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34. おれ達、付き合ってるから! ③
「やっぱり、お前ら三人はこうじゃなきゃなー」
久しぶりに並んだ姿を見て、クラスメイトが感慨深そうにそう言った。
アルファとベータとオメガがいつも一緒にいるなんて、珍しいと学校でも噂されていた。
でも、おれ達三人をよく知るクラスメイトにとっては、この並びもいつもの光景だったんだ。
「じゃあ、みんな元気でな」
欠席するかもしれないと思っていた卒業式にも出られたし、クラスメイトに大切なことも報告できたし、もう用事は済んだし思い残すこともない。
「おう。またそのうちみんなで集まるから、参加しろよ?」
「その時はまた違う報告が聞けると良いな」
「さあ、どうだろな?」
クラスメイトの言葉に、おれは笑いながら軽くはぐらかすと、蒼人と太陽と一緒に教室の外へ出た。
これで最後か……と名残惜しく思いながら、通い慣れた校門をくぐった。
「麻琴 も蒼人も、卒業式に出られてよかったな」
今回の事の成り行きを大方把握している太陽は、心底安堵したように言う。
「うん。太陽にはたくさん世話になったし、これからも迷惑かけるかもしれないけど、よろしくな」
中学から高校と、同じ道を辿ってきた三人だけど、ここでそれぞれの道へと分かれる。
太陽は、この高校を選んだ動機となった、バース性の専門性の高い大学へ進学が決まっている。
県外の大学なので今ほど頻繁には会えなくなるけど、ずっと付き合える友達だと思っている。
「じゃあ、またしばらくは会えないけど、連絡するから。元気でな」
「うん、太陽も元気で」
相変わらず、蒼人は言葉を発しないまま、おれの隣でウンウンと頷くだけだった。
太陽はいつもと変わらない蒼人の様子を見て嬉しそうに笑うと、じゃあなと手を振って違う道へと歩いていった。
「いつも一緒にいたから、なんかちょっと寂しいな」
「またすぐに、連絡することになるさ」
太陽の背中を見送りながら、ちょっと感傷的になっているおれに、蒼人はニヤリと笑って言った。
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