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 さて。実は本日、大きなノルマがあった。 「──と、いうわけで。無事に、カワイとお付き合いを始めました」  それは、なんとなく先延ばしにし続けていた【カワイとの交際報告】だ。勿論、俺がそんな報告をしている相手は……。 「おめでとうございます、センパイ! 正直、全くなんの心配もしていませんでしたが!」 「ご報告、ありがとう存じますでございます。僕のことは『義兄さん』とお呼びいただいても支障は無いでございますよ」 「──なぜだろう、浮かれきれない」  月君と草原君だ。  時刻は昼休憩で、場所は休憩室。俺たち三人は各々が持参したお昼ご飯を手に、この報告会に出席していた。  祝福の言葉と、どうにも気になる言葉。それでも二人が笑っているものだから、なんと言うか、うん。複雑だよね。  でも、二人は喜んでくれているらしい。 「センパイが職場の誰かといい感じになるのは断固として拒否って感じだったんですけど、かと言ってオレの知らない人とどうこうなられるのもイヤだったんですよね。だから、カワイ君なら安心です!」 「僕の意見としては竹力様さえ選ばれなければ万々歳でございましたが、追着様だけではなく弟の(つがい)も保証されたのであれば、言うことはございません。結果、万々歳でございます」 「二人共、俺の恋愛に対して入れ込み過ぎじゃない?」  心配させてしまった、ということなのかな。それとも俺って、変な人に引っ掛かりそうな危うさみたいなものがあるのだろうか。  とにかく。発言はなんであれ、二人が喜んでくれているのは事実だろう。俺は二人に笑顔を向けた。 「えぇっと。二人共、ありがとう。それと色々、心配とか迷惑とかかけちゃってごめんね?」 「そんなことないッスよ! オレ、センパイにかけられるものはなんでも嬉しいッス!」 「僕も同意見でございます。竹力様にかけられるものはなんだって嬉しいでございますよ」 「「なんか違う」」  とにもかくにも、これで二人への報告は完了だ。……よし! 心置きなく、カワイとゼロ太郎が作ってくれたお弁当をつまもう! 「にしても、カワイ君かぁ~。初めこそビックリしたッスけど、マジでホンットに良かったッス! センパイが職場の誰かを選んでいたら、センパイをガチ崇拝しているオレがなにをしでかすか分かったものじゃなかったんで!」 「竹力様が良く思わない相手であるのならば、必然的に僕も排除対象として見なければならなかったでございますからね。人間一人を消すくらい、僕の有能さを持ってすれば容易なことでございます」 「マジで? 三日月はオレへの好意さえ度外視すれば、オレにとっては信頼の置ける奴だからな。なにかあったら、なにを賭してでもセンパイを助けようぜ!」 「これは心強く、そして嬉しいお言葉でございますね。好意を度外視されたことを度外視すると、僕としても竹力様とのコンビネーションは最強だという自負がございますので」 「──お願いだから今日くらい心穏やかに過ごさせて!」  これって冗談? それとも『後輩に懐かれていて嬉しいなぁ~』って感想を抱いていいレベルの可愛さ? 俺には分からないよ、ゼロ太郎助けて~っ!

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