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小ネタ 蓮也さん用のオモチャ

「羽柴、何を見ているんだ?」  キッチンで食後のコーヒーを淹れていると、なにやら熱心にタブレットを操作している羽柴の姿が見受けられた。  犬飼はコーヒーを手渡しながら、同じようにソファーへと腰掛ける。かたや羽柴は礼を言って、何でもないことのように、 「ちょっと、蓮也さん用のオモチャを見ていて」  ……そう続けたのだった。 (それはつまり――アダルトグッズということか)  口に含んだコーヒーを吹き出しそうになったが、なんとか堪えてみせる。  羽柴とて健全な成人男性だ。そういったものに関心があったとしても、何らおかしなことではない。  ただ、やたらと呑気なもので、さらなる追い打ちを仕掛けてくる。 「うーん。蓮也さんはどういったのがいいですか?」 「俺に訊くのか……?」  思わず訊き返してしまった。  いや、確かにやぶさかではないのだ。羽柴が喜んでくれるのならば、何だってしてやりたいと思っている。  しかし、さすがに今の状況はいかがなものか――。  羞恥で頬を赤らめる犬飼に対し、羽柴はというと、いたって真面目な顔をしている。 「やっぱり、本人に訊くのが一番かなって」 「っ、そっち方面はどうにも疎いんだ……」 「どんなことだっていいですよ。大きさとか、あるいは材質だとか」 「そ、そうだな。……その、あまり大きいと辛いかもしれないとは」 「ああ、咥えるとき大変ですもんね。呑み込まない程度に小さいのにしておきましょうか」  羽柴がタブレットをスワイプしていく。犬飼は羞恥に耐えながらも、その手元を覗き込むことにした。 (……ん?)  そうして、ハッとさせられる。  羽柴が開いていたのは、アダルトグッズの通販サイトなどではなかった。表示されている商品はどれも犬用のオモチャで、一瞬にして合点がいった。 (なんて紛らわしいんだっ!)  どうやら早とちりだったようだ。羽柴は真剣に選んでくれているようだが、だんだんと居たたまれない気持ちになってくる。 「こういったぬいぐるみ系はどうです? 見た目だって可愛いし、デンタル効果もあっていいかな~って」 「いいんじゃないか……もう何だって」 「蓮也さん?」  羽柴が不思議そうに首を傾げる。その一方、犬飼は頭を抱えるばかりだった。 ───────────────────── <追記> ここまでお付き合いいただき、ありがとうございましたm(__)m 次話(小ネタ)は構想中につき未定です、ひとまずここで一区切りとさせていただきます。 まだぼんやりとネタはあるので、何か執筆したらおまけとして投稿したいと思います!

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