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花嫁 10
【可愛い。可愛い。愛している】
声と、頬を撫で触れてくる指は幼い殺さから知ってるあの大きな指だった。
だがそこには確かに、愛した恋人の響きがあった。
【逃がしてやれないんだ。離してやれないんだ】
その声には苦悩があった。
【でもお前は選んでくれただろう】
それは事実だった
ただ一人。
助けてくれた人。
この世界で誰も助けてくれない中で。
守られるべき子供なのに親によって捧げられていた。
親が鬼に子供を与えて犯させた。
村のために。
でも。
村から逃がしてくれたのも。
殴られレイプされそうになったのを助けてくれたのも、その鬼、いや、【神】だった。
確かに恋人を選んだ。
自分で選んだ。
助けられたから。
そう。
それに。
【神】を恨むよりも。
捧げられたことをずっと恨んでいた。
神の前に置かれて。
神はそれを喰っただけだ。
神にも花嫁を食うことが必要だったのだし、神は花嫁を1度も選んでいないのだ。
「あんたにも。助けは来なかったんだな」
低く言った。
孤独な男。
孤独から助けてやる、村の一員として認めてやると騙され、受け入れて貰えると花嫁を喜んで娶り、殺され、鬼にされ【神】にされた。
祟り神。
花嫁を喰らうしかない。
捧げられるのはそれだけだったのだから。
そうなっても、誰一人救ってなどくれない。
村は【神】を邪法で利用したのだから。
数百年の孤独。
飢えのために花嫁を食らった。
【お前が助けてくれた。術を崩してくれた】
【神】は言う。
背中を撫でられる。
何度も何度もこの身体を触れて中まで触れて、イかせてきた指が。
身体は疼く。
恋人と暮らし初めてからも、しない夜など無かったのだ
気付くべきだった。
どちらも人間じゃないからそれが出来たのだと。
あんな激しい行為をしないで居られないのは、もう変わってしまったからか。
もう人では無いらしいし。
どうやら死ねないらしいし。
それは。
目の前の鬼も。
【神】もそうだった。
この鬼は村からは解放されたけれど。
人に戻る術はない。
死なない。
人では無い。
可哀想だ。
自分も。
鬼も。
だから泣いた。
【手放せない。死なせてやれなかったんだ】
その声には力が無かった。
この鬼は選んだことすら無いだろう。
花嫁を選んだこともない。
でも花嫁達が死を選ぶのは止めなかった。
それしか自分から逃げる道は無かったから。
騙されて。
殺されて。
【神】にされ。
でも、確かに。
【選択】はくれたのだ。
確かに。
「・・・したい」
そうとだけ言った。
脚をひろげ、穴を自分から広げてみせた。
「挿れて」
選択した。
その巨大なモノで貫かれることを自分から望んだ。
人間に成りすました鬼には抱かれたけれど、鬼を鬼のままで受け入れたことはなかった。
許せないし。
悲しいし。
それでも。
もう他には誰もいないのだ。
助けてくれたのは、ただ一人。
選ばせてくれたのはただ一人。
一人だけ。
選ぶしかなかったとしても。
確かに選んだ。
鬼が吠えた。
泣いていた。
受け入れられたことを知ったのだ。
愛ではない。
いや、愛かもしれない。
本当に愛と呼べるものを持ったことがないからどちらにもそれは分からない。
それでも人として恋人同士として過ごした期間だけが、2人とも愛と呼べるモノに触れた時間だった。
他に誰もいなかったのだ。
その穴は最初から鬼しか知らなかった。
その指と舌で育てられ、人の姿の鬼によってその中を育てられてきた。
そこで感じることしか知らなかった。
デカすぎるそれがあてがわれた。
人間なら受け入れられないソレを、もう受け入れることが出来ると、どちらも知っていた。
ゆっくりと貫かれた。
ぐちゅ
ぐちゅ
キツすぎて鬼は呻き、花嫁では無い、【恋人】は串刺しにされる今までの何よりも大きなソレに叫んだ。
おっきい
おっきい
ああっ
大きすぎる・・・
ひいっ
ひいん
初めて指を挿られた子供の時のように。
奥まで快楽を知り尽くした身体ではないかのような反応で。
でも。
そこは確かにそれを受け入れる。
ギッチリと、深く咥えこんでいく
【ああ。オレをこんなに欲しがって】
そう囁かれた。
嘘じゃなかった。
そんなにもキツイのに。
でも、穴は間違いなく欲しがって、飲み込んでいく。
しゃぶるように吸い付き、絡みつきながら。
でも処女のように逃げるようにも身体をねじった。
あまりにも大きすぎた。
そのデカすぎるそれで、殺されるように貫かれるのは快楽だけではない感覚があった。
そう、殺される快楽みたいな。
実際、人だったままなら死ぬのだ。
身体だけは。
最初から鬼を欲しがってきた。
その指で開かれた時にはもう、ソレがここに入ることを想像していた。
そこで指や舌でイカされながら。
それ以外の全てで、愛撫されながら、それだけを与えられないことにホッとしながら、それでもそれを望んでた。
人間の恋人に貫かれながらも、アレを挿れられていたら、と思ってしまってもいたのだ。
欲しかった。
大きくて硬いコレを奥の奥まで。
でも身体と心は違っていたから。
それを認めることは出来なかった。
でも今は
今は。
コレが欲しかったと
逃げるように動く腰を抑え付けられ、奥まで貫かれ、叫びながらそれを認めた。
大きいの
大きいのが
いいっ
いいっ
それに無惨に刺されて、酷く動かれることに歓喜した。
そして、鬼に【神】にやっとのことで囁いた
「お前を・・・オレの・・・奥まで挿れて・・やる。オレだけ・・だろ?」
それも選択だった
選ばせてやる
【神】ではなく、選んだことの無いこの男に。
花嫁だからではなく、恋した人を追ってきた、男として。
鬼が泣いた。
吠えていた。
マンション中に響き渡るはずだが、そうはならないのも知ってた。
【神】だから。
ここで何があっても誰にも何も分からない。
でも今はただの。
恋する男だった。
たとえその姿が悪鬼でも。
興奮し、髪が逆立ち、目が見開かれ、獲物を食い殺す獣だったけれども。
残酷な突き上げも、暴力のような腰の動きも、それらは全て恋人を欲しがる為の行為だった。
【お前だけだ】
突き上げられた。
腹に形が浮かび上がるほどのソレ。
人なら死ぬ、ソレ、にヨダレを流して痙攣した。
ペニスの先から白濁を迸らせながら
【愛してる、愛してる!!】
叫ばれ何度何度も擦り挙げられた。
薄い腹に浮きあがるその凶悪なカタチ。
尖る乳首を突き出すようにして、背中を限界までそらした。
突き出された乳首は、音を立ててしゃぶられ、限界まで広げられた穴を、ぐちゅぐちゅと、ゆっくりとかき混ぜられる。
健気に壊れない身体は、もう人間のモノでは無いことを示していた。
それは。
もう。
死よりも甘い、人間では無いモノと人間ではないモノのセックスだった。
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