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 なぜだろう、すごく恥ずかしい。俺はモジモジしながら、ゼロ太郎に報告を続ける。 「えぇっと、今まで色々と相談に乗ってくれてありがとう」 [どういたしまして。今後も私の気苦労は絶えそうにありませんがね] 「面目ないです……。だけど、今まで以上にカワイの幸せを追求します。そして節度を持ちます、言動に」 [あとは社会人としての自覚と、カワイ君のパートナーである以前に保護者でもある責任を常に心に刻んでくださいね] 「──ゼロ太郎、もしかして怒ってる?」 [──怒ってはいませんが、主様と同様に私だって気まずいんですよ]  ですよねぇ~っ。俺もゼロ太郎と逆の立場だったらそうなってたよ。同居人が恋仲になったら、どうしていいのか分かんないもん。  いつも以上に、淡々とした声。だけどすぐに、ゼロ太郎の声色が柔らかくなった。 [ですが、安心しています。二人共、今まで私が見た中で一番素敵な表情をしていますから]  ゼロ太郎の言葉に、胸が詰まる。きっとそれは俺だけじゃなくて、カワイも同じだろう。 「ありがとう、ゼロ太郎。こんな俺たちだけど、これからもよろしくね」 [はい、よろしくお願いいたします] 「ボクからも、お礼を言わせて。ゼロタロー、ありがとう。それと、ボクからも……これからも、よろしくね」 [はい、こちらこそ。私と主様をよろしくお願いいたします]  俺だけじゃなく、カワイもゼロ太郎も少しだけ気恥ずかしそうに。だけど大切なことだから、茶化さずに挨拶をする。  本当に、二人と家族になれて良かったな。現状の幸福や恵まれた感情に、しみじみと喜びを感じる。  するとゼロ太郎が、聞き捨てならない言葉を付け足した。 [──それに私は主様だけではなく、カワイ君からも色々と相談を受けていましたからね。本当に、一安心です] 「──ゼロタロー、それはナイショにしてっ」 「──えっ、気になる!」  相変わらずのゼロ太郎節が炸裂だ! なんだようっ、気になるじゃないかぁ~っ!  だけど、俺だってゼロ太郎に相談はしていた。その内容をカワイに知られるのが恥ずかしいって気持ちは、俺にだってある。だから俺は好奇心をグッと抑えて、一先ずは照れながらも慌てているカワイを観賞するモードに己を切り替えた。 [やはり、カワイ君を主様に任せるのは早計だったかもしれませんね。早速ですが、別れていただけませんか?] 「交際を始めてまだ一時間も経ってないのにッ?」  両頬を両手で押さえながら困っているカワイをジッと見つめすぎたのか、あるいは心を読まれたのか。俺はお義母さん──じゃなくて、ゼロ太郎にそんなことを言われてしまった。 [先に言っておきますが、カワイ君の嫌がることをしましたら本気で電気を流しますからね。健康になるような優しいものではなく、私の本気が伝わる電流ですよ] 「だっ、大丈夫だよっ! これからの俺はカワイのために、カワイの幸せのために頑張るんだからっ!」 「ヒト……」 [惚気ないでください気まずいです]  じゃあいったいどうしろと! 顔を赤らめたカワイと、おそらく俺を睨んでいるだろうゼロ太郎に挟まれながら、俺は頭を抱えてしまった。

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