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第25話

「──風吹……僕の中で、ちゃんと……イケたんだよね?」  長いキスでまた高ぶって、僕は息を途切れさせながら訊いた。 「うん。お前の中入った途端、気持ち良すぎてすぐイッた。情けねぇよ。三こすり半したわ、俺」 「みこ……なにそれ?」 「超早漏。中でこすることなく出ちゃうやつ。でもそれくらい、桜が良かったってこと。ごめん、勝手にイって」 「そんなことないよ……。だってその後はいっぱいしてくれたし。僕ね、気が付いたんだけど……」 「うん?」 「その……風吹のアソコがね、僕の奥の一番気持ちいいとこにピッタリ当たってると思うんだ。風吹が動くたびに僕……気持ち良すぎて……」  僕は真っ赤になった。恥ずかし過ぎて顔を手で覆う。なんでこんなこと律儀に伝えてるんだろ。僕って本当に怖いくらい淫乱なのかも……。 「ほんとか、桜? それってすげぇよ。俺たちめちゃくちゃ相性いいってことじゃん」 「うん……。うん、僕もそう思う」  風吹はギュッと僕を抱きしめる。僕も手を顔から離して風吹の身体に回した。 「……愛してるよ、桜」 「僕も……風吹を愛してる」  キスをする。僕と風吹は、この二日間でどのくらいキスをしただろう。つい一昨日までキスをしたことがなかったのが不思議なくらいだ。  僕達はお互いの身体をまさぐり合った。風吹の綺麗な背中から腰のラインを両手で辿る。風吹は腰を僕に押し付けてきた。風吹の中心は疲れを知らない様に上を向いている。風吹は僕のお尻を揉んでからそっと穴を指で探った。 「……アッ……アン……ッ」 「桜……可愛い……。もう離さない。桜……」  僕は風吹の胸元からお腹へ手を滑らせた。適度な筋肉の盛り上がりを見せる胸と、引き締まった腹筋の感触を味わう。そのまま手を風吹の下腹部へ下ろす。ぬめりを帯びたそれは、僕を求めてそそり立っている。 「桜……。またこすってもいい?」 「あ……うん。しよ」  僕達はまたお互いの鬼頭をこすり合わせた。僕は自分で自分のモノを握り、風吹のモノに擦り付ける。 「ハァ、ア……ア……ッ。アッ、アッ、アッ、アッ、アッ」 「桜、これ好きか? 気持ちいい?」 「ふっ……うっ……うんっ、気持ちいい。好き、好きぃっ!」 「いい反応。──エロい桜、ほんっと可愛い」  僕はまた手で顔を覆った。恥ずかしさが極限まで来て耐えられないと思った。自分が自分じゃないみたい。 「こっ……んな……、ぼく……可愛くな……。み、見ないで……」 「見たいよ。いいって、おかしくなって。もっと喘いで、俺を感じて」 「ふぶ、き……、アッ! アアア──アアッ」  風吹が僕のお尻の穴に指を入れる。さっきのローションがまだ残っている僕のそこは風吹の指を吸い込むようにヒクついている。 「ごめん、まだ慣れなくてキツイだろうけど、入れたい……」 「い、入れて……。風吹、入れて!」  こんな風におねだりする自分が信じられなかった。でももう、頭は正常に働かなかった。風吹が欲しくて、うずいて仕方なかった。風吹はしっかりローションを使って僕のお尻の穴の滑りを良くした。コンドームを付けてから、僕の脚を掴んで腰を上向かせる。  僕の中へとゆっくり風吹が入って来ると、代わりに理性が押し出された。僕達は薄闇の中、力尽きるまで歓喜を味わい続けた。  翌日目覚めた時には七時半を過ぎていた。朝食は六時半から受付ていた。夕飯と同じくレストランでビュッフェ形式だったので、僕達は大急ぎでシャワーを浴びて会場へ向かった。 「身体……大丈夫か?」  レストランへと歩く途中、風吹が僕に訊いて来た。昨日の事を思い出したのか、頬がほんのりピンクになっている。そんな風吹が色っぽくて、僕もつられて赤くなった。 「ん……。少し筋肉痛になったくらい。それとちょっとだけまだ……風吹が中にいるみたいな感じ……」  風吹は驚いたように眉を上げると、更に赤くなった。僕の肩を引き寄せ「……ったく、お前は」と言って歩きながらおでこにキスをした。  付近に宿泊客はちらほらいたけど、僕は気にしない事にした。いずれ僕達の関係を周知するか秘密にするか、という事も考えなければいけないだろう。それでもこの場所にいる間は、余計な思いを背負(しょ)いこみたくなかった。  レストランは数家族が残っているだけだった。食事は和洋中の料理が揃っていて、やっぱりどれも美味しかった。  なるべく食べ過ぎないように、と思ってもつい色々と手を出してしまう。僕はグレープジュースのお替りをもらおうとドリンクバーへ行った。そこには各種ジュースの他にしぼりたての牛乳も置いてあった。  すぐ近くに苺をすりつぶしたジェル状のものがガラスのお皿に入っている。『イチゴミルクとしてお飲みください』と親切に書いてあった。宿泊客の子供が母親にイチゴミルクを作ってもらっていた。甘いイチゴの香りが僕の方へも漂ってくる。  苺の匂いを吸い込んだ途端、クラッと眩暈(めまい)がした。僕は急いで息を止めてジュースの置かれた台の端に手をかけた。倒れることはなかったけど、軽い吐き気が襲ってくるのを止められなかった。
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