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番外編 オムレツ(蒼人視点)③
我ながら、家事スキルが高くてよかったなと、こういう時は思う。
そして材料の確認をし、ここにあるもので足りると分かると、テキパキと準備を始めた。
まずは卵液を作り、滑らかになるまでこし器でこす。フライパンを火にかけ、バターを焦がさないようにしながら、卵液を入れる。ヘラで半熟になるまで混ぜる。そこで一度火から下ろし、濡れ布巾の上で卵の形を整える。
……と、あと少しで出来るぞーって麻琴を呼ぼうとしたら、後ろからどんっとぶつかる衝撃。え?と思って見ると、麻琴が腰にしがみつき、ぎゅーっとエプロンを握りしめていた。
「危ないよ」
まだ火をつけて仕上げをしないとならない。近くにいると危ないのだが、俺から離れる様子はないので、そのままにしておくことにした。
後ろからは、まだ鼻をグズグズとすする音がする。
「おれが、作りたかったのに……」
ボソボソと言うのが可愛くて、口元が緩んでしまう。
「今度一緒に作ろう」
返事の代わりに、背中には顔を擦り付ける感触があった。
形を整えたオムレツは再び強火にかけ、表面を固めてからお皿に盛り付けた。
そして赤ワインを煮詰めケチャップを入れてソースを作り、オムレツにかけて、付け添えを乗せて完成だ。
「ほら、出来たぞ」
そう言ってオムレツを見せると、さっきまでべそをかいていた麻琴の顔が、ぱぁぁぁっと笑顔になった。
「美味しそう!!写真撮ろ!」
自分で作りたかったといじけていたのはすっかりと彼方へ追いやられ、俺と二人で出来上がったばかりのオムレツを持って、記念撮影を始める麻琴。
そんな満面の笑みの麻琴を眺めながら、次は手取り足取りオムレツの作り方を教えてやるか……と、やっぱり緩む口元を抑えられずにいた。
✤✤✤
一ノ瀬麻紀の誕生日&一次創作デビューの日6/2はオムレツの日。
……と言うことで、トリュフさんからお祝いでイラストを頂いたので、SSをつけさせてもらいました🫶
本編の麻琴より幼いかなぁ? と心配してたら、でも可愛いから良いと思います! というフォロワーさんからの心強いお言葉を頂いたので、挿話、蒼人視点として公開させていただきました🙇♀️
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