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第6話 信頼の証とつながる心(7)★
「きっつ……蓮也さん、痛くない?」
「ん、平気……だからっ」
本当はちっとも平気ではなかったが、犬飼は気丈に振る舞う。
痩せ我慢であるということは羽柴も察したはずだ。けれど、こちらの心情を慮ってか、腰の動きを止めることはなかった。
そうして、少々時間はかかったものの、雁首の一番太い部分が入口を通過する。
「っ、入った……」
羽柴は息をつくと、そっとこちらへ倒れ込んできた。犬飼の額に張り付いた髪を払ったのち、柔らかく微笑んでくる。
「やばい。蓮也さんのナカ、すげー気持ちいい」
どうやら、粘膜が馴染むのを待ってくれているらしい。自分だって動かずにいるのは辛いだろうに、何気ない心づかいが、犬飼をよりたまらない気持ちにさせた。
思いのままに抱き寄せてやると、咥え込んだ屹立がビクッと脈打つ。そのことにすら悦びを感じながら、犬飼は耳元で囁いた。
「我慢せずに動いてくれ、羽柴。……俺も、もっと君を感じたい」
「ま、またそんなことを。言われる側の身にもなってくださいよ。蓮也さんだって、男受け入れるの初めてなんでしょう?」
「っは、そのはずなんだがな。こうして羽柴と繋がっているのが、嬉しくてたまらないんだ。だから、もっと満たされたいし――君にも良くなってもらいたい」
素直に打ち明けると、体内で羽柴の質量が増したのがわかった。
羽柴は胸元に顔を埋めてきて、困ったように呟く。
「だからズルすぎだっての。俺が年下だからって、もう」
「嫌か?」
「う……大好き」
そう告げながら体を起こすと、こちらの腰を抱え直した。
「入口はまだ辛いでしょうから、ナカでゆっくり動きますね」
続けられた言葉に、犬飼は微笑んで相槌を返す。それを皮切りとして、緩やかな抽挿が始まったのだった。
「ん、っ……あ」
優しく内壁を擦られて、鼻にかかった声が漏れる。
ひどい圧迫感があったが、一度呑み込んでしまえば痛みはさほどではなかった。服従し、支配される悦びを感じ取っているせいか、むしろ快感の方が勝っている。
「は、あっ……ん、羽柴――」
とろりとした眼差しで見やれば、羽柴は愛おしげにキスをして応えてくれた。
互いの口内をまさぐり合い、夢中になって貪るうちにも、控えめだった腰使いが徐々に大胆になっていく。
犬飼は満たされゆく感覚にすっかり酔いしれていた。が、ふとした拍子に、雁首の張り出した部分がピンポイントで当たって、その体を大きく仰け反らせることになる。
「ん、あぁ……っ」
艶めいた声が押し出されると同時に、口づけがほどけた。
先ほど指で愛撫された場所だ――そう理解すると同時に、羽柴も勘づいたらしい。腰の動きを一旦止め、狙いすましたかのようにそこばかりを責めてくる。
「さっき気持ちよかったの、このあたりですか?」
「や、待っ……そこ、は」
「気持ちいい? ――Say 」
「っ!?」
油断していたところにコマンドを放たれ、全身がぶわりと総毛立った。急激に膨れ上がった欲望に、犬飼は動揺せざるを得ない。
「プレイは……絡ませないって話、だろうが……っ」
「だって、蓮也さんの口から聞きたい」
息も絶え絶えに訴えかけるも、羽柴は悪びれた様子もなく答える。そればかりか、巧みに腰を使ってくるものだから、いよいよ始末に負えなかった。
「いい……気持ち、いいっ――」
犬飼は相手の背にしがみつき、必死になって言葉を紡ぎ出す。
あとはもう、なし崩し的だった。羽柴はご褒美とばかりにキスをくれて、犬飼のことをたっぷりと甘やかしてくる。
(こんなのもう、頭がおかしくなる……)
なんとか踏みとどまったが、サブスペースに入りかけているような心地だ。
コマンドを受けた体は、もはや理性ではコントロールできないほどにぐずぐずで、与えられる快楽をただ甘受するだけ。だというのに、プレイとは違って意識がはっきりしているのが、やたらと恥ずかしくて困りものだった。
「蕩けちゃってる蓮也さん、可愛い。……もっと奥、入ってもいい?」
「えっ、あ」
返事を待たずして、羽柴が腰を進めてくる。
内壁を掻き分けるように押し入ってきた熱は、あまりに雄々しく、そして圧倒的な存在感を放っていた。
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