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 草原君の指摘は宙ぶらりんのまま帰宅をした俺は、すぐにカワイに声をかけた。  疑問に思ったのなら、すぐに解消。俺は帰宅後、カワイに例の件を訊ねた。 「カワイが土日は俺にいっぱいベタベタしてくれるのって、平日になると俺が仕事に行っちゃって寂しいから?」  俺を見上げて、カワイはピタリと動きを止める。それから数秒、カワイは考え込むような素振りをした。 「……言われてみると、そうなのかも?」  どうやら、カワイ自身もピンとこないらしい。  カワイは俺を見上げたまま、どこか考え込んだ様子を見せつつ、言葉を続ける。 「無意識だった、けど……ボク、休みの日だとそんなに違う?」 「平日よりもいっぱい俺に構ってくれるなぁ~って感じたけど、違った?」 「どちらかと言うと、それはボクの感想かも。ヒトは休みの方が、ボクに構ってくれている気がする」 「えっ、そうかなっ? それこそ、無意識だったけど……」  つまり、お互いが無意識でお互いにベッタリだった……ってことかな? 改めて指摘される側になると、ちょっと照れくさいぞ。  もしかして、俺たちはお互いに『恋人同士になれた!』と浮かれているのだろうか? カワイがそうなのは嬉しいけど、自分がそうなのは恥ずかしいぞ!  だけど、浮かれてしまうのも仕方がないと言わせていただきたい。気恥ずかしさはあるが、お互いが浮かれているのならそれも良いだろう。  カワイも同じ考えに至ったのか、ほんのりと照れくさそうにしている。表情はあまり変わっていないが、尻尾が揺れているので間違いないだろう。  どこか、くすぐったい気持ち。気まずいような、嬉しいような……。そんな空気だ。 [──一緒に過ごす時間が平日よりも長いから、体感として『多く触れ合っている』と感じているだけでは? ……と言うのは、無粋ですね] 「──独り言且つモノローグのようなトーンだけど、全部聞こえているよ、ゼロ太郎」  ムードブレイカーのゼロ太郎が現実を突きつけなければね!  しかし、なんだ。そういうことか。言われてみると納得だ。カワイも「なるほど」と言いながら頷いている。  じゃあ別に、おかしな点はないってことか。そもそも、好き合っているのなら触れ合いが多くてもおかしくないだろうし。  だけど勘違いが少しだけ恥ずかしいので、俺は思わず知ったかぶりのような態度を取ってしまった。 「あー、分かってた分かってた。ゼロ太郎と同じ考えだよー」 [不快です] 「それは、ヒトの態度? それとも、ヒトに同意されたから?」 「うっ、ごめん。確かに、今の俺は態度が酷かった──」 [──後者です] 「──酷い」  傷付いた。深く傷付いたぞ。俺はその場でガクリと項垂れ、スマホを取り出す。 「今から俺は、ネットで【癒される方法】を調べるね」 「ヒト、それよりも先に着替えは?」 [カワイ君の言う通りです。ウダウダ言わずに、早く着替えてください]  なんてしっかりした家族なんだ! 俺は立ち上がって「分かってるもん!」と言い、調べ事よりも先に着替えを選ぶしかなかった。

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