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最初、一口だけでもいいから食べてと言って、二人がその通りにした時、「えらい」と褒めて頭を撫でたらその気になってくれた。 褒めさせてその気にさせるか、それとも何かに夢中にさせて気を逸らせるか。 周りを見渡した時、ある箇所に目が止まった。 「新、真。お父さまと一緒に遊ぼうか」 「⋯⋯」 二人はゆるりと顔を上げ、それからお互いに顔を見合わせた後、「あそびたくない」と声を揃えて言った。 「どうして?」 「だって、おとーさま、いつもいないから⋯⋯」 「なにしてあそぶの⋯⋯?」 「そんなの、二人がいつも遊んでいることをすればいいんだよ」 再び新と真はお互いの顔を見合わせた後、それぞれの片手を差し出してきた。 「「こっち」」 呆然とした。 これは誘われているということなのか。 葵とこのようなことをしているのだろうと思いつつ、その小さな手をそれぞれ繋いで共にその箇所──二人の玩具などがしまわれている場所へ行った。 玩具がきちんと片付けられているところを見ると、葵がちゃんと教育しているということを感じ取れる。 というのも、葵自身も誰かに言われるまでもなく、きちんとしていたからだ。 手のかからない子でえらかったが、今は着ているものを乱して、だらしなく足を広げたりと手のかかる悪い子になった。 その手のかかることをするのもこれまた酔狂。 「あーはこれ」 「まーはこれ」 ガサゴソと遊ぶものを選んでいた二人は、それぞれ掲げてみせた。 新はボール、真はお絵描き帳だった。 これはまぁ見事に分かれたなと苦笑していると、声を揃えて言った。 「「あそんでー!」」

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