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34. おれ達、付き合ってるから! ④

「なんで断言出来るんだ?」 「次のヒートに、番になるって約束しただろ?」  間髪入れずに返ってきた答えに、おれの顔は一気に熱くなった。  そうだ。確かに、約束をした。  おれと蒼人は番になって、結婚も前提の付き合いもして、一生並んで歩んでいく約束をした。  何一つおかしいことはないし、恥ずかしいことでもない。  蒼人はおれをまっすぐに見つめると、先程の少し意地悪そうな笑いではなく、愛おしそうに優しく微笑んだ。  「この前のヒートの時は、学生だからと手は出さなかった。けど今日は卒業式だった。……だからもう、我慢する必要はないと思ってる」  いくら恋愛に対して無知だったとは言え、流石にその言葉の意味することはおれにだって分かる。  ただ、経験のないおれにとっては、未知の世界過ぎて戸惑いを隠せないのも事実だ。 「麻琴……」 「ひゃいっ」  あれこれ考えて一人でワタワタとしていたら、蒼人の顔が直ぐ側まで来ていた。  耳元で名前を呼ばれて、変に声が裏返ってしまう。 「今夜、麻琴を……抱くから」  耳元で、おれにしか聞こえない声で、蒼人はそう宣言した。  完全におれの頭は爆発したと思う。  いつもは無口な蒼人が、こんな大胆なセリフを言うなんて。  こういう時には、なんて言うのが正解なんだろう。  ……そんな事、分かるわけがない。  「おっ……おてやわらかに……おねがいしま、すっ」  おれは、蒼人の顔を見ることのできないまま、精一杯の返事をした。   (終) ✤✤  これで本編完結です。  お付き合いいただき、ありがとうございました。  完結はしましたが、まだ気になる点が残っていると思います。  ただ、基本的には麻琴視点でお送りしたので、麻琴が知り得ないことは物語として描いていません。    今後、番外編?スピンオフ?という形で、首謀者の二人の星司と月歌に何があったのか……など書けたらいいなと思っています。    そして麻琴と蒼人のことはもちろん、太陽のことも書きたいなー。(結構太陽ファンが多いのです) このあと、単発の番外編が3つあります。そちらもお読みいただけたら嬉しいです。

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