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倉庫での2日目のこと

   まだ暗い明け方、美己男(みきお)は目が覚めた。  ぬくぬくとした毛布に包まれてぼんやりともう一度目を閉じてから、ハッと目を開く。      しまった、寝落ちしたっ  昨日、大我(おおが)の手で(とろ)けるような体験をしたことを鮮明に思い出す。  ベッドに大我の姿はなく、美己男は跳び起きた。 「せんせっ?」      置いてかれた?  下着一枚で毛布の下から飛び出すと事務所を出て倉庫に駆け込む。  薄暗い倉庫は寒々としていて、真ん中の彫像が静かに(たたず)んでいた。  倉庫の隅で大我がタバコの煙をくゆらせながら驚いた顔で美己男を見ているのが目に入る。 「・・朝から元気いっぱいだな。」 「あ・・、せんせ。」  美己男はホッと息を吐いた。 「置いてかれたかと思って。」  俺、どんなゲスだよ、と笑って美己男に近づくと、フリースジャケットを脱いで美己男の 裸の肩にかけた。 「さすがに裸は風邪ひくぞ。こっち側、寒いから。」  温まったフリースが肌に気持ち良い。 「んー。」  抱き着いて首筋に鼻をすりつけ、タバコと木の匂いが入り交じった冷たい空気を思い切り 吸い込む。 「いい匂い。」 「まだ早いし寒いから、ベッド戻りな。」 「先生は?一緒に戻る?」 「俺は作業始める。」 「んじゃあ、俺も起きる。」 「じゃあ、せめて下、穿()いて。さすがにそれは目の毒。悪くないけど。」  大我はジャケットに下着姿の美己男を上から下まで見て笑った。  大我が彫刻刀を研いでいる音を聞きながら美己男は彫像を眺めた。  グルグルと周りを何度も回りながら上から下まで眺める。 「そんなにグルグル回ってたら、目、回すぞ。」  大我が笑った。 「これ、先生と國柄(くにつか)さん?」  美己男は目を離さずに聞いた。 「どうかな。俺の中では、お前とカンちゃんのほうが近いんだけどな。 まぁ、具体的な人じゃなくて、イメージだから。」 「そっか。」    見る人がそれぞれ、大事な人を思い浮かべてしまうから、こんなに泣きたくなるのか  美己男は彫刻刀を研ぐ大我の側に座り込んだ。 「尾縣(おがた)、タバコ取って。」  タバコのパッケージを手に取って差し出す。 「悪い、手、濡れてて。(くわ)えさせて。」 「ん。」  ドキドキとしながら箱からタバコを一本、取り出すと大我の口に咥えさせた。  指先が大我の冷たい唇に触れて心臓がギュッとなる。 「火、点けて。」  カチカチと何度かホイールを回してようやくボッと立ち上がった小さな炎をタバコに 近づける。  大我が顔を寄せて息を大きく吸うと、タバコの先が赤く滲んで葉が焼ける匂いが立ち上る。  その様を美己男はフワフワとした気持ちで見た。  大我の何もかもが官能的に見えて美己男の体の芯が震えてしまい、彫刻刀を研いでいる大我の長い指先を見ただけで、昨日の指の感触が肌に(よみがえ)る。 「國柄さんって、どんな人?」 「何?そんな話、聞きたい?」 「うん。カンちゃんの話したんだから、先生も聞かせてよ、國柄さんの話。」 「はは、そうだな。俺だけ聞かせてもらったら同等じゃないか。んー、そうだな、 あの人は・・、滅茶苦茶な人だったよ。」 「えー?滅茶苦茶、カッコイイの?」 「滅茶苦茶、才能ある人。」    才能・・    大我先生はあんなにすごいチョウコク作るのに、あれは才能じゃないのかな?  美己男には才能、という言葉の意味が良く分からない。  もちろん、意味は分かっているが、まるで実感できずにいる。 「才能って?どんな感じ?」 「んー、そうだなぁ・・。」  大我は彫刻刀をリズムよく研いでいく。 「圧倒的で絶対的って感じ。あぁ、本物を俺は今、目の前で見てるなぁって、痺れて動け なくなって息が止まって・・、狂う。」    息が止まって    狂う 「いつ?先生が國柄さんに初めて会ったの。」 「えー、18?かな。大学1年の時。」 「その時、好きになっちゃった?狂ったの?」 「一瞬で夢中になった。理性ぶっ飛んで、あの人の何もかもに狂ったよ。」  ユラユラと銀髪が揺れて差し込んできた朝日に(きら)めく。 「すごいね。そんな人に出会えるなんて。」 「まあな。でも相手が大きければ大きいほど、こっちも強くならないと飲み込まれる。」 「ドウトウじゃないと?」  大我は、ふぅ、と息をついて顔を上げると研ぎ上がった彫刻刀を目の前で確かめる。 「うん。弱い方はズタズタに傷付いて壊れる。」 「弱い方・・?」    それは    才能があるとかないとか    男とか女とか    有名な建築家かただの中学教師かとか    先生と生徒とか    特進と工業科・・とか?  大我は刃の研ぎ具合を確かめると今度は丁寧(ていねい)()いていく。 「ずっと、そう思ってたんだけどな。」 「思ってた?」 「うん。」 「今は思ってないの?」 「今は・・、どうかな。でも尾縣といると、そういうの、ちょっとどうでもよくなってきた かもな。」  全ての彫刻刀を研ぎ終え、大我は立ち上がった。 「腹減ったな。朝飯、食いに行かね?」 「うん。行く。」  美己男もニコ、と笑って立ち上がった。    朝の冷たく湿った空気の中、外に出る。 「自転車で行こうぜ。」  ニットキャップを(かぶ)った大我が荷台に乗った。 「ええ?俺が前?」  美己男はそう言いながら大我を乗せたままよいしょ、と自転車を前に出した。 「当たり前。元バレー部の実力、見せてみ。」  美己男はサドルに(またが)ると立ち上がってグンとペダルを思い切り踏み込んだ。 「重たっ。」 「あは、ニケツなんて久しぶり。」  大我が嬉しそうに言う。  近くにあるという大我のお気に入りのベーカリーは坂の上にあった。 「頑張れー。」  荷台から呑気に大我が声をかける。 「ドウトウどこいったっ!」  ハァハァと息を切らせて自転車を漕ぐ。 「帰りは俺が漕いでやるから。」 「ううー、帰り、(くだ)りっ。」  息も絶え絶えに言う。  あはは、と大我が笑って飛び降りると、荷台を押しながら走り始めた。 「うわっ。」  急に自転車が軽くなり、スピードが上がる。  一気に坂の上まで駆け上がると 「ほら、もう着いた。」  そう言って荷台を離した。  小さなベーカリーからパンの焼ける匂いとコーヒーの香りが漂ってくる。  ニットキャップを取りながらベーカリーに入って行く大我の背中を追って美己男も中に 入った。  ふわり、と暖かな空気とパンの香ばしい香りが一気に濃くなり、急に腹が空いてきた。 「二階で食えるから、買って上に行こ。どれがいい?」  カチャカチャとトングを鳴らして大我が聞く。  明るい日の下で見る銀髪の大我は、今までになく自由な雰囲気を(まと)っていて、美己男は見惚(みと)れた。    先生、こんなに綺麗な人だったんだな 「尾縣?」  大我の声にハッとして顔を赤らめる。  散々悩んでパンを選び、熱々のカフェオレとココアを持って二階に上がった。  美己男は座り心地の良いソファにすっぽりと体を預けて焼きたてのソーセージのパンに (かじ)りついた。  大我は熱そうにカフェオレを(すす)っている。 「尾縣、また母親と暮らすんだろ?」  美己男はパンを頬張りながら頷いた。 「そっか、良かったな。少なくとも、どこにも行くとこないってことはなくなって。」 「まあね。どうせまたすぐ、彼氏作って出て行っちゃうだろうけど。住む家があるのは助かるから。」 「ふーん。」  大我がクロワッサンをパリパリと音をさせながらちぎる。 「カンちゃんには?まだ怖いか?会うの。」  大我に聞かれて美己男は少し考えた。 「・・うん、怖い。」 「そっか。」 「先生は?國柄さんに会いに行くよね?」 「まだ行けるかどうかわからないけどな。」 「怖い?」 「そうだな、怖い。」  顔を見合わせて笑う。 「このまま二人で一緒に逃げるか。怖いことから。」  大我がカフェオレの湯気の向こうで言う。    大我先生はきっと色んなことから守ってくれるんだろうな  それはすごく居心地が良いに違いない、と美己男は思う。  昨日みたいに抱き合って、今日みたいに甘い朝を過ごして、毎日大我が作品を作るのを 見て。    でも    そんなことしたら、いつか一緒にいるのが國柄さんじゃない、ってことに先生は    悲しくなる  そしてそう感じてしまうことが大我をひどく傷つけてしまうだろう、ということもわかる。  それは美己男も同じだから。    だから 「先生、そういう誤解させるようなこと、言っちゃダメだって。」  美己男は笑って返した。  大我がカフェオレを吹き出す。 「ウソだろ、やり返された。最悪。」  大我が慌ててナプキンで口を拭った。    その日の夜、鍋で煮たうどんをたらふく食べ、事務所についている簡易シャワーを浴びると美己男は床に置いたマットレスに寝そべった。  事務所の片隅に乱雑に積み上げられた事務用品や天井からぶら下がったコードに干してある洗濯物を見上げる。    廃墟に住み着いた不法滞在者のような気分だ。  石油ストーブが燃えるゴーゴーという小さな音と大我のタバコを吸う音を聞いていると、 まるで世界に二人きりしかいないような錯覚に陥る。  デスクに置いたノートパソコンを食い入るように見ている大我を寝転んだまま眺めた。 「トウボウシャみたいだね、俺たち。」 「え?」  今朝のベーカリーでの話を思い返し、本当はずっと二人で逃げてきて、ここに辿り着いたのかも、と美己男は思う。 「二人っきりで、ここに隠れてるトウボウシャみたいだなって思って。」  その言葉に大我が美己男の顔をじっと見る。 「なぁ、尾縣の顔、描かせて。」  大我が美己男に言った。 「へ?顔?」 「うん。逃亡者の顔、描かせてよ。」  大我は(くわ)えたばこで鉛筆を耳に挟むと、机の上のスケッチブックを手に、ゴロゴロとマットレスの脇に椅子を近づけてくる。 「ここ、座って。」  美己男は起き上がって大我の前にあぐらをかいて座った。 「顔見せて。」  グイと顎を持ち上げられて、左右に(ひね)られる。  耳たぶをつままれ、耳を(こす)られて、 「ひぁ。」 と首をすくめ声を上げた。 「目、閉じて。」  目を閉じると大我の親指が眉を撫で、鼻筋を撫で、唇を撫でる。  ゾクゾクと背中が甘く痺れて、鳥肌が立った。 「そのままな。」  シャッ、シャッ、と鉛筆が紙の上を走る音が聞こえてくる。  時折、大我がタバコを大きく吸い、チリチリと先端の葉が燃える音がして、その後、ふぅ、と大きく煙を吐く音が聞こえる。  目を閉じていても、大我の動作が手に取るように分かる。 「せんせ、俺も、吸ってみたい。」  目を閉じたまま、美己男は言った。 「ダメ。」  笑いを含んだ声で大我が答える。 「ちょっとだけ。試すだけ。」 「絶対ダメ。」  大我の指が(あご)を掴んで横を向かせる。 「いいじゃん、誰も見てないんだから。」 「これ以上、罪を重ねさせるわけにはいきません。」  ふふ、と美己男は笑った。 「じゃあ、下の名前で呼んでいい?」 「下の名前?いいよ。」 「かおるさん?」 「お?知ってんだ、下の名前。」 「知ってるよ。初めてあった時、教えてくれたじゃん。」  大我の指が触れて反対側を向かせながら笑う。 「そうだっけ。すげー昔のことみたい。よく覚えてたな。」 「(かおる)さん。」 「うん。」 「馨?」 「何?」 「まだ?」 「悪い。疲れた?」 「ううん。じゃなくて・・勃っちゃった。」  大我が吹き出す。 「盛ってんな。」  鉛筆の音が止んで、大我の指が顎にかかる。  唇に温かく柔らかいものが押し当てられた。  美己男は目を閉じたまま、押し当てられた大我の唇を味わうと首に手を回し  そのまま後ろにドサリと倒れた。  舌を吸い美己男は足を絡ませ、腰を擦り付ける。  美己男のモノはもう触れればイってしまいそうなほど熱い。 「もっと、ギュッってして。」      ああ、抱きしめてもらうのって何て気持ちが良いんだろう 「どうした?怖い?」 「ううん、すごく気持ちいい。」  お互いの服を脱がせて肌を合わせる。  大我の首筋に鼻を押し付けた。 「馨さんの匂い好き。」 「俺の匂い?」 「木と、タバコと、今日は鉛筆の芯の匂い。」  ふ、と耳元で笑う大我の息がかかる。 「尾縣、耳に穴、開いてんだな。意外。」  耳たぶを口に含んで舌の先でピアスの穴を探られる。  ゾクゾクと甘い痺れが走る。 「そう?俺、馨さんの唇の端に空いてるピアスの穴、エロくて好き。」  美己男は大我の唇に吸い付き舌でなぞる。 「そんなの初めて言われた。」  大我が笑いながら美己男の頬に鼻を擦りつける。  喉をねっとりと舐める湿った柔らかい舌に美己男は体を震わせた。  大我の手が下着の中に滑り込んできて尻を撫でる。 「んっ。せんせ、馨っ、もっと・・して。」 「ほんとに平気?」 「うん。」 「じゃあ、一緒にシャワー行くか。」 「大丈夫、さっきちゃんと準備した。でも、洗った後、あんまり。」  大我が優しく何度も唇を合わせる。 「分かった。ゆっくりするから、嫌だったらすぐ言って。」 「うん。」  たっぷりとローションで濡らした指が後ろを撫で、ゆっくりと入る感触がする。  自分の指とは違う、しっかりとしたしなやかな指先が入るとゾクゾクと鳥肌が全身に 立った。 「ん、はぁ。」  ビクリと体が反応する。 「大丈夫、俺を見て。」  大我が美己男の瞳を覗き込む。  クチュクチュと滑らかな動きで撫でられ、ほぐされる。 「かわいいな、尾縣は。離したくなくなるよ。」  吐息交じりに囁く。 「馨さん、チューして。」 「ん。」  大我の唇で塞がれ、舌でこじ開けられる。  舌が絡みついて頭の芯からぼぅ、と蕩けた。  全身が段々と熱くなって触れ合う肌が湿ってくる。 「ああっ、かおるぅ、はぁ。」  美己男の腰が揺れる。 「気持ち良くなってきた?」 「あ、んっ。」 「うん、上手。尾縣、もっと感じていいよ。」  大我の唇が首筋を這い、胸へと伝っていく。  大我の息が肌にかかり乳首を舌で絡めとられ体がヒクリとした。  鳥肌が立ち、体中がゾワゾワとむず痒いような熱で震えるような感じがして  昨日よりもさらに大きな快感が体をうねり駆け巡る。 「どうしよ。なんか・・。」  美己男は呻いた。  美己男のモノはギチギチと音を立てそうなほど張りつめた。 「ん?一回、出したい?」  美己男の頭も体も爆発寸前で何も考えられない。 「わかんない・・。」  大我の顔も上気している。 「ほんと、かわいい。」  大我はそう言うと指を入れたまま、今度は固くなったモノを口に含む。  大我の湿って柔らかい舌が、爆発寸前の美己男のモノをねっとりと包む。 「あ、はぁっ、馨さんっ。も、だめぇ。」  美己男はあまりの快楽に泣き出した。  ハッ、ハッと自分の息が耳元で聞こえる。  ジュルリと吸い上げる舌と、中をかき回す指でわけがわからなくなる。 「やだ、やだっ、待って。」  美己男は腰をくねらせた。 「尾縣?怖い?もうやめる?」  大我が指を引き抜くと美己男を見た。 「んー、やだ。やめないでっ。」  美己男は大我の首にしがみついた。  んふふ、と大我が笑って体を起こし、美己男を抱き上げると膝の上に乗せた。 「どっちだよ。んじゃあ、キスしよ。」 「ん。」  お互いの唇も舌も唾液さえも吸い尽くす。 「んふ。」  美己男は嬉しくて笑う。 「尾縣がかわいくて仕方ない。」  大我が切なそうに眉を寄せた。 「ん、馨さん、続き、して。」 「平気?ほんとに続き、したい?いいのか?俺が初めてで。」 「ん。したい。馨さんは?したくない?」 「したいよ。尾縣に挿れたくて狂いそう。」 「うん。繋がって。馨さんでいっぱいにして欲しい。」  大我の指がまたゆっくりと入ってくる。  クチュクチュとした感触がさらに奥まで入り込み中を探るように(うごめ)く。 「あ、あ。」  美己男の腰が揺れる。 「ん、いいよ。柔らかくなってる。もう入りそう。挿れていい?」  美己男は頷いた。  大我はゆっくりと美己男をベッドに寝かせるとコンドームを嵌め、美己男の足の間に腰を 落とした。  美己男の膝の裏を持ち上げる。 「尾縣、息吐いて。」  大我に下腹部を撫でられ、ハァ、と熱く息を吐いた瞬間に大我が先端をグッと押し込んだ。 「あっ。」  指とは違う、熱く固いモノが入った感触がする。 「うん、上手。」 「あっ、ああっ。」  そのままギチギチといっぱいに満たされていく。 「馨さんっ。入ってる、入ってるっ。熱い。」  美己男は思わず大我の腕にしがみつく。 「うん、入ってるよ。尾縣の中に。」  大我の手が美己男の手に重なり、指が絡む。 「あー、きもちいい。すごく。」  大我が呻く。 「チューしてっ。」  大我の舌が美己男の舌に絡む。  ごくりと美己男は大我の唾液を飲み込んだ。 「全部、入ったよ。」  大我が顔を離して言った。 「痛くない?」  美己男は首を横に振った。 「馨さんの、全部?」 「うん。奥まで。」  みっちりと満たされた体はドクドクとお互いの鼓動を伝え合う。 「あ、いっぱいになってるっ。馨さんでいっぱいになってるぅ。」  美己男は高まりすぎた気持ちで叫んだ。 「うん。動くよ。」  大我は(いた)わるように優しく、ゆっくりと腰を動かし始めた。  美己男の腰もつられるように動く。 「前も固いまんま。熱くて溢れてくる。凄いな、尾縣。」  大我が美己男のモノを握ってこすり始めた。 「はっ、あっ、どうしよ。気持ちぃ。だめ、すぐイキそう。」 「うん、気持ちいいな。いいよ、イキたいときにそのままイッて。」 「あ、だめ、ほんとに出る。」 「ん、おいで。大丈夫、俺も、めちゃくちゃ気持ちいい。」  大我が奥をゆっくりと擦る。 「あっ、だめ、奥。やだ、怖いっ。」 「大丈夫、怖くないから。俺につかまって。息しろよ。」 「ああっ、馨っ。出るっ。」  美己男は叫ぶと大我にしがみつき限界を超えて激しく白い液を(ほとばし)らせた。 「ああ・・。」  ハァ、ハァと激しく息をする。  大我が美己男の頭を抱え激しく背中を上下させている。  美己男の中でドクドクと熱く脈打つのがわかる。  ヒクヒクと美己男は体を痙攣させながら大我の体にしがみついた。 「もっとっ。強くっ。」  ギュウと大我に強く体を抱き締められ、美己男は白い液を溢れさせ続けた。  

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