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小ネタ 遅ればせながら、姫始め(2)★

「こら、なんだこれは? いくらなんでも(さか)りすぎだろ」  犬飼が足先を使って、羽柴の股間に触れてくる。  羽柴は思いきり動揺した。はだけた浴衣の合間から、すっかり窮屈になっていた下着が覗く。 「っ、ちょっと」  居たたまれなさに声をかけるも、相手はお構いなしだ。  なおも犬飼は足を動かし、その形をなぞるように触れてくる。足指で器用に先端を揉まれれば、否応なしに反応を見せてしまう羽柴がいた。 「……蓮也さん、酔ってるでしょ」 「かもしれないな」 「かもしれない、って」 「俺だって、体が火照って仕方ないんだ。君ならどうにかしてくれるだろう、羽柴」  吐息交じりに言って、犬飼がこちらを試すように見つめてくる。  ……まさに一瞬だった。  辛うじて保っていた、最後の理性が焼け切れる感覚とともに――気がつけば羽柴は、本能に突き動かされるまま飛びついていた。 「わかってるよね、蓮也? そうやって自分から誘ったんだから……もう嫌だって泣きついても、許さないよ?」  答えなんて聞くまでもない。組み敷いた男の表情は、悦びを露わにするかのように蕩けきっている。  乱れた浴衣はもはや何の意味を成さず、素肌に点々と散りばめられた赤い痕が、羽柴の情欲をさらに煽った。 「ほら、俺だけを見て――全部、委ねて」  首輪(カラー)の縁をなぞりながら、甘ったるい声で囁きかける。  犬飼は恍惚とした顔で頷いた。そして、静まり返った客室に、衣擦れの音がやけに生々しく響いたのだった。     ◇  翌朝。目を覚ました犬飼の目に飛び込んできたのは、羽柴の無防備な寝顔だった。 「――……」  どうやら同じ布団に入って、腕枕をされた状態で寝てしまっていたらしい。  視線を落とせば、羽柴の浴衣はすっかりはだけている。たくましい胸板、そして腹筋までもが晒されており、犬飼は不覚にもドキリとしてしまった。 (ああ、そうだった。昨夜はあのまま――)  状況を把握するにつれ、ゆっくりと記憶が蘇ってくる。  らしくもなく気分が浮かれてしまったせいで、昨夜はつい飲み過ぎてしまった。  いや、酒の勢いを言い訳にするには、いささか度が過ぎていたかもしれない。犬飼はそっと首輪(カラー)を撫でて、小さく息をついた。 「まったく、過剰なサービス精神だな。よりにもよって慰安旅行で来たはずなのに、こんなことでどうする……起きたら説教か?」  ぼやきながらも、声にはまるで厳しさがこもらない。  犬飼は身を乗り出し、羽柴の唇に自分のそれを重ねた。 「君といると退屈しないな、本当に」  まだまだ手のかかる部下。それでいて自分だけのDomで、恋人で――心の底から信頼している相手。  新年早々、振り回されている気がしないでもないが、この男となら今年も悪くない一年になりそうだと思えた。

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