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第33話
風吹は僕の頭に頬を当ててスリスリした。慰 めようとしてくれているんだろう。
「風吹も仲良かったもんね。菫と……」
「まーな。どっちかつうと俺は怒られてばっかだったけど。告白してきた女子にもっと優しくしてやれ、とか」
「あー。風吹、ラブレターをいらねーとか突き返してたよね。あと、校門の前で好きって言われたら、俺はあんたが好きじゃないって言い返してた」
「あったなー。相手の子スゲー泣いちゃって。俺、菫から殴られるくらいの勢いで怒られたわ。校門の前で告白とか、メンタル鬼過ぎの奴にはそれくらい言っても平気じゃね? って返したらタコ殴りされそうになった」
「あはは。でも僕はどっちの気持ちも分かるな。菫は同じ女の子として、告白した子の気持ちが分かるから怒ったんだよね。でも公衆の面前で好きって言うって、言われた方は逃げ場が無くなるって言うか……。ある意味好きな人の事追い詰めてる事になるんじゃないかなって思う。だから風吹がキッパリ断るのもアリなのかなぁとか」
「ま、どっちにしてもボクが好きなのは桜だけですから」
〝今〟好きなのは……ってことなんだろう。それでも僕はドキドキした。
「えへへ、嬉しい」
風吹は僕の肩をしっかり抱き寄せる。
「今度、菫の墓参り行ってちゃんと報告しよう、俺たちのこと」
「うん。そうだね……」
結局、風吹からそれ以上の事を聞くことはしなかった。由香里さんの言っていた菫が〝あんな目に〟合ったことの内容は、母から聞いた方が良さそうだと判断した。
前々から母には他にも訊いてみたいと思っていたことがある。それはなぜ、お父さんと別れたのか、ということ。
きっかけはどう考えても菫の事が要因となっているだろう。菫が亡くなるまでの両親の仲は、決して悪い状態ではなかったはずだ。父も母も割とおっとり系の穏やかな性格で、喧嘩をしているところなど見たことはなかった。
菫が他界した後の数ヶ月の間に、二人の関係に変化があったのは確かだ。
でも母は今、会社で部署異動をしたばかりでまだ仕事に慣れないらしい。人間関係も色々あって、毎日が大変そうだ。僕は母の時間と気持ちに余裕のありそうな時に、菫の事を訊いてみようと決めた。
その日は僕が大量に作っておいたカレーの残りを風吹親子とお母さんと僕の四人で一緒に食べた。風吹のお父さんは出張に行っているらしく、僕達の事を話すのはもっと後になりそうだった。
その後、一度自宅に戻った風吹は、夜十一時過ぎに僕の部屋に来た。「やっぱ桜と一緒に寝たい」と言って僕の狭いベッドにもぐりこんでくる。
「明日どうする? どこか行く?」
訊くと風吹は僕の首筋に唇をつけて「行きたいとこあるなら連れてくけど……ゆっくりするのも悪くないな」と言った。
「風吹もずっと運転してくれて疲れてるもんね。ごめんね。じゃあ、思いついたらなんかしよ」
「思いつく事はひとつしかないけど……」
そう言うと、風吹は僕のパジャマのズボンの中に手を入れた。大きな手でお尻を撫で始める。僕はすぐに息が早くなった。
「アッ……、ハァッ……」
風吹は唾で濡らした指で僕のお尻の穴を優しく広げ始めた。下の部屋にはお母さんが寝てるのに……。声をこらえる為に僕は握りこぶしを口に当てた。
「桜……可愛い……桜……」
「ん……風吹……。風吹、好き……」
僕は風吹の硬くなったモノをスウェットの上からそっと手で撫でた。風吹が低くうめく。僕達は甘くて深い口づけを交わしながらお互いをまさぐり合った。
「桜……。声、我慢できるか?」
「うん……っ。はぁっ……で、きる」
風吹は僕の服を脱がし、身体中を愛撫し始める。声をこらえる代わりに出て来てしまう涙で僕は自分の枕を濡らしていた。風吹の愛しさのこもった愛撫は僕の身体を隅々まで柔らかくしていく。僕の脚を大きく広げ、ローションでお尻の穴を潤わせて、風吹は僕の中に入って来た。
「……! ……! ……!」
風吹の腰の動きで起こりそうになる喘ぎ声を、どうにか手で押さえて我慢する。相当気を付けているのに、古くなったベッドのスプリングが時々ギシギシ軋む。母に気付かれませんように、と祈るしかなかった。
風吹は自分が先にイってから、一回出しただけではまだ大きくて硬いアソコで、僕の気持ちいい場所を突いてイかせてくれた。
風吹が先にイくのは、わざとそうしていると聞いた。本当は同時に到達出来ればいいのだろうけど、そういった嬉しい機会にはなかなか恵まれない。僕が先にイくとぐったりしてしまうし、元々狭いお尻の穴が締まってくる。そこを強く突かれると穴が裂けてしまう可能性がある。
風吹は、自分がイくまでの動きに桜が耐えるだけになるのは嫌だ、と言う。そんな独りよがりなセックスはまっぴらごめん、というのが風吹の考えだった。
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