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第7話 ヤキモチとか嫉妬とかジェラシーとか@あおさん 後
意味を持って押し倒されたソファ、意味を持って首に回した腕にりょうが口角を上げた。
「っん」
大きな手が服の上から肌表面を撫でる。その感触にゾクゾクと駆けた快楽を下唇を噛んでやり過ごす。
ベッドに、そう言って胸を押した手は易易と片手で上部に縫い付けられ、形のいい薄い唇が俺の喉仏を食んだ。淫猥に舐める赤い舌にすら反応する自分がいる。
りょうは、それをよくわかっている。
証拠に欲情に揺れる瞳でニヤリと笑った。
「あおさん、気持ちいいの」
腰、動いてる。
りょうの舌がペロリとりょうの唇を舐める。それを『ずるい』と思うのだから自分は大概だ。
言えるわけはないのだけれど。
その舌で触れるのは俺だけにして、なんて口が裂けても。
「キス、して欲しいんだろ」
ベッと意地悪くりょうが舌を出した。片手は表面を撫でるだけで直接的な刺激にはならない。コクリ、頷いてみせる。常ならそれで許される固定は、今日のりょうには通用しなかった。
「言えよ、ちゃんと」
どうしたいのか、口で。低音に響く声が耳奥を刺激する。
「言わなきゃしない」
執拗に首に落ちる唇と表面を舐める舌が、ずっしりと欲を溜める。
「……っ」
知らず、腰が浮く。
りょうの熱がズボン越しに伝わってフルリと身が打ち震えた。
たまらない。
もっと、触れたくて。
堪らない。
「りょう……キス、したい」
恥ずかしさで顔が赤くなる。それが自分でもわかった。
「いいよ」
言った言葉にりょうが微笑んだ。なのに、ズイと近づいてくる薄い形のいい唇はチュッと軽く触れただけで離れていった。それを頭を上げて追う。
「もっと……」
「もっと、なに」
「もっと、しろよ」
「何を」
言って、あおさん。
「……お前の舌で、俺の中……舐めて」
はっと息をはいたりょうが満足そうに笑う。
そして待ち侘びた長い舌が口内に差し込めれる。歯列をなぞり、上顎を舐め、舌を吸う。
飲み込めない唾液が口元を伝った。
りょうの舌がそれをすくい取り「全部飲めよ」と再度流し込まれる。
コクリ、喉を鳴らしてそれを飲み込む。
りょうの視線がずっと俺を捉えて離さない。
真っ直ぐと向けられる愛の質量に腹奥が疼いた。
この男が好きだ。
苦しくなるほどに。
二人だけの部屋に静寂が舞ってお互いの熱だけが鮮明に浮き上がる。
りょうが掴んでいた手を離した。
こちらに体重を乗せたりょうの両腕が俺を抱きしめる。耳元で欲情しきった吐息を吐きながらりょうが言った。
「気が狂いそう」
あんたのことが愛しすぎて。
愛だけの声に俺もりょうの体を抱きしめ返す。
「好きだよ」
告げた言葉にりょうが笑う。
「仲直りの続きはベッドでしよう、ソファ汚したらあんた怒るだろ」
おいで、両腕を引かれそれに合わせて起き上がる。
「なんの仲直りだっけ」
「……さぁ忘れたな」
手をつなぎ寝室へと向かう。
ついさっき、りょうに投げたくしゃくしゃのカードが床に転がっていたりするのだけど、その存在に気がつくのは明日の朝だったりもする。
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