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番外編 はじめての発情トラブル(2)★

 唇が離れたときには、すっかり出来上がっていた。犬飼は息も絶え絶えになりつつ、この続きを期待して問いかける。 「羽柴……リードは?」 「付けてほしい?」 「ん――」  こくりと頷くと、羽柴は柔らかく微笑んだ。それから、化粧箱の中に仕舞っているリードを丁寧な手つきで取り出し、「蓮也」と名を呼んではあらためて注意を引く。  犬飼は身を起こし、羽柴がいるベッドの縁へとすり寄った。 「蓮也はリード付けられるの好き?」 「あ、ああ。パートナーとしての繋がりをより感じられる……が」 「うん?」 「……君としては、やはり抵抗があるんだろうか?」 「ううん。蓮也が喜んでくれてるのわかるから、俺も嬉しいよ。ちゃんと教えてくれてありがとう、Good boy(いい子)」 「!」  カクンッと膝から力が抜けて、その場にへたり込む。コマンドを出されてもいないのに、本能的に「Kneel(おすわり)」の体勢をとってしまっていた。  そんなこちらの様子を小さく笑い、羽柴がおもむろに手を伸ばしてくる。 「発情しながらサブスペース入っちゃった? ――ほんと、蓮也は可愛いワンちゃんだね」  そうして首輪にリードを取り付けられれば、二人の主従関係が確かな形になった気がした。  犬飼は支配されている感覚に多幸感を覚え、恍惚の表情で羽柴を見上げる。すると、「よいしょ」と背後から抱き上げられて、そのまま一緒にベッドの上へ座る体勢になった――いわゆる背面座位のようなものである。 「Present(恥ずかしい所を見せて)」  耳元で囁かれた声はどこまでも甘い。コマンドに従って脚を開くと、先走りで濡れそぼった中心がふるりと震えた。  羽柴はその痴態を見下ろしながら、愛しそうに内腿を撫でてくる。 「よくできたね、お利口さん。次は自分で準備してみよっか」 「え……」 「あれ? 一人のとき、自分でお尻イジってなかった? 前にシたときより柔らかくなっていたのは……気のせい?」  口調こそ穏やかだったものの、すべてを見透かすような鋭い眼差しに射抜かれ、犬飼は目を泳がせた。  その反応が何よりの肯定だったようで、羽柴がクスッと笑みをこぼす。確かにこの二年間、自慰行為で後ろを使ってはいたが――、 「ねえ、どんなふうに一人でシてたの? Show(見せて)」  こちらの動揺など気にも留めず、羽柴がサイドテーブルに置いてあったローションを手渡してくる。  信頼関係が成り立っているからこその、有無を言わせぬ圧だ。恥ずかしくて顔から火が出そうだというのに、体は期待するように疼くのだから、もう始末に負えない。  犬飼は震える手でボトルを受け取り、中身を手のひらに垂らすと、おずおずと自身の窄まりへと触れた。 「……っ、く」  ゆっくりと指を挿入していけば、待ちわびていたように内壁が吸い付いてくる。  最初はおそるおそるといった具合だったが、徐々に指の動きが大胆になっていった。くちゅくちゅと卑猥な音を立てて中をかき回しているうち、不意に羽柴が口を開く。 「上手だね、蓮也。エッチな音たくさんしてるよ?」 「っあ……」  耳朶を()まれながら囁かれて、たまらない気持ちになってしまう。目の前であられもない醜態を晒しているという事実に、思わず愛撫が止まった。 「指、止めないで。ちゃんと解さないと」  羽柴は自分の指を唾液で濡らし、あろうことかこちらの指に沿って挿入してくる。二人分の指を咥え込んだ後孔は、歓喜するように収縮を繰り返した。

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