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夢の記憶
ちゅっ ちゅっ
何?
「ユウ…大丈夫?」
「……シュウ?」
「ごめん…大丈夫?」
「頭…クラクラして…真っ白になって…ちょっと…まだ…ぼ~っとする」
「ごめん…怖くない?気持ち悪くない?」
「うん...」
気持ち悪い?
どっちかと言えば、気持ちいいけど…
「唇のキスって…全然違うんだね?」
「ユウ…怒らないの?」
「……怒る?なんで?」
「初めて…だったんだろ?俺が…しちゃって…」
「怒る事…なのかな?…なんか…大和にいつも、色んなとこにキスされて…四葉にいつも色んな事させられて…よく、分かんなくなってんのかも…」
普通?は怒るのか?
シュウにキスされて?
「ユウ…俺…居ていいの?」
「え?何時?帰る?」
「違う…こんな事して…傍に居ていいの?」
「ああ…よく…分かんない。びっくりしたけど…焦ったけど…友達で…あんまり良くない事だって分かるけど…でも、それで気持ち悪いとか、嫌いっていうのは…よく分かんない」
「…~~~~っ!」
え?
シュウ…泣いてる
ってか…号泣
シュウの号泣見るの
初めて
「シュウ…大丈夫?」
「~~っ…バレたら…ユウと…離れるしかないと…思ってたから…」
「バレたらって……え?」
「ずっと…ずっと…ユウの事…好きだったから」
「……え?」
つまりは
四葉が読んでる漫画みたいな
男同士キスするっての
ずっと、やりたかったの?
こんな身近に
本物の人居た
「あ...ごめん。ユウが…俺の気持ちに応える必要ないんだ…気持ち…抑えられなくて…こんな事したの…悪いと思うけど……それでも、友達で居てくれるだけで充分だから…ありがとな」
気持ちに応える…って…
俺も…そんな風に、秀真の事好きって事?
「シュウの事…嫌いでも、気持ち悪くもないけど…多分…シュウの好きと…俺の好き…違うと思う…」
「分かってる…それなのに…嫌いにならないでくれて…ありがとう」
「嫌いにはならないよ」
けど…
シュウが、そんな風に思ってるなら
四葉に付き合って、あんな事するの辛くないか?
大和に…
相談してみようかな…
シュウが帰って
俺も大和もお風呂に入り終わったので
コンコン
「はい?」
ガチャ
「大和…ちょっといい?」
「いいよ」
ドアをしっかり閉める
こんなの…
他の家族に聞かせられない
ほんとは、大和にも言わない方がいいんだろうけど…
シュウと四葉を知ってる人じゃないと
「結叶?どうした?こっちおいで?」
「あ…うん」
椅子から立ち上がった大和が
ベッドに座って、隣をポンポンと叩く
大和の隣に座ると
「シュウと…何かあった?」
「……うん」
「そっか…結叶は…シュウの事、嫌いになった?」
「……え?」
あれ?
俺…
まだ何も言ってないよね?
「告白でもされた?キスされて…押し倒された?」
「…え…な…なんで…」
大和…
見てたの?
「今日の写真…かなりシュウ辛いだろなと思ってたから…」
「大和…知ってたの?」
「シュウとユウを…1番近くで見てきたからね」
「……そう…俺は…全然気付かなかった」
「そりゃ…ただでさえ気付きづらいのに、シュウ必死に隠してたからね」
必死に…
大和には、そう見えたんだ
「俺…びっくりしたし、焦ったし、友達同士でおかしいって分かってるけど…シュウの事嫌いにならないし、気持ち悪くもなかった…おかしいのかな?」
「おかしいって事ないよ。それが今の、結叶の正直な気持ちだろ?」
「でも、シュウは、バレたら離れるしかないと思ってたみたいで……シュウ…号泣したんだ」
「へぇ…凄いね」
「うん…」
どんなに凄いかが
大和には、すぐに伝わる
「そんな風に思う人が多いからでしょ?だからって、皆と同じじゃなくていいんだよ?」
「うん…俺には、よく分かんない。それで…とりあえずの最大の問題が…」
「四葉か…」
「うん...ほんとに、そういう事したいって思う好きなら…出来ないのに、あんな事させられるの、辛いよね?」
「そうだなぁ…」
かと言って…
シュウが来なくなるのも嫌だし
せっかく来てるのに、四葉泣かせたくないし
う~~~~...どうすれば…
「ちょっと…考えさせて?」
「うん…明日、どうしよう?」
「明日の帰りまでに、何とかする」
「うん…ありがと」
どうにか
いい考え浮かべばいいけど
「でも、そっかぁ…結叶、ファーストキス済んだんだぁ…」
「えっ?……うん」
……って…
ファーストキスだって、バレてんだ
「…結叶…キス、上手く出来た?」
「いや…上手いも何も…訳分かんないままに…クラクラして…頭真っ白になってた」
「ふっ…ちゃんと息してた?」
「多分…ちゃんと出来てない」
「じゃあ…ちょっと練習しよっか」
「…え?練習って…んっ?…んんっ?」
待って…
大和…唇にキスしてきた
「んんっ!…んっ…んっ…!」
今まで唇には、してこなかったのに
なんで?!
…って、練習か
「ユウ…息継ぎ…」
「はっ…んんっ!…んぁっ…はっ…んんっ!」
また…舌…
キスって…
イコール舌入れるなの?
知らなかった
「ユウ…息…」
「んはっ…んんっ!…~~~~っ!…んっ!」
息継ぎ…難しい!
だって…
どのタイミングで…
どうやって動くか分かんないもん
「ユウ…」
「んはっ…んっ!……はっ…ん~~~~っ!」
また…クラクラしてきた
「んんっ!」
大和の服にしがみ付く
息どころじゃない
意識…なくなりそう
「んんっ!…~~っ!…んっ…~~~~~~っ!」
あ…
また…少し意識なくしてた
「大丈夫?」
大和が、胸に抱き締めて聞いてくる
「俺…キスの才能ないかも…」
「ふっ…大丈夫。練習してたら…上手くなるよ?」
「ほんとに?」
「ほんとに…」
兄の、こんな言葉を
素直に聞いてしまうくらい
俺は、世間知らずの常識外れだった
「行って来ま~す!」
「行ってらっしゃい」
「あ、待って待って…ユウ」
四葉が、焦って俺の元に来る
「ん…四葉も、気を付けて行くんだぞ?」
「ん。行ってらっしゃい…ちゅっ」
「行って来ます」
俺の、おませな妹は、家族皆の行ってらっしゃいに、頬っぺにちゅ~をしてくれる
可愛い
1日頑張れる
玄関を出ると
「シュウ…おはよ」
「おはよう」
「そこで待ってたの?なんで家入って来なかったの?」
「……今、来たとこ」
「…そっか。行こ?」
気まずいか
そりゃ、そうだよな
俺だって、ちょっと気まずい
「ユウ…」
「ん?」
「昨日…ちゃんと眠れた?」
「…あんまり。シュウは?」
「…あんまり」
「そっか。でも、友達なのは、変わらないだろ?」
「うん」
あんな号泣したのに、眠れなかったんだ
俺も、ほとんど寝てないけど
別に…
シュウに告白されたからではなく
シュウと、大和にされたキスの感覚が
何度も何度も蘇ってきて
全然眠れなかった
「穂積 ~」
「……ん」
「次、音楽室だぞ?そろそろ起きろ~」
「………ん」
「全然起きねぇじゃん」
授業は堪えた
けど
給食食べたら、一気に眠気が
「ほらほら、遅刻するぞ~?」
「誰か、穂積おぶってやれよ」
「穂積なら、おんぶいけるな?」
「俺もいいぞ?」
「………起きる」
「おお~。穂積が、俺らのおんぶ拒否った」
中2にもなって
おんぶなんてしてもらえるか!
ふらふらと、皆の後ろを付いて歩く
眠い…眠い…
「大丈夫か?穂積」
「ん…眠いだけ…」
「ほら、荷物持ってやるから、しっかり歩け」
「ありがと…」
中途半端に寝たのが悪かったか
歩きながらでも眠れそう
階段…手摺り掴まなきゃ
「ちょっと、穂積気を付けろよ?」
分かってる
「あ!予鈴なった!」
マジで?
「急げ急げ!」
急げ急…
まだ続くはずの手摺りが
急に手の中から消えた
「穂積!」
視線の先から呼ぶ
焦った顔と声
とんでもない事が起きたんだ
だって俺
浮かんでる
「……!……!」
声…
一生懸命な声…
「蓮 !蓮!」
聞こえてるよ
応えられないけど
「蓮…行っちゃうの?」
ごめん…葵
全然、一緒に遊んであげれなかった
寂しい思いばかりさせた
「蓮!…いや~っ!…蓮!」
ごめん、母さん
こんなに…こんなに…
沢山してもらったのに
「……み!……穂積!」
……え?
ほずみ?
「大丈夫か?!穂積!」
パチッ
「おお!穂積、分かるか?」
え?
「ぼ~~っとしてんなぁ…一応、保健室運ぶか。お前らは授業行け」
「え~~!俺達も心配だから、一緒に行く」
あれ?
そうだ
ここ学校
「……先生」
「お?分かるか?」
「…坂下…先生」
「ん~…なんか、ぼ~~っとしてんな。とりあえず保健室だ。おんぶするからな?」
おんぶ…
結局、今日は
おんぶされなきゃ、なんない日だったんだ
なんか…
不思議な夢見てた
自分が死ぬ夢?
「……先生」
「なんだ?もう着くぞ?」
学校の…
中学校の先生
「…先生…」
「ん?具合悪いか?」
学校で
学校の先生の背中だ
「先生…」
「なんだ?って」
「…学校…楽しい…」
「あ?ふっ…そうか。そりゃ、何よりだ」
学校…
ずっと行きたかった
中学…
ほとんど行けなかった
友達と遊んで
ふざけて
ちょっと悪い事とかして
好きな人できて
友達同士、そんな話したり
「お兄ちゃん!あのね、お兄ちゃんが、学校行ってるお話書いた!」
ありがとう
葵…寂しいのに
いつも、ありがとう
「……?……そうですね」
「……家族に…ええ…病院……救急車…」
病院?
救急車?
また…
また病院…
嫌な音が近づいて来る
これに乗ると
行き先は決まってる
白くて、消毒液の匂いがする場所
やだ…
せっかく学校居たのに
「…行きたくない」
「目覚めたのか?一応、病院行くぞ?家族には連絡しといたから」
「…~~っ…先生…学校…居たい…」
「……また、すぐ戻って来るだろ?」
先生が…頭撫でてくる
先生…
すぐには戻れないんだよ
1回あそこ行くと時間かかるんだ
もしかしたら…
もう
戻って来れないかもしれない
「あのね~…蓮は、男の子達に、モッテモテで~」
「俺…男なのに…男の子達に…モテるの?」
「そう!BLだも~ん」
「ビーエルって?」
「ボーイズラブだよ。男の子同士の恋愛ものなの」
「ふ~ん?…葵は…俺の知らない事…いっぱい…知ってるね?」
「いっぱい教えてあげる!…蓮…もう疲れた?少し休む?」
「うん…そうしようかな…」
ごめん…
せっかく葵が楽しく話してるのに
少し起きて話してるだけで
苦しくて…疲れて…
ごめん…
こんな兄ちゃんで…
「…!!……ユウ!!」
あ…
また俺寝てたんだ
ごめん…葵…
「ユウってば!起きて!!」
「四葉…皆、具合悪い人ばかりだから、大きな声出さない様にしようね?」
よつは?
葵じゃなくて?
もう1人は、父さん?
「だって…グスッ…なんでユウ、起きないの?」
「大丈夫。先生が大丈夫って言ってたんだから」
「そうよ、四葉。少し寝てるだけ」
母さんも居る
先生…大丈夫って言ってたんだ
良かった
「大和…四葉と少し休んでたらどうだ?」
「いや!四葉居る!」
「俺も…結叶目覚める時…居たいから」
「そうか…」
やまと?ゆうと?
父さんは別で…
あれ?
やまとって大和だ
結叶って俺じゃん?
そうだよ
妹は四葉で…
「ユウ!」
「結叶!」
「分かるか?」
「お母さん、看護師さん呼んで来るわね」
そう…
これが俺の家族
でも…
何だろう…
「ユウ!分かる?四葉の事、分かる?」
四葉…だよな?
そう…生まれた時から
俺の妹は四葉だ
「ユウ!分かんないの?!」
「…分かる。分かるよ…四葉」
「びっくりさせないでよ!ユウ…死んじゃうのかと…思ったでしょ…う~~っ…」
「あ…ごめん…ごめん、四葉」
四葉の頭を撫でてやる
「結叶…学校の階段から落ちたんだぞ?救急車で運ばれたんだ。覚えてるか?」
「…なんとなく…ごめん、父さんも母さんも、仕事…」
「馬鹿だな。そんなの謝らなくていい。良かった…検査で異常なさそうなのに、結叶、全然目覚めないから、先生も心配してたんだ」
昨日…
全然寝てないから…
なんて…
こんな大事になってしまって言えない
「大和も、心配かけてごめん」
「結叶が元気なら、いいよ」
結局、異常なしの俺は
早々に退院出来て
念のため、土日は安静にと言われた
今日が金曜日で良かった
家に帰るまでも
四葉は、全然俺から離れようとしなくて
相当心配させてしまった
家に帰ると…家の前に…
「シュウ!」
「ユウ!大丈夫なのか?」
「え?シュウ…ずっと家の前で待ってたの?」
「家の中から見てたけど…落ち着かなくて…」
「ごめんね~。シュウ君にも連絡すれば良かったわね?バタバタしちゃって…」
「いえ…分かってます」
うわぁ…
俺が寝不足だったが為に
とんでもない事になっちゃった
「とりあえず、シュウ君も入って?」
「はい…お邪魔します」
家に入ると
落ち着いたのか、四葉がようやく離れた
そして、ようやく俺も詳しい説明を聞く
幸い俺は、階段5、6段位から落ちたにも関わらず、ちょっとした、打撲、擦り傷で済んだらしい
ただ、それにしては、全然目覚めないとの事で色々検査したり、様子見にされてたそうだ
頭に異常があっても、おかしくない高さなので、結構先生も慎重になってたらしく
それが、多分家族にも伝わったんだろな
「ユウ…色んなとこ、痛いのか?」
「少しはね。でも、動けない程じゃないよ」
「ユウ…」
「ごめん…皆にいっぱい心配かけた」
学校も
大変な事になってたろな
「シュウ君も、一緒にご飯食べてったら?」
「いえ…ユウの顔見れたので、帰ります」
「え?帰んの?」
「シュウ君、帰るの?ユウ大変なのに?ユウの傍居ないの?」
四葉…
もはや、シュウは家族だと思ってるな?
「四葉、俺は重病人じゃないぞ?1人でちゃんと動ける」
「でも…でも…」
「シュウ、四葉のお願いだ。金曜日なんだし、泊まってったら?」
「大和、シュウだって色々都合…」
「分かった」
え?
いや…
俺は、いいんだけどさ
シュウ…いいの?
ってか、大和…事情知ってるよな?
これは…別に気にする事じゃないのか?
ご飯食べて、お風呂入って…
なんか、もう眠くなってきた
せっかく、シュウが泊まりに来てるのに
「結叶、痛み止め飲む?」
「…大丈夫…眠いだけ…」
「そう。じゃあ、もう寝なさい?シュウ君、付いてってもらっていい?」
「分かった」
眠い…
なんで、こんなに眠いの?
今日いっぱい寝たのに
心配そうに、体を支えるシュウと共に部屋に入り
なんとかベッドに到着
おやすみ…
眠い…
だるい…
苦しい…
「可哀想よね…」
「まだ14歳だって…」
「妹さん、凄く懐いてるわよね?」
「お兄ちゃんに手がかかると、寂しい思いしてきたろうにね?」
「お兄ちゃん大好きだもんね?」
可哀想…
そうだよな
だって…まだ14歳だし
14歳なのに
色んな事出来てない
「さ、綺麗になったわよ」
「今日も、妹さん来るからね。格好良くしとかなきゃね?」
ありがとう
喋れなくても
何にも出来なくても
やっぱり…
ほんの少しでも
格好いい兄ちゃんで居たい
あと…
何回会えるかな
もう見えないけど
最後まで
声聞こえるといいな…
「ユウ…」
ユウ?
誰…
「ユウ…」
この声…知ってる
「ユウ…」
「……シュウ?」
あれ?
何だっけ?
暗いから夜
なんで…シュウ…
俺の頬っぺ触ってんの?
「ユウ…泣いてる」
ユウ…泣いてる?
「……え?俺が泣いてるって事?」
「そう…」
あ...だからシュウ…
さっきから、頬っぺ触ってんのか
涙拭いてたのか
…って
「なんで、俺、泣いてんだっけ?」
「分からない。痛いの?」
「?……痛くない」
「じゃあ…俺が居るから?」
「?…シュウが居て、なんで泣くの?」
「…じゃあ…怖い夢でも見た?」
「……夢……なんか…見てた気がする」
「そう…」
なんの夢だっけ?
なんか…
なんか…
「...~~~~っ…凄く…悲しい夢…だった気がする…」
「ユウ…思い出すと…もっと泣いちゃうから…」
「…っ…うん…」
でも…
思い出したい様な…
思い出せないのに
悲しい様な
寂しい様な
言い表せない…
何かが足りなくて埋まらない様な…
そんな強い気持ちだけが
凄く残ってる
「ユウ…大丈夫?」
「…っ…~~っ…ごめんっ…ちょっと…待って…」
俺は、小さい子供か?
夢見て、泣いて
シュウにしがみ付いて…
「ユウ…一緒に寝ていい?」
「んっ…いいっ…」
シュウがベッドに入って来ると
すっぽりと俺を、胸の中に包み込む
「~~っ…ごめんっ…自分でもっ…よく分かんなっ…」
「うん…大丈夫…」
「うっ…ごめっ…ちょっと…待ってね…」
「いいよ…大丈夫…」
シュウの、俺を撫でてくれる手が
凄く優しくて
そのまま俺は眠ってしまった
ガチャン
「ユウ、シュウ君、朝ごはん食べない……」
バタバタ バタバタ
パシャパシャ パシャパシャ
何…
寒い…
布団は?
寒いよ…
あ…そうしてくれると、あったかい
「四葉…」
「何?シュウ君」
「ユウ…怪我したばかりだから…」
四葉とシュウ?
「風邪まで引いたら、大変」
「あ、そっか。じゃあ、ユウの顔出るとこまで」
パシャパシャ パシャパシャ
何…
なんか、心地いい
あったかい
俺のベッド、こんなんだっけ?
「起きたのか?」
上からシュウの声?
目を開けると
えっと…?
これは…シュウの胸?
あれ?
上を見上げると
「おはよう、ユウ」
「…………おはよう、シュウ…?」
何だっけ?
この状況…
「あれから、眠れた?」
「あれから…?」
あれから…あっ!
夢見て、俺…
「えっ?ごめん!俺、あれからずっと、シュウの事、離さなかったの?!」
「離さなかったって言うか…あのまま熟睡してた」
「うわぁ…シュウ…寝れなかったよね?」
「離れて…ユウがまた、泣いてるかと思う方が眠れない」
そう言って、また頬っぺを、触ってくる
パシャパシャ パシャパシャ
あ、そうだった
この、パシャパシャ
「四葉…おはよ」
「おはよう、ユウ」
「ふっ…俺とシュウが一緒に寝てるの見れて、良かったな?」
「うん!すっごく良かった!」
必死…
四葉の写真のデータ…
誰かに見られたら、エライ事になる
個人情報の保護には、気を付けて欲しい
「いい!ユウ、私じゃなくて、シュウ君見て!」
昨日は、あんなに、しがみ付いてたのになぁ
シュウの方を見る
幼馴染みで、親友で…
俺が欲しかった…
欲しかった?
大切なシュウ…
なんで、突然こんな事思うんだろ?
シュウに出会えて良かった
「…っ」
「あ!シュウ君!ユウの方見てて!」
「……っ…」
1度顔を逸らしたシュウが
再び、こっちを向くと…
「……え?シュウ…どうした?」
「………っ…その…顔…」
顔?
何もしてないのに…
顔真っ赤で
照れてる!
シュウの照れ顔ヤバッ!
「いい!シュウ君いい!そのまま!」
四葉さん…
これ、シュウ限界だよ?
そして…
その顔は、俺も
なかなか限界だよ?
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