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花嫁 11
鬼が欲しがる。
産まれ落ち、異形であるからこそ誰にも受け入れられなかった鬼が。
【お前は暖かい。こんなにも暖かい。オレを中からも抱きしめてくれる】
ゆっくりと巨大なモノが動く。
それを受け入れてくれるのは、この世界にただ一人。
中から締め付け、欲しがり、そしてその巨大な身体に脚まで絡めてくれるただ一人の恋人が愛しくてたまらない。
人として死にたい。
終わらない命など要らない
花嫁達はみんなそう願った。
どんなに快楽を与えてもみんな立ち去ることを望んだ。
人間で無くなるくらいら、快楽だけのために永遠に生きるなら、生きない方がいいと。
哀れな
哀れだね、あんた
最初の花嫁が死ぬ前に言った。
まだ人間だった頃に、生まれて初めて抱いた女で、花嫁だった女。
村によって捧げられた女。
村の一員にしてやる、この女と結婚しろ、と言われて引き合わされた女。
さすがに異形の自分とは嫌だろうと思ったから引き合わせた時躊躇ったが、女も承知だと言われた。
村の掟を破ったから、お前と結婚しないなら村から追い出すだけだと。
村の男達に罰として犯させてから。
あの時代、それは女の死を意味していた。
異形の自分を受け入れてくれる誰かが欲しかった。
村を信じてたわけじゃないのに話にのった。
女は自分を見た時は怯えたが、夜の床の中では優しくて、全部教えてくれた。
女はとても慣れていた。
女だったが、女も異形だった。
抱いた時に分かったが、女のモノと男のモノがついていた。
その時は女の身体も知らなかったから、特別なんとも思わなかった。
むしろそういうモノかと思った。
その後の花嫁達がどちらかだけの身体だったのでそうだったのかとわかったくらいだった。
女は2つある穴のどちらにも自分を挿れてくれた。
夢中になった。
なにも知らない、まだ少年と言っても良い年だったのだ。
人の肌に触れたことなどなかった。
初めての人の体温に狂った。
寂しかったのだと知った。
毒が回るのに気づかない程、その穴と穴に注ぎ続けた。
初めこそ、花嫁が教えていたがすぐに、喘ぎ狂うのは花嫁になった。
花嫁が違う男の名前を呼んで狂うのも気付かなかった。
どちらの穴でも花嫁を狂わせた。
自分の花嫁だと思ってたから。
だが毒が回り。
動けなくなり。
乱れたままの姿の花嫁とその箱のある穴に封じられた。
騙されたのだと知った。
花嫁は言った。
穴の中に放置され、飢えと渇きで死ぬ途中で。
毒で動けない鬼に。
いや、もう、すでに死んでいたのかもしれない。
あの外法の穴の中の箱の中。
外法に捧げられた二人。
あたしはね、あんたに一晩抱かれたなら、一晩我慢したらね、恋しい男と一緒になってもいい、と言われてたんだ。
あんたは死ぬからって。
恋しい恋しい、絶対愛してはいけない男とね。
一緒になるためにあんたを殺すのに加担したんだよ。
あんたは、良い男だったよ。
初めてとは思えないほど上出来だったし、モノもでかいし、精もあるし、ね。
あたしが愛した男よりも良くしてくれたよ。
良かったよ。
あんなの初めてだ。
あんたを殺す計画にのったから、あたしも罰が当たったのかな
こんな風に死ぬなんて。
あたしの男はね。
あたしの男はね。
あたしを村に渡したんだと分かったよ。
あたし達を埋めるところにいたからね。
あたしの声が聞こえたはずなのにね。
あたしは助けてと叫んだのにね
埋められてからもずっと叫んでたのにね
助けに来なかった。
あたしをあんたに犯させて。
村にあたしを殺させて。
あんたもあたしも可哀想。
でも、ごめんね
あたしは愛しい男の所へいくよ
いつかきっとね
村があたしやあんた、そして多分ずっと捧げていくモノを繋ぐ鎖がキレたらね。
可哀想
この先あんたに捧げられる誰も、あんたを選んでくれないよ
だって
選んでないからね
選べないなら選ばないんだよ
だってあんな酷い男でも、あたしが選んだんだから
選んだ以上は逃がさないしね
どんなに時が経とうととね
アイツが死んだところで逃がすものか。
誰もあんたを選べない以上。
あんたは選ばれない、可哀想にね。
でも良かったよ、坊や
あんたは可愛かったし、上手だったし、デカかったし。
寂しがり屋の可愛い坊や
見た目より随分若いんだろ
ああ、悔しい
愛しい
絶対に許さない
離さない
愛してる・・・兄さん・・・
最初の花嫁はそうして死んだ
花嫁が朽ち
自分の肉体も朽ち
そしていつしか鬼が生まれていた。
時間の感覚がおかしく
モヤに包まれ
時に何かに命ぜられるまま、人を嬲り殺す
逆らうことは何故か出来ない
そう村の敵はことごとく殺した
祟り神として
それは時に多勢の軍だったりもしたが関係なかった。
そして常に飢えていた。
飢えを満たすために捧げられる花嫁達を喰らう。
喰わずには居られなかった。
花嫁達の不在期間は、その飢えに苦しみのたうち回っていた。
飢えの後に捧げられた、哀れな。
子供のような花嫁達を喰らう。
その精気を貪る時だけ、理性がもどる。
でも、喰らわずにはいられない。
何かを祟り殺し、花嫁達を喰らう
鬼
化け物
外法の道具
花嫁達は去っていく
外法に繋がれることから逃れたいと
逃がして
逃がして
ここから逃がして
それを叶えてやるには、自ら死ぬのを見届けるしかなかった。
【精を受ければいずれ死なない身体になる】
説明したのは鬼だ。
選んで欲しかったから。
でも誰もがそれを望まなかった。
鬼が与える快楽に、どんなに溺れきってても。
永遠を望んではくれなかった。
死なせてやった。
それしか出来なかった。
逃がしてくれて、ありがとう
花嫁達は最後に言った。
外法に鬼を1人とりのこして。
そして。
長い長い月日。
そしてそして。
たった一人
たった一人だけが
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