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just memories 4

悠斗さんが好きだ。 合宿のあの夜から、明確に都築は自覚した。 悠斗の何が好きで、どこが良いのかと言われたら曖昧だ。 顔の造形はタイプど真ん中だし、おしゃべりで優しいところも大好きだ。 だけどそのどれもが決め手ではなくて、でもやっぱりどれもがそうな気もする。 ただあの夜から、いつも心の片隅に悠斗が居るのは確かで、確実に都築の心をつかんで離さずにいた。 長い夏季休暇が終わりようやく始まった二学期、都築は陸上部の先輩に文化祭までは折り紙同好会にも週二回ほどは参加したいと申し出た。 悠斗に会いたいというのが一番の理由だが、実際文化祭への出展作品はなかなかの大作になる予定で、それぞれに結構頑張らないと11月の展示までに間に合わなさそうな雰囲気だったのでまるっきり邪な理由だけというわけでもない。 都築の所属する陸上部は県内でも強豪校に入る部で、こんな訳の分からない同好会の活動に時間を割くことなど絶対に良い顔をされないと思ったが、案外スムーズに許可が下りた。 入学するにはかなりの受験対策が必要な難関校は、入ってしまえば生徒の自主性に重きを置いた自由度の高い校風だ。 本人がやりたいということを、無理して留めるようなことはしない。 身体がなまらない程度に練習は出るようにと言われただけだった。  悠斗に今までよりもたくさん会える。そう思うと嬉しかった。 同好会内のメッセージツールで、文化祭に向けて悠斗も今までよりは会に参加すると言っていたからだ。 そして今日は、顔を出すよとのメッセージを確認済みだ。 「こんにちは。」 都築が教室のドアを開けると、いつもじゃ考えられないほどの生徒が机に向かって折り紙を折っていた。 端の方では、出来上がった小さなバラたちを絵柄が浮かび上がるように貼り合わせている生徒もいる。 「都築じゃん。」 挨拶に気づいた悠斗が手を上げて応えた。 目を細めて笑うその顔が眩しい。 「都築、陸上部の練習平気なの?」 「はい。顧問の先生から許可貰えたんで。」 「そっかー。正直助かる。もう果てしないから終わる予感しなくて。これでも夏休み中にも頑張ったんだけど。」 困ったような顔もきれいで、かわいい。都築がその表情に気を取られていると、横から続けて声がした。 「多分一枚一枚の折り紙が小さすぎたんだな。」 大きな手でそれはそれは折りづらそうにして柾が言う。 「偉そうに言って、柾は夏休み中部活で全然来なかったじゃん。引退したからやっと来られるようになったくせに。」 「バスケ部引退したんですか。」 「ああ。でも高校でも続けるし、練習はあるけど。」 「あるけど、今はこっち頑張って!この会の存続もかかってるから!」 「はいはい。」 柾の前で話す悠斗は、都築と話すときとでは雰囲気が違う。 悠斗との時よりも少し早口で子供っぽく、気安く少しキツイことも言う。もっとも、元の話し方が柔らかい物言いなのでそこまで変わるということでもないけれど。 だけどちょっとした言い合いも楽しげだ。 「あ、都築はそんな風に思わなくても良いよ。陸上部、地区の記録会もうすぐなんだろ?こっちのことはできるだけでいいよ。陸上頑張れよ。」 気遣ってくれるのは嬉しいけれど、どうしても先輩後輩の関係性なことが悔しい。 促されて悠斗の後ろの席へ座る。 着席した瞬間、あのシトラスの香りが鼻をかすめた。相変わらず良い匂いがしたけれど、この香りの送り主が柾であることは、ずっと都築の心をざわつかせていた。 まあ、単に家業の関係なだけで深い意味はないだろう。 頭の端でそう思い込むようにしていた。自分以外の男から送られた物を使用していることは嫌だったけれど、周りが自分のような性質の人間ばかりじゃないことぐらい都築も承知していた。 ただの友人であろう人物への贈り物に、そんな深い意味があるだなんて勘ぐる方が不自然だ。 ふわふわと悠斗の髪が揺れるたびに香るシトラスの香りに、都築は気にしないようにと自分に言い聞かせた。 いつ終わるのかと疲弊していた暑さも、9月に入り夕方にはだいぶ和らぐようになり、夏の間の設定温度ではエアコンの風が少し肌寒く感じる。 ひたすら折り続けている中ふとそう思い顔を上げた視線の先に、悠斗の腕が目に入った。 悠斗さん、寒そう。 まだ夏服の半袖シャツから伸びる腕は細くて、皮膚の薄そうな肌は無防備だ。 エアコン弱めよう。 そう思って立ち上がろうとした時、それよりも一呼吸早く柾が立ち上がった。 そしてそのまま教室の壁に取り付けられたエアコンのリモコンを手に取って、操作した。 明らかに今までとは違う、和らいだ風が下りてくる。 それから何を言うでもなく席に戻りまた折り紙を折り始めたけれど、心なしかその広くて大きな背中は悠斗の方へ先ほどよりも近づいていた。 わずかに腕と腕が触れ合っているように、見える。 見える、というのは他人に気のせいだろうと言われれば納得する絶妙な距離だからだ。 大体最初からこの二人は距離が近い。 都築は偶然だと言い聞かせて折り紙を続けた。  陸上部に出る日は、三年生のクラスのある方向をよく見上げるようになった。 悠斗がそこから練習を見ていると合宿の時に言っていたからだが、夏季休暇があけてから何度視線を向けても悠斗の姿は見えなかった。 空っぽで薄いガラス窓が並んでいるだけだ。 同好会に居るのかな。 ハードルの片づけをしながら、いつもながらそう考えていると渡り廊下を歩く、見覚えのある姿が目に入った。 都築は悠斗の体の切れ端なら、それがどの部分でも80%くらいの確率で彼だと認識できるようになっていた。目の端に入った人影だけで悠斗だとわかる。 「悠斗さーん!」 都築は大きな声で手を振った。 呼ばれた悠斗もすぐに気づき、足を止めて都築の方へ視線を向けてくれる。 元々茶色い髪の毛は、夕陽を受けて薄赤く染まっている。 悠斗のいた渡り廊下の奥に体育倉庫があるため、都築は片づけていたハードルを持ち上げて駆け寄った。 「今日はもう折るの終わったんですか?」 「そうそう。疲れたー。」 「おつかれさまです。今から帰ります?」 「うん。あとはおれらの展示会場がここだから、サイズ感計ったら帰るよ。」 悠斗が指さしたのは第二体育館だ。一階と二階があり、そのどちらも室内コートになっている。 「え、じゃあおれももう終わるんで一緒に帰ろうかな。」 出来るだけ自然に、さっぱりとした言い方で言って見せた。 もし断られたとしても、同性同士ではよくあるような出来事として返事をする準備をして。 「オケ。じゃあ、どっちが早いか分かんないけど正門横で待ち合わせな。」 「了解っす。」 つい頬がゆるんで笑顔になった。 「なに、かわいい奴め。」 悠斗が都築の脇腹を軽くくすぐってくる。 追ってくる細い指がこそばゆくて、悠斗の腕をつかんだ。 顔を上げると、すぐそばまで顔が迫っている。その時自分の身長が彼に近づいて来ていることに気付いた。2か月ほど前までは、普通に立っていてもすこし悠斗を見上げる格好だったはずだ。 重なった視線の鼻先が触れそうなほどの距離の近さに、眩暈がしそうになる。 細い手首を引き寄せて、自分の胸の中へ抱き留めて、好きですと言って自分だけのものにしたい。 少しずつ、欲深くなっている自分にもまた気が付いていた。 「危ない!!!」 大きな声がして、スローモーションの様だったひとときから急速に現実に引き戻された。 頭上から何か黒くて大きな者が落下してくるのが、視界に入る。 都築は先ほどまでそうしたいと願っていた通りに、悠斗の手首を引いて自分の方へ抱き寄せた。 けれど喜びに浸るような余裕はない。 悠斗の小さな頭を抱え込むような格好を取ったその次の瞬間、目の前が真っ暗になった。 落ちてきた何かに大きなものに柔らかく包み込まれ、そのまま足を取られた。 両手は悠斗を抱え込んでいたの手をついてかばえず、体はその重みごと倒れこむ。 ドン、と鈍い音がして、その場所から痛みが追ってきた。 いってえ・・・。 今この状況がどのようなことになっているのかわからず、ただただそのいたみと、腕の中にある悠斗の体に意識を向けた。 「悠斗さん、大丈夫ですか?」 声をかけるも、返事がない。 「悠斗さん・・・?」 頭は庇ったはずだ。 不安になって、都築がもう一度声をかけた。 途端に目の前がいきなり明るくなる。 「大丈夫か?」 声の端に焦りは滲ませているものの、落ち着いたで話しかけられた。 声の方向に目をやる。 そこにはいつの間にどこから来たのか心配そうにこちらを見ている柾が居た。珍しく余裕のなさそうな表情をしている。 もっとも、柾と都築の目は全く合っていなかったけれど。 「すみません!!!!」 今度は叫ぶような声がして、また違う生徒が走りこんできた。 「すみません。暗幕を張っている途中に、うちの部員がふざけていて窓から落としてしまったみたいです。大丈夫ですか?」 都築のそばへ駆け寄り、悠斗を抱いたままの格好で倒れているところを背を支えてを上半身を起こしてくれる。 暗幕だったのかと、ひとまず安堵した。落ちてきた瞬間からそれ自体に痛みはなかったけれど、得体の知れないものへの恐怖はあった。 よく見ると、暗幕は柾の手に握られていて、まだ大方は自分と悠斗の体にかかっている。 「大丈夫・・・かな。」 努めて明るく言うようにしたが、実際はかなり痛みがあった。 悠斗が華奢だとは言え、もう170センチを優に超えた中学生男子はそれなりに重い。それを抱えたまま受け身なしで倒れこんだのだから、肩へのダメージは相当なものだ。 「悠斗、大丈夫か。」 柾が続けて声をかけると、呆然としていたのか、声も発せられないほど固まっていた悠斗の瞳にやっと光が入った。 「おれは・・・おれは大丈夫。・・・都築は?」 急くように自分を抱えていた腕を取り、上半身を起こして都築の方へ顔を向けた。 「いって・・・」 都築が返事をするよりも先に、悠斗が体の痛みに声を上げた。 柾がすかさず、二人の体にかかっていた暗幕を取り払う。 みると、数分前までは都築が抱えていたハードルが二台、悠斗の足に引っかかるようにして倒れ掛かっていた。 しまった。と都築はそれを見て思った。頭上から何か落ちてくると思い、そちらを優先したばかりに、ハードルのことはすっかり意識から外してしまっていた。手を離した拍子に悠斗の足に絡まる形になったんだろう。 倒れる過程で、足を捻らした様だ。 結果的に考えれば、暗幕自体はそれほど危ないものじゃない。ハードルをしっかり握っておけばよかったと後悔した。 「腕、持つぞ。」 柾は、都築の腕にかけられていた悠斗の手を取った。腰回りを支えるようにして起こすと、自分の肩へ腕を回させ、ゆっくりと立ち上がらせる。 「歩けるか。」 「ん-・・・多分。」 柾に体重の半分を預けて恐る恐る悠斗が足を踏み出すと、案外歩く分には大丈夫そうだった。 「あ、大丈夫そう。」 その言葉に都築も安堵する。 悠斗が歩けないほどに足を痛めていたら、罪悪感で胸が押しつぶされていただろう。 「いや、おれより、」 はっとした表情になり、悠斗がまだ地面に座ったままの都築へ目をやった。 「都築は?大丈夫なのか?肩・・・。」 正直だいぶ痛いけれど、心配そうにしている悠斗を見て、はい。めちゃくちゃ痛いです。とは言えない。 「大丈夫です。けど、擦りむいてるっぽいから、保健室行きますね。」 立ち上がろうとすると、先ほどの駆けつけてくれた男子生徒が手伝ってくれた。 「柾、お前もおれのことは良いから都築をみてやって。」 悠斗はそう頼んだが、柾の手は悠斗を支えた格好のまま動かない。 「都築は秋の記録会が近いって・・・。もし医者に行った方がいいなら親御さんに連絡しないと・・・。おい、柾、聞いてる???」 一向に返事をしない柾にいらつき、悠斗が自分を支えている腕から逃れるように体を引いた。 けれどそれにはすかさず反応した柾が、そうさせないように再び悠斗の体を引き寄せる。 「勝手に歩くなよ。危ないから。」 その言い方には反論など許さないという圧がこもっていた。 しかし柾の言っていることはもっともで、怪我の程度など今の時点で本人の言うことを100%鵜呑みにすることは危うい。 けれども、一方は受け身なしで人ひとり抱え込みながら倒れ、一方は守られながら転倒した。足を捻らせたかもしれないが、衝撃としては少ないはずだ。どちらの方がダメージが大きいかは見ればわかる。 しかも悠斗の言う通り都築はハードルの選手で、大切な肩を負傷していると思われる。 優先順位をつけろと言われたら、都築を先に連れて行った方が良い。 けれど柾はそうしなかった。 「おれと一緒に行きましょう。」 起こしてくれた男子生徒がそう言ってくれ、都築も体を支えられながら一歩踏み出した。 結局二人とも大きな怪我とはならなかった。 転倒した直後こそ痛みがあったが、二週間もすれば二人とも普通に手足を動かせるようになっていた。 「練習、出れた?」 陽も落ち始め、薄暗くなってきた同好会の教室で悠斗が都築に尋ねた。 夏と秋の間では、日ごとに気配を変えていく。同じ時刻でも昨日よりも触れる空気は冷たく、夕陽は余韻のような赤を空に残しているだけで、その姿はもう地平線のかなただ。 「はい。昨日からもう普通に。悠斗さんは?」 「おれはもうだいぶ前に治ったってば。もう余裕で走れるし。」 わざと座ったまま走る格好をとり、悠斗がふざけてアピールする。 「やばい。めっちゃ遅そう。」 「は?遅いとかは今関係ないだろ。」 今度は不機嫌そうな顔を作り抗議してくる。 ころころと変わる表情が眩しい。 悠斗はあの転倒から、都築をずっと気にかけてくれていた。もとはと言えば原因は落ちてきた暗幕にあるのだが、自分を庇ったせいで都築が負傷したと思っているのだ。 しかし実際陸上部の練習はしばらく休むことになったけれど、都築にとってはそんなことより、こうして悠斗が何かと声をかけてくれることの方が嬉しく、もうちょっと重症でも良かったと思っていた。 怪我のおかげで今までよりも話す機会が増えた。 大抵は体調を気遣ってくれるところから始まり、あとはなんて事のない話をとりとめなく話した。 そのおかげで都築は悠斗のことを今までよりもたくさん知ることができたけれど、一緒にいる時間が増えると都築は微妙な違和感にも気づいてしまった。 柾と悠斗が、今までよりも一緒にいることが少なくなったのだ。 お互いに避けているような感じではないし喧嘩をしたというような風でもない。 友人たちと集まって話しているときにはもちろん同じ場にいるし、軽口も言い合っている。そこに気まずそうな雰囲気もない。 ただ、二人でいるということを意識的に避けているように見えた。 以前までなら、同好会で折り紙を折るときは横に並んで座っていたし、二人でよく一緒に帰ったり、カフェテリアで昼食を摂ったりしているのを見ていた。 けれどそれがなくなったのだ。 何人かのグループの中の二人。でいることを選んでいる。 そのことが妙に都築の心をざわつかせた。 おかしい。あんなに仲が良かったのに。 都築は柾が羨ましかった。 悠斗とは違うタイプの男らしい端正な顔立ちに、中学生なのに180センチ近い身長と均整のとれた体つき。 きっと柾なら、あの時悠斗と一緒に倒れたりせずに、しっかりと抱き留めることができただろう。 いつも二人は近くに居て、悠斗に何かあったときは都築が気付くより一呼吸早く柾が動いた。 当たり前のように常に悠斗と一緒にいる柾に、都築はなり替わりたいとずっと思っていた。 それが二週間前から、二人は二人でいることがなくなったのだ。 それは都築だから気づけたほどの自然さで、本当はとても不自然なのに、きっとほかの生徒は微塵も気になっていないだろう。 なにかあったのかな。 「よし、もう今日はここまでにしよ。帰ろうか。」 そう言って悠斗は机の上に広がっていた折り紙を片付け始めた。周りの生徒にも声をかけ、帰宅を促す。 「もうこのまま帰る?」 「はい。陸上の練習も今日はもう終わってるんで。」 「そっか。じゃあ一緒に帰る?」 「はい。」 都築が即答する。 柾とのことは疑問があるものの、その分こうして一緒に帰れることも増えたので、得体の知れない違和感はあまり考えないように努めていた。 教室の片づけをして戸締りをする。鍵を職員室へ帰してから下駄箱へ向かう途中、悠斗が待ってと歩みを止めた。 「忘れ物した。」 「同好会のですか?」 「いや、クラスの方。ごめん、取ってくるわ。」 踵を返した悠斗の背中を見て、おれも行きますと都築が引き留めた。 薄暗い校舎の中に消えていく華奢な悠斗の後ろ姿が、何とも言えず心許なかったからだ。 「なんで?まあ、いいけど。」 訝しむ悠斗と並んで歩き、職員室で教室のカギを受け取った後三年の教室へ向かった。 鍵の合いが悪い木製のドアを開錠し、中へ入る。 都築が三年の教室へ入るのは初めてだった。 中等部の教室は一階から三階までその階数通りの学年が振り分けられている。 二階には同好会の教室があるのと、別棟へと続く渡り廊下があるのでよく上がるけれど、三階へはよっぽどの様がない限り上がることはなかったからだ。 ちょっと待っててと、自分の席へ行き机の中を確認する悠斗を待つ。 見慣れない教室はまるで別世界のようだ。 そうしてぐるりと見渡した教室内で目をやった外向きのガラス窓に、都築は視線を奪われた。 悠斗が以前言っていた通り、三階のこの教室からグラウンドは良く見えた。 もう薄暗く、奥の方までは確認しづらくなっているけれど、明るい時分なら、都築の練習しているハードルの場所までしっかりとみえるだろう。 けれどもうひとつ、良く見える物があった。 第二体育館の二階。 延長届けでも出してまだ練習しているのか、高校と光る照明で中の様子がしっかりと見て取れる。 もし照明が消されていたとしても、その場所で何の練習がされているかなんて、この学校に通っていれば周知のことだ。 そこにはバスケ部の練習コートがある。 スクールカラーと同じ色の、紺青のユニフォームを着て走る柾が浮かんだ。 ずっとうっすらと感じていたけれど、気のせいだと向き合わないようにしていたその悪い予感が、一気に触れることのできる程の現実味を連れて都築に襲いかかってくる。 せりあがってくる形のない痛みが喉を閊えた。 感じていた違和感や疑問の正体。 都築は煌々と体育館から漏れ出るオレンジ色の明かりを見ながら、勘の良い自分を恨めしく思った。

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