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第11話 年越しそばとか雑煮とかおせちとか

「ふふ、くすぐったいって」  背後から抱き込んだあおさんの首筋を啄むと、三つ葉を切っていた手を止め彼が笑った。  掠れた声がとろりと流れ、包丁を持つ手の甲を指で撫でる。  あおさんはフルリと小さく震えたあと視線だけで俺を睨んだ。  その目元が、赤い。 「だめだからな、流石に腹減ったって言ったろ」  昨日、まともに食べられなかったの誰のせいだと思っているんだ。ブツクサと文句を口にする恋人はちょっと離れろと身をよじった。 「あおさん」 「……だめ」  ダボつくスエットの中に手を滑り込ませ、臍下を押すように手の平を滑らせる。  それに反応を示した体にキュッと力が入った。 「ん……」  もれた声が甘い。 「りょ、う……ほんとに、」  だめだ……。  鍋の中の雑煮の汁が沸々と音を立てていた。  火力を弱めようとあおさんが手を伸ばす。それよりも少しだけ早く火を止める。 「あおさん」  耳元にキスをして名前を呼ぶ。あおさんは俺の腕の中でクルリと向きを変えた。 「……お前だって腹減ったって言ったんだからな」  細く長い指が俺の両頬を摘む。その先の表情は少しだけ不機嫌で、けれど一昨日の夜から続けた行為でどこまでも甘い。 「はは、変な顔」  みよんみよんとリズムよく頬を伸ばしたり縮めたりしながら年上の恋人はまるで子供のような笑顔を見せている。  なのに。  トランクスの上から彼の双丘を揉んで、ゆっくりとそこを広げると一瞬で熱い吐息が漏れ出る。 「中、入りたい」 「さっきまで、散々いたくせに」 「だからだよ、あんたの中に帰らせて」  下着の裾から手を忍ばせ、そこを指で掻く。たったそれだけであおさんの体が拓いていく。 「……っ」  んっ、あおさんが両手を離し、俺の肩に額をつけた。指でそっと、柔らかな場所の奥を目指す。 「……りょ、う」 「ん?」 「ほんとに腹減ってるからマキで……」 「……やりながら食べる?」 「ぜったいやだ」  間髪入れない返答に苦笑して、指を2本。  んっ……艶声と共に「年越しそば食いっぱぐれたの忘れてないからな」と小言を言ったあおさんが顔を上げた。 「来年は年越しえっちはしない」  毎年毎年、同じような宣言をするあおさんに「はいはい」とだけ返して3本目。 「絶対だからな」  快楽で震えだした体をしっかりと抱きしめる。 「……ベッド」 「うん」 「……っ。り、ょ……う」  立っていられない。  言ったあおさんの中から指をぬく。ヌラヌラと濡れた指先をそのままに彼の手を引く。 「……今年は年越しそばどころか雑煮もおあずけかよ」  ボソリと呟かれたそれは無視をした。 「あとで俺が作ってやるよ」 「やだ!お前の雑煮、餅ドロドロのやつだろ!!」 「食えよ、絶対」 「だからやだって!やっぱりしない!今から雑煮食う!!」 「無理」 「あ、おい、やめ、だめ、だめだからなっ!!わっ!わかった!!わかったから!!ベッドでっ!!わっ、こら、あ、…………ぁっっっ!」

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