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父親の言うことを信じられないのか片方ずつ訊いてくるのを、オウム返しに言った。 もしくは、やはり母親が風邪を引いてしまったのは、自分達のせいなのかと責めているのかもしれないが。 しかし、こんなことをいつまでもしていても仕方ない。 「二人がいい子にしていれば、お母さまはすぐに良くなるよ。だから、今はお着替えをして、お父さまと待っていようか」 「「うん⋯⋯」」 小さく返事する二人に「いい子」と頭を片手ずつそれぞれ撫でた。 昔、よく葵に対してそのようなことを言ってはいっぱい頭を撫でてあげていた。 葵は嬉しそうに頬を染めて笑ってくれたが、一度裏切った葵に「悪い子」と柔らかくて白い肌に罰を与えると、最初のうちは嫌がって泣くこともあったが、段々と悦んで啼くようになっていったのだ。 あの頃のような葵はもう見れそうにないが、今の反省しているようには到底思えない葵の身体に罰を刻みつけて啼かせるのも愉しい。 罰を与え、生々しい傷を刻むのは自分しかいないのだと思うと。 葵の時は我先にと着替えさせてもらおうとする二人が、今は大人しく順番に着替えていることに、そんなにもかと思った。 着替えやすくていいが。 小さく礼を言う二人に「どういたしまして」と微笑みかけた後、自分も身支度を整え、二人に言った。 「さ、朝ご飯を食べに行こうか」

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