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 いや魔界のヘンテコ迷信に感心している場合か! 思わず、ページを跨いでのノリツッコミだ。 [──メタすぎる発言な上に、面白くないです] 「──シンプルに傷付く!」  だがしかし、今はゼロ太郎のツッコミに傷付いている場合ではない。早くカワイを止めないと、この話題は永久にうやむやとなるだろう。それは困る、大いに困る! 「待って、カワイ! 今の話、もうちょっと詳しく──」  焦った、その矢先だ。 「──ふやっ!」 「──わわっ! ごっ、ごめんっ!」  慌てすぎてしまったがゆえの、失敗。伸ばした手で、カワイにとって敏感な尻尾の先を掴んでしまったのだ。  カワイが猛烈に可愛い声を上げた! 可愛い! という感動は、当然として。そのまた矢先のことだ。 「──あいたっ」  ──カワイが凄まじい勢いでテーブルの脚に足をぶつけたのが、ほぼ同時だったのだから。  俺はカワイの尻尾から手を離し、わなわなと体を震わせる。 「カワイがテーブルに足をぶつけた、だってッ?」 [えぇ、そうですね。主様の不注意が原因で、カワイ君は足をぶつけてしまいましたね] 「カワイが、俺の、俺のカワイが」 「ヒト? ボクは大丈夫だよ。……ヒト?」  わなわな、ぷるぷる。俺は体を震わせたまま、食卓テーブルをガシッと両手で掴んだ。 「──極刑だね、このテーブル。今すぐ捨てよう」 「──ヒト、目が怖い」  俺のカワイに仇為すものは、なんであっても消さなくては。そんな覚悟や決意を抱いての発言だったが、当然ながらカワイとゼロ太郎に阻止されてしまった。  ついでに言うのなら、どうやら俺はカワイの邪魔になってしまったらしい。なので仕方なく、カワイの作業が終わるまで待機だ。  とは言っても、特にすることはない。俺はソファに座り、なんとなくネットの海を漂う。  カワイに家事の邪魔をしていると注意されてしまったし、癒しが欲しいな。なにか、なにか癒される画像は……。  そこで俺は、懲りずに【あの】画像を見てしまった。 「──あっ、可愛い。猫の写真だぁ~っ」  感じたことを、思うがままに。目に入った画像に対する感想を、素直に零してしまった。  しばらくの間、猫の写真を眺める。だから俺は、愛しの彼が【どこにいるのか】を失念してしまった。 「ヒト、なにしてるの」 「あれっ、カワイだ。もう洗い物終わって──」  スマホを見ていたら、背後からカワイの声。珍しく、とても冷たい声だ。  この先は言うまでもないと思うけど、俺はカワイにスマホを没収されてしまった。 「あ、あのぉ、カワイさん? 俺のスマホを、いったいどうするおつもりで?」  なにも言わないカワイに、嫌な予感がする。俺は慌ててソファから立ち上がり、カワイを追いかけた。  早歩きのカワイは、トイレに入ろうとしている。つまり……。 「──待って待って! 島流しの刑はやめてぇッ!」  俺の声は届いているのか、カワイは黙ったまま踵を返した。そのままキッチンに向かい、なぜか鍋に水を溜めて、お湯を沸かし始めて──。 「──茹でるのも駄目ぇッ!」  ……ちなみに、数分後。 [主様、そろそろ学習いたしましょう? カワイ君の前で、猫は禁止なのです] 「はい、ごめんなさい……」  俺は床に正座し、己の行動を猛省するのだった。

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