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俺を強請るカワイのナカを、しっかりと慣らした後。
「はぁ、ん……っ。ヒト、ヒト……っ」
俺とカワイは、ひとつになっていた。
俺を受け止めるカワイは、甘えるように俺を呼んでいる。両腕は俺の背中に回されて、悪魔特有の尻尾は俺の腕に絡みついていた。
顔も、声も、体でも。カワイは懸命に、全身で『ヒトが好き』と伝えてくれているのだ。
「そんなに強く抱き着かなくても、俺はどこにも行かないよ?」
「繋がるだけじゃ、足りない。もっと、もっとヒトが欲しい……っ」
なんということだろう。カワイが可愛すぎる。これが、発情期ってことなのかな? ……いや、カワイはいつだって可愛いけども。
とかなんとか、恋人の可愛さに打ちのめされている場合ではない。俺にしがみつくカワイに、応えなくては。
ゆっくりと、体を動かす。そうするとますます、俺にしがみつくカワイの両腕や尻尾が力を増した。
「ん、っ。んっ、ヒト……っ」
体が揺さぶられると、カワイはすごく気持ち良さそうだ。こんなことを言うとムードもへったくれもないかもしれないけど、すごく嬉しいぞ。
カワイが欲しがっているのは、俺の魔力。つまり、言ってしまえばカワイの快感はカワイ自身の望みとは違うのかもしれない。
だけど、俺はカワイにも気持ち良くなってほしい。カワイにもっと、俺を欲しがってもらいたいのだ。
「あっ、ヒトっ。そこは、やだぁ……っ」
「嫌じゃないでしょ? カワイ、指でもココを触られたら喜んでたし」
「喜んでなんか、ない……っ。うぅ、ヒトぉ……」
後ろを指で慣らしている時、俺の指先が掠める度にカワイが喜んだポイント。俺はそこを、重点的に突いてみた。
カワイとしては、感じすぎて困ってしまうのだろうか。珍しく憎まれ口のようなものを言いながら、しかし俺に回した腕と尻尾の力は緩まなかった。
「ほんとに、だめぇ、っ。そこばっかり突かれたらボク、ヒトより先に出ちゃう……っ」
「勿論いいよ。嬉しいな」
「ヒトはヤッパリ、イジワルだぁ……っ」
カワイの言葉を受け入れずに腰を動かすと、諦めてくれたのか観念してくれたのか……カワイはそれ以上、ツレない言葉を言わなくなる。
「ヒト、ヒト、っ。きもち、いぃ……っ。……ヒトは? ヒトも、気持ちいい?」
「うん、気持ちいいよ。それに、カワイが俺で感じてくれて嬉しいな」
腕に絡みつくカワイの尻尾に、キスをしてみた。そうするとカワイは、思わず俺がビックリしてしまうほど大きく体を跳ねさせる。……そうだった。尻尾は性感帯、なんだっけね。
思い出した俺は、カワイの尻尾の先に舌を這わせる。するとカワイは、さっきまで出していたものより大きな声を上げた。
「んあっ! ヒト、尻尾は……っ! んっ、や、っ!」
後ろの締め付けも増して、カワイの動揺や快感がハッキリと伝わってくる。余裕の無いカワイの表情も声も、堪らなかった。
「カワイ、締め付けすぎだよ。それに、可愛すぎ。そんなにされると、すぐに出ちゃいそうだよ」
「やっ、出してっ。ヒトの精液、ボクのナカがいいっ」
くっ! 可愛いっ! 思わず尻尾に歯を立てたくなるぞ。これがキュートアグレッションってやつなのかな。……よし、甘噛みしよう。
「あっ! だめっ、だめだよ、ヒトっ。尻尾はボク、もう……っ!」
カワイ、イキそうなのかな。こんなにエッチな状況でも、カワイはずっと可愛いからすごいや。
「カワイ、すごく可愛い。それに、すごく気持ちいいよ。俺も早く、カワイのナカに出したくなる」
「ヒト……っ」
「うん、そうだね。意地悪は良くないね」
カワイは背中に回していた腕を、一度離す。それから見えるように、俺へ向けて両腕を広げた。
それは、あえて言葉にしない態度でのおねだり。俺はカワイを抱き締めて、キスをした。
それから、お互いにお互いを求めて……。俺たちは言葉を交わすこともなく、強い快感を享受し合った。
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