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4.
最初、一口だけでもいいから食べてと言って、二人がその通りにした時、「えらい」と褒めて頭を撫でたらその気になってくれた。
褒めさせてその気にさせるか、それとも何かに夢中にさせて気を逸らせるか。
周りを見渡した時、ある箇所に目が止まった。
「新、真。お父さまと一緒に遊ぼうか」
「⋯⋯」
二人はゆるりと顔を上げ、それからお互いに顔を見合わせた後、「あそびたくない」と声を揃えて言った。
「どうして?」
「だって、おとーさま、いつもいないから⋯⋯」
「なにしてあそぶの⋯⋯?」
「そんなの、二人がいつも遊んでいることをすればいいんだよ」
再び新と真はお互いの顔を見合わせた後、それぞれの片手を差し出してきた。
「「こっち」」
呆然とした。
これは誘われているということなのか。
葵とこのようなことをしているのだろうと思いつつ、その小さな手をそれぞれ繋いで共にその箇所──二人の玩具などがしまわれている場所へ行った。
玩具がきちんと片付けられているところを見ると、葵がちゃんと教育しているということを感じ取れる。
というのも、葵自身も誰かに言われるまでもなく、きちんとしていたからだ。
手のかからない子でえらかったが、今は着ているものを乱して、だらしなく足を広げたりと手のかかる悪い子になった。
その手のかかることをするのもこれまた酔狂。
「あーはこれ」
「まーはこれ」
ガサゴソと遊ぶものを選んでいた二人は、それぞれ掲げてみせた。
新はボール、真はお絵描き帳だった。
これはまぁ見事に分かれたなと苦笑していると、声を揃えて言った。
「「あそんでー!」」
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