと、由比のこと好きだったんだ。でも森島がいたし、見込みがないのは分かってた。だから、やっと付き合うって報告を聞けて本当に良かったよ。……おめでとう」
驚きの告白のあと、すっと手を出して握手を求められた。だからおれはそれに答え手を出す。
「そ、そうだったのか。……びっくりしたけど、ありがとう」
一人のクラスメイトの告白を皮切りに、俺もと手を挙げる生徒が他にも出てくるし、蒼人が好きだったという告白もあったし、他のクラスメイト同士でも、実は好きだったと教室内で告白大会になっていた。
この学校の恒例行事とは言え、この盛り上がりは凄いなとしばらくポカーンと眺めていた。
その告白大会の最中、一緒に帰る約束をしていた太陽 もやってきた。
太陽を見つけたクラスメイトは、今度は太陽にまで質問責めをする。お前は知っていたのか? って。
事前に報告済みだったから、太陽は「当然知っていたさ」と自慢気に鼻を鳴らしていた。
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