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第五話:リシェル皇子、落とし穴で護衛に凌辱されるも、身体と心は完全に合意(♡)

 ずっとこうしていたい衝動を抑えて身体を離し、持っていたジンを布に染み込ませて傷口を拭くと、いったんは静かになっていたディオスは、再び「沁みる」と喚き始めた。 「よし、きれいになったぞ」  汚れたディオスの腰帯の代わりに、リシェルの腰帯を巻き付けて傷口をふさいだ。  すると突然ディオスは、ガシッとリシェルを抱きかかえて、胡坐座りの自分の身体の中に抱え込んだ。 「お前……よくもやってくれたじゃねーか」  ディオスははぁはぁと息を荒らげている。 「? どういうことだ。多少沁みるくらいは仕方ないだろう」 「そういうことじゃ、ねぇっ!」  そう言うとディオスは、ガシッとリシェルの頭をつかみ、勢いよく唇を重ねてきた。  ぢゅうっと唇を吸った後、熱い舌が、あっという間にリシェルの口内に入ってくる。  心臓が直接舐められているようにズキズキして、下半身のモノがきゅんきゅん疼いた。 「んっ……んっ……」  しかしディオスはリシェルと身体を重ねたことを覚えていないはずなのに、どうしたのだろうか。  リシェルの唇をちゅぱちゅぱと食み、ねろねろと舌を絡めてくる。  ──ディオス、大好き、キス、気持ちいい……。  ただムラムラしたからでもいい。ディオスの方からキスしてくれたことが嬉しくて、甘い痛みに胸がぎゅっとした。  頭をつかむ手の力強い感触、熱く、柔らかく、リシェルを求める唇……。  酔っていない素面の身体でディオスに触れて、鮮やかなその感触にリシェルは腰が砕けそうになった。  背中に腕を回してしがみつきたい、抱きしめたい。  しかし、ディオスはリシェルと身体を重ねた夜のことを覚えていないはずだし、リシェルもそれを覚えていないことになっている。  今は、ただの護衛のディオスに突然キスをされてしまったという状況のはずだ。  ディオスはリシェルのことなど、踏み台程度にしか思っていないはずだし、リシェルはディオスが大きく羽ばたいていけるよう、仲良くしないように気を付けて、よい後ろ盾を考えてやらねばらないのだ。 「突然何をするのだ。やめろ」  頑張って唇を少しだけ離して抗議すると、ディオスは、はあっ、と息を吐き、頭をつかんだ手でリシェルの髪をくしゃっと柔らかく梳きながら、 「うるせえ……」  と言ってなおも唇を重ねてきた。 「んっ……」  ディオスの舌はリシェルの歯の裏をなぞり、舌をすくいあげてくる。 「あ、はぁ……」  引き出された舌先に、分厚い舌をグニグニと押し付けられ、舌の根元から臍の下まで、じわじわと快感の波が押し寄せてくる。  ディオスの手は背中をまさぐり、チュニックの隙間からシャツの飾り紐を外しにかかってきた。 「あっ、やめろ、何をする……」  ここもまた「何の罪もない皇子にディオスが淫らなことをしてきた」という状況のはずである。抵抗しなければおかしい。  本当は身体が疼いて仕方がないのに、リシェルはディオスの腕の中でもがいた。 「大人しく乱れてろ」  落とし穴の側面に後頭部を押し付け、舌でリシェルの口内を犯しながら、ディオスはリシェルの胸の尖りをつまんだ。 「あん……♡」  つい声を漏らしてしまうと、ディオスがはぁっと息をついて、 「そんな声出して、やっぱ誘ってんじゃねぇか」  とつぶやいた。 「なっ、何を言う、無礼だぞ……あっ♡」  乳首をつまんだり押し込んだりして刺激を与えられ、形ばかりの抵抗も、どんどん小さな声になっていく。  リシェルの股の間に、ディオスの手が割り込んで、服の上からそっとさすり上げてきた。 「やめっ……ああんっ♡」 「硬くなってんじゃねーか」 「ダメっ……そこは、ダメだ……」  ──恥ずかしい、でも……。  本当はもっと触ってほしい。痛いくらいしごいて、漏らすくらいにめちゃくちゃにしてほしい。  忘れているはずなのだから嫌がらなければならないのに、身体は大好きなディオスを求めていて、感情が支離滅裂になって目尻に涙が浮かんだ。  ディオスはリシェルのチュニックをめくり、ズボンのウェストから股間に直接手を入れてきた。 「やぁっ♡」  少しざらついた手でサオを撫でられ、すでに濡れている先端を親指でいじられると、脚を広げてディオスを迎え入れる体勢になってしまう。 「やめろっ、はぁっ♡ ああん♡」  目を閉じてうっとりと悶えていると、ぐりっ、と大きな何かが押し当てられた。 「あっ、ディオスっ……ダメだっ……」  リシェルが目を開けると、ディオスがズボンの前を開けて自分のモノを取り出していた。  ディオスのそれは先端までみちみちと猛っていて、はちきれそうな先っぽからはぬらぬらと先走りが光っていた。  本当はこれもすでに見たことがある。お尻の中に入れて何度もずぽずぽしてもらった。  でも覚えていないことになっている。 「ディオス、そなた何をするつもりだ。そなたと私は男同士、おまけに私は皇子だぞ。淫らなふるまいは……」 「うるせー関係ねえ」  ディオスのはちきれそうな先端を、ずきずきと疼く股間にぐいっとくっつけられて、リシェルは「あん♡」と腰を跳ね上げた。 「はぁ、はぁ……」  猛禽を思わせるディオスの瞳は爛々と輝き、荒い吐息がリシェルの肩に当たる。  再び唇を奪われ、ぬちゅぬちゅと絡め合わせながら、ディオスは座ったままリシェルの腰をつかんで抱き寄せ、ガツガツと陰茎をぶつけてきた。 「あ、何を、やめっ……♡」 「口ではそう言いながら、身体は悦んでるじゃねえか」 「あぁぁん……♡」  がつ、がつ、ぐり、ぐり、と陰茎を股間にぶつけられ、リシェルは股を広げてよがった。  ──はあっ……♡、女になって犯されてるみたいだ……。  ディオスも気持ちいいのだろうかと、横目で見ようとしたが、湿り気を帯びた黒髪と肌しか視界に入らず、熱いうなじから立ち上る汗の匂いに、自分の身体がさらに熱くなるだけだった。 「あ♡ あ♡ あぁん♡」  リシェルが甘い声を漏らすと、ディオスはますます強く突き上げてきた。 「あっ♡ ああぁん♡ ダメだっ♡ あんっ♡」  ──ダメだ、私は覚えていないはずなのに、こんな淫らなことをして……。でも、気持ちいいっ……♡  我慢できなくなって、ディオスの首に両手を回して抱きつくと、ディオスはリシェルの胴体に回した腕を締め付け、リシェルの腰を上下に揺さぶり始めた。 「はぁんっ♡ ああぁっ♡ ああぁっ♡」  陰茎だけでなく、上半身全体をディオスに押し付けてこすりつけ、股を広げた淫らきわまりないポーズで快楽を貪った。  先走りで濡れた陰茎同士が卑猥な音を立ててぶつかり合い、二人の興奮を掻き立てる。 「あぁんっ♡ だめっ♡ だめっ♡」  はあっと深い息を吐いて、ディオスが耳元で独り言のようにつぶやくのが聴こえた。 「すげーエロい……」  今度はリシェルの耳をちゅっと食むようにキスしてささやいた。 「いいんですよ。好きなように腰振って、俺のチンポに好きなようにこすりつけて、イッちゃってくださいよ。リシェル殿下」 「何を、言うのだっ!♡ あぁんっ♡ ああああんっ♡」  わざとらしく敬語を使いながら、無礼きわまりないことを言われているはずなのに、リシェルはその言葉にますます興奮した。  ──出るっ……♡、出ちゃうっ……♡、あぁん……っ!♡  ガツッ──とディオスに陰茎をぶつけられ、リシェルは声にならない叫びを上げ、びゅくびゅくと白濁液を放って達した。  ディオスのモノからもドクドクと精が吹き出し、触れ合う二人の腹を濡らした。

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