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名前読んでて

「……ん…あれ…?」 「ユウ…起きた?」 「シュウ……ん~~!よく寝…っ!」 忘れてた… 思いっきり伸びながら起き上がろうとして 背中が痛かった事を思い出す 「大丈夫?」 「うっ…熟睡して、痛いの忘れてた…」 「ユウ~!起きたの?おはよ」 「四葉…ソファー取っちゃってごめんな?」 「ん~ん。ユウ、いっぱい寝るね?」 「うっ…寝てばっかだな?」 でも、背中痛いけど 体だるいの良くなったかも 「ユウ、熱は?」 「下がったっぽい」 「どれ?」 大和が、俺の額に手を当てると 「どれ?」 四葉も真似して当てる 可愛い 「ほんとだ。でも、まだ少しあるかな」 「この位なら、全然平気」 「ユウ…お熱出る事多いから、慣れちゃった?」 「…そうかもな?」 健康だけど 通院とか、入院しなきゃならない病気が、ある訳じゃないけど 何て言うか… 皆より風邪引きやすい 風邪引くと、皆より重症 人混みが苦手で気分悪くなったり すぐ乗り物に酔ったり 蓮に比べたら 全然、皆の時間奪ってないし 心配も少しだし ちゃんと、すぐに回復するけど 「ごめんな?心配かけちゃう兄ちゃんで」 四葉の頭を撫でる 「ユウ…さっきも言った…四葉…ユウがお兄ちゃんで嬉しいもん。四葉のお兄ちゃん、大和とユウで嬉しいもん」 「そっか。ありがと。俺も四葉が妹で嬉しいよ」 「うん!」 葵には… あんまり伝えてやれなかったな 何やら、俺が寝てる間に 今日も、シュウが泊まるという話になってたみたいで いいのかなぁ… 「ユウ、お風呂入るの?大丈夫?」 「熱、高くない間にね。シャワーだけにするよ」 「心配だから、誰かと入ったら?」 「はい!はい!四葉、一緒に入る~!」 「いっ…?!」 四葉…お前は、もう小6だろ! 俺、中2! 兄妹でも、アウトだろ 「じゃ、四葉にお願いするわね~」 「なっ?!」 母さん! 「おっ…俺、大丈夫だから!」 俺だって恥ずいよ 「心配だもの。いいじゃない。久しぶりに兄妹で入ってらっしゃい?」 「うん!」 無理無理無理無理~! 久しぶりにって… 最後一緒に入ったの、もう2年位前じゃん! 子供の成長は、早いんだよ?! かと言って、シュウと入る訳にもいかないし シュウが居るのに、大和とってのもおかしいし 「母さん、もしも倒れたら四葉じゃ無理だよ。俺が一緒に入るよ」 「あっ…そっか。じゃあ、大和お願い」 「え~~!四葉も入る~!」 「そんなに入れないよ。四葉は今度、俺と入ろ?俺は、調子悪くなったりしないから」 「……うん…分かった」 「よし。四葉は、いい子だな」 「へへっ…」 助かった… 大和ありがとう ってか… 大和と四葉でお風呂とか…いいの? 「大和、一緒に入ってくれて、ありがとう」 俺の背中を優しく洗ってくれた後 湯船に浸かってる大和に声を掛ける 「結叶、凄く困ってそうだったから」 「だって…兄妹とは言えさ、もういい歳なのに…四葉も母さんも、何とも思わないのかな」 「四葉は……うん。母さんは、俺達も四葉も良ければいいって、思ってんじゃないかな?」 四葉は、うんって何? 「結叶…背、少し伸びたかな?」 「ほんと?俺にも成長期はあるんだろうけど…大和みたいに大きくはなれないよね?」 「それは、分かんないな。でも、父さんも母さんも、それなりに身長あるから、期待出来るんじゃない?」 「だったら、いいな」 記憶にあるのも14歳まで それ以降、どんな人生になってくのか 15歳からも生きれると思うと嬉しい 「結叶、俺が教えた筋トレメニュー頑張ってるの?」 「一応ね。出来る時は…だから、今はやってないけど」 「うん。なんか、前より少し筋肉付いてる感じ」 「ほんと?!ほんとに?」 「ははっ…そんな嬉しい?」 「うん!」 俺の人生で 筋肉なんてものが付く日が来ようとは… 頑張ろっと 「おやすみ、シュウ」 「おやすみ、ユウ」 昨日と同じく、俺のベッドの横に布団を敷いて、シュウが寝る 寝る前に、痛み止め飲んだから? 痛みが少し軽くなって あっという間に眠ってしまった 「なんで?!なんで、お母さん、来てくれないの?!」 「葵…ごめんね?」 葵…怒ってるの? 「皆来るって言ってるもん!お父さんでもいい!」 「お父さんは、仕事忙しいから…」 「じゃあ、お母さん来てよ!なんで?!お母さんっ…~~っ…お兄ちゃんだけの…お母さんなの?!葵のお母さんでしょ?!うわ~~~ん!」 ああ… なんか…学校の行事? 俺が居るせいで、母さん行けないんだ 「葵…ごめんね?葵のお母さんよ。葵の事大好き。葵が、いっぱい頑張ってるのも、葵が、いっぱい我慢してくれてるのも知ってる」 「お兄ちゃんばっかりだもん!いっつも、お母さん、お兄ちゃんばっかりだもん~~~~!」 「ごめんね?そうだよね?そうだ。おばあちゃんに頼んでみようね?そしたら、お母さん、行けるかもしれないから」 「うぇ~~~~ん!うぇ~~~~ん!」 ごめん…葵… ごめん…母さん… 葵も母さんも悪くない 悪いのは俺 「……っく……ひっく……」 「………あおい?」 「あっ……蓮っ…うっ…」 まだ… 泣いてたんだ 「ごめんね?葵…兄ちゃん…いつも…お母さん取っちゃって…」 「…っ…~~~~っ…」 「葵の…お母さん…なのにな?兄ちゃん…ばっかり…母さんと居るよな?」 「うっ…うっ…ふぇっ…」 「父さんも…兄ちゃんに…お金かかるから…仕事…忙しいんだ…ごめんね?」 まだ…小学3年生 いっぱい甘えたいのに… 「うっ…ふぇ~~~~ん!」 「あら、蓮、起きたの?」 「うん...母さん…ごめん…俺…入院出来ないかな?そしたら…母さん…学校行ける…」 「蓮…聞こえてたの?」 「うん...」 そう言うと 母さんが優しい顔で 「葵はね、蓮に謝りたくて、泣きながら待ってたのよ?」 「……え?」 「お兄ちゃんの事、大好きなのに、お兄ちゃん頑張ってるの知ってるのに、酷い事言っちゃったから、謝るんだって、蓮が起きたらすぐ謝るんだって。蓮、寝てたから、聞こえてないと思ってたら、ちゃんと聞こえてたのね?」 寝てる事多いからね 耳はいいし 俺の元気なくても 働いてくれるんだ 「うっ…お兄ちゃ…ごめんなさいっ!」 「葵が…謝る事ないよ?」 「お兄ちゃん…いっぱい、いっぱい頑張ってるからっ…いっぱい寂しいからっ…うっ…お母さ…もっ…お父さん…もっ…いっぱい優しくするのっ…分かって…るっ…」 「それと…葵が寂しいのは…別だよ…俺が…葵に…っ…寂しい思いっ……させてるのはっ…~~っ…ほんとだからっ…」 だって 俺が生まれた時から、ずっとだもん 勿論、葵が生まれてからも、ずっと ずっとずっと 父さんも母さんも 俺の事で大変で… 「~~~~っ…ごめんね?…っ…ごめんね?」 「蓮…泣くと、苦しくなっちゃうからね?ゆっくり息して…?ふぅ~~って…そう。大丈夫?苦しくない?」 「……うん…大丈夫…」 泣くも笑うも 沢山喋るも 抑えて…抑えて… 妹の為に泣く事さえ 出来ない 「~~~~っ…」 ほんとは… いっぱい、いっぱい泣きたかった 「……っ……うっ…~~~~っ…」 葵に、母さんに、父さんに いっぱい、いっぱい ごめんと、ありがとう言いたかったけど 「うっ…うぅっ……ふっ…~~っ」 言うと、泣いちゃうから 苦しくなったら 皆が大変な思いするから 「~~~~っ…うっ…うっ…~~~~っ」 沢山の言葉飲み込んだ 大切な事ほど 沢山伝えれなかった 「大丈夫…大丈夫だよ」 ? 頭… 誰かに撫でられた 「大丈夫…ユウ…大丈夫だから」 この声… シュウだ 「っ……シュウ?」 「ユウ…目覚めた?」 「…うん…っ…ごめっ…起こした…」 「ユウ…そんなに泣く程の夢だった?」 「あ…っ……うんっ…ごめんっ……っ…ちょっと…リアルっ…過ぎて…」 「ユウ…そっち行っていい?」 「うんっ…」 ヤバい 2日連続、夢見て泣いてたら 不審がられるよな? 「ユウ…」 シュウがベッドに入って来て 向かい合って抱き締める 「うんっ…もう…大丈夫」 「誰かに…何かされる夢?」 「…ううん…そうじゃない…」 「怖かったり…痛かったりする夢?」 「ううん…っ…違うよ」 何の夢って言ったらいいのか 悲しいとも 嬉しいとも 寂しいとも 幸せとも違う 「ユウ…夢だよ?夢だから…」 「うん…そうだ」 終わったんだ 今更…なんだけど あんまり鮮明に覚えてて… 「シュウ…」 「ん?」 「名前…呼んでてもらっていい?」 「ユウ…」 「んっ…」 「ユウ…」 「うん…」 「結叶…」 「うんっ…」 俺は、穂積 結叶 ここは、穂積 結叶の人生 「結叶…ユウ…」 「うん…シュウ…秀真…」 シュウと… 大和と… 四葉が居る 結叶の世界 「ユウ…結叶…」 寝た… ユウの額に手を当てる 熱くない 寝る前に薬飲んでたし 昨日は、熱のせいで 怖い夢見てるんだと思ってたけど 階段から落ちるなんて 物凄く怖い体験したから 怖い夢とか、辛い夢とか 見てしまうんだろうか それとも 脳震盪の影響とかあるのかな 「…ん」 俺の胸の中で、ユウが少し動く 「大丈夫だよ…ユウ」 頭を撫でると 「ん…」 俺の背中に回してた手を 俺の胸に持ってきて、きゅっと服を掴んだ 「ユウ…大丈夫だよ?」 ユウの頭にキスをする ユウとの出会いは 俺達がまだ、母さんの腹の中に居た時 ちょうど同じ位に、出産予定だった母さん達は 定期健診や、母親教室で何度も会い意気投合 母親教室で、父さん同士も会って意気投合 それから、ずっと仲良くしてて 俺達が幼稚園に入る頃 同時に、隣の敷地に家を建てて、引っ越した 毎日毎日 飽きもせずに沢山遊んだ お互いの兄と、四葉が生まれてからは四葉も 皆でキャンプ行ったり バーベキューやったり 旅行行ったり ほんとに、ほぼ家族だ 四葉が、小3になった頃 なんだか、変わった漫画にハマりだしたとユウが言ってた 四葉も、なんだか嬉しそうに話してたけど 少女漫画に、まるで興味がなかったので 全く気にしてなかった 四葉が小4になった時 「シュウ君、これ読んで?」 四葉が、漫画を貸してきた 「…俺…少女漫画なんか読まないよ」 「いいから、読むの!」 男ばかりだった中に 唯一現れた末っ子の女の子 俺達の中で四葉に敵う者は居ない パラパラとページを流し読みする様にめくると 男の絵が多い 絵は、少女漫画っぽいけど 内容は違うのか? 適当なページを開いて読んでみる 男の友情的なのとか 仲間との絆とか ふ~ん…これなら面白いかも と、思ってたら 男同士が、キスしだした 何これ? こんなの見て、四葉気持ち悪くないのかな そこで読むのを止めた 数日後… 「シュウ君、読んだ?」 「少し…でも、あんまり俺は読みたいと思わない」 「ダメだよ。シュウ君は、ちゃんと知っとかないと」 「?……知っとくって?」 「いいから。感想とか、どうでもいいから、知識として、知っておいて欲しいの!ちゃんと読んで!」 「……分かった」 感想求めなくても ちゃんと読んでないと、何か質問されて 答えれなかったら、怒られそう 俺は、とにかく全部目を通して四葉に返した 「ちゃんと読んだ?」 「読んだ」 「じゃあ……」 案の定と言うか… 幾つかの質問をされた 読んでれば絶対答えれる けど、読んでなかったら絶対分からない質問 四葉…怖い それから四葉は、時々それを繰り返し すっかり俺はBL読者になってしまった ユウが言ってた、変わった漫画がこれで それを元に 毎日、大和と写真撮影されてんだって言ってたけど 一体四葉は 何を考えて俺に、これを読ませ 兄達に、その漫画を元にした撮影会をさせてるんだか 四葉に漫画を返す為に行く お互いの家の合鍵を持ってるので 「ごめん下さい」 と、中に入って行く 「いい!ユウ、もっと伏し目がち!」 何? 四葉の声 「大和は、ユウの目を見て!」 何だ? リビングのドアを開けると 四葉が、ソファーの大和に向かって叫びながら パシャパシャと撮影している これが、話に聞いてた…… え…… 今まさに 大和の腕にもたれかかったユウが 大和にキスされそうになってる 「ユウ、少しお口開いて…そう!」 「大和、ちょっと、顎触ってる手、適当に動かしてみて?」 「こうかな?」 「んっ…!…やっ…まと…首…触んないでっ…」 「あ、ごめん」 何…その…ユウの顔… その…声… 「っ…!」 何とも言えない気持ちになって 俺は、そっとユウの家から逃げ帰った ユウの声が 頭から離れなかった 寝ようとしても 何度も何度も ユウの顔と声が出てきて 頭、おかしくなったのかと思った 次の日、ユウと普通に話した 話したけど ユウの少し開いた口を見ると思い出す 喋ってる時 食べてる時 全然違う顔なのに 気になってしょうがなかった 夜になると 夢の中で、あの時のユウが出て来る あの顔で…声…… 朝目覚めると、自分の体の異常に気付いて トイレに駆け込んだ こんなの、おかしい これは、きっと悪い事だ 「シュウ…」 「何?」 「なんか…怒ってる?」 「?…怒ってないよ?」 「……そう?」 俺達が中学に入るまでは 俺の母さんが家に居たので 大和が帰って来るまで、ユウと四葉は、うちに居た 「なんか…俺の方見てくれないから」 「そう?」 ユウの方を向くと 「ほんとに…怒ってない?」 不安そうな顔させた… 「ほんとに怒ってない。ごめん…不安にさせた」 「シュウが怒ってないならいい。俺…気付かないうちに、何かしたかと思った」 「してないよ…ごめん」 無意識に… 顔見ない様にしてたかな 「じゃあ!シュウ君とユウの仲直りに、ちゅ~ね!」 「…え?」 「四葉、喧嘩してた訳じゃないよ?」 「いいの!また仲良しになる儀式なの!」 儀式… 穂積家は… と、言うか、穂積3兄妹は よく、ちゅ~をしている 「はいはい。ちゅ~すればいいんでしょ?」 「うん♪︎」 「シュウ、するね?」 「うん…」 たまに、俺も巻き込まれる 俺より体の小さなユウが 膝立ちになって、俺の肩に手をかける 俺の頬のすぐ傍で 「シュウが怒ってなくて良かった」 そう言って、ちゅっとした 「ほら、四葉…これでいいのか?」 「うん!いい!」 「四葉ちゃんは、オマセさんね~」 母さんが、そう言ったところで 大和が迎えに来て、ユウと四葉は帰ってった 大和と一緒に帰って来た朔兄が 一緒に階段上りながら 「シュウ…なんで顔赤いの?」 と、聞いてきた 「…え?俺の顔…赤い?」 「赤い。四葉にファーストキスでも奪われた?」 「…奪われてない」 「じゃあ、ユウに?」 「えっ?」 ユウに… 「えっ…マジで?」 階段上がったとこで立ち止まり 朔兄が聞いてくる 「ちっ…違う…ほっぺに、ちゅ~されただけ」 「あ?ほっぺにちゅ~だ?んなもん、今までもしてきただろうが」 「うん…だから…何でもない」 「?…欲求不満か?ちゃんと出しとけよ?」 欲求不満… 出す… 何を…? 「…出すって?何を?」 「……えっ?お前…まだ……えっ?」 部屋に入ろうとした朔兄が 驚いて振り返った 「?……何?」 「……いや…そうか…そうかもな…うん」 朔兄が、うん、うんと頷くと 「シュウ…ちょっと来い」 と、朔兄の部屋に呼ばれ 保健の授業が始まった そこで初めて、この前の朝の現象が分かった ユウだけど… 人のキスしそうな顔とか、見ちゃったから、そうなったのかな 病気かと思ったから、少し安心 あんまり、そういうの見なきゃいいんだ それから、ユウとは普通に…普通に… 今まで通り… 幼馴染みとして、仲良く出来ていた 中学に入ると 中3にしては、大人っぽい女の先輩に告白された 名前も顔も知らない けど、お試しでいいよ と、軽いノリで付き合った 女の人と ちゃんと付き合って、確かめてみたい気持ちもあった たいして話をする訳でもないのに、何がいいのか その人は、男女が付き合ったらするという事を、俺に教えてくれた 皆、彼女が欲しいって言ってる けど… そんなに言う程、何がいいのか デートは、楽しくない訳じゃないけど 先輩の楽しい気持ちと、俺の気持ちは、まるで離れてると思う そういうものなんだろうか? キスは…思ってたのとは違った 気持ちいいとか…全然思わなかった セックスは、気持ち良かった けど…なんだろう… 先輩が気持ちいいのとは、違う気がする 先輩と付き合って3ヶ月位経った頃 先輩とのデートを、四葉に目撃された 四葉が…めちゃくちゃ怒ってた 「シュウ君!」 「……何?」 中学に入ってからは、俺の母さんも働きだしたので、お互いの親の意向で、俺はユウの家でご飯を食べる事になった 四葉は、俺達が帰るまで学童行けと言われたのに、1人で待てると言って聞かなかったらしい 「ちょっと!」 グイッと引っ張られて、夕飯の支度をしてるユウの方に歩いてた俺は、逆方向に連れてかれる 「…何?」 「どういう事?!」 四葉が、小声で怒ってる 「どういう事って?」 「昨日のは、彼女なの?!」 「そうだけど…?」 「んも~!どうして、そうなっちゃったかな?!」 どうしてとは? 「いつから?!」 「3ヶ月位前から」 「シュウ君、その人の事好きなの?!」 「……いや…よく分からない」 「だよね?!」 なんで、だよね…なんだ? 「シュウ君、好きな人じゃなきゃ、付き合っちゃ、イケマセン!」 「向こうは、好きだよ?」 「両方!好きじゃなきゃ、ダメデス!」 なんで小学生に…こんな事説教… 「返事は?!」 「……別れるって事?」 「そうでしょ?!」 「……はい」 四葉に逆らえる人は居ない… そして 四葉を説得する程 付き合っていたいとも思わなかった お互いに好きじゃなきゃダメ 俺は、好き…を分かるんだろうか? 「……シュウ?」 「あ…何?」 ユウの部屋で寛いでるうちに 考え事をしてた 「ユウ…どうかした?」 「なんか…ぼ~っとしてたから…大丈夫?」 「大丈夫だよ」 「ほんと?熱とか…ない?」 そう言って、ユウが覗き込んでくる 「……うん」 「おでこ…そんな熱くないか」 ユウが、おでこを触ってくる 「ユウ…」 「何?」 気付くと…ユウを抱き締めてた… なんで俺…こんな事してるんだ? 「シュウ?何かあった?」 ユウが、俺を抱き締めてくる 「~っ!」 何…この感じ… 思わず、ユウをぎゅ~っと抱き締める 「シュウ?…大丈夫?」 大丈夫じゃない… 何これ… 胸が締め付けられるみたいな… 顔のすぐ横にあるユウの髪… 顔の位置を変えるフリしてキスをした そのまま首の辺りに口を付けると 「んっ!…シュウ…首…くすぐったいっ…からっ…」 ゾクゾクッ… バッ…とユウから離れる ダメだ…これ… ダメなやつだ 「シュウ?…どうかしたの?大丈夫?」 ゾクゾク…ドキドキ…バクバク… これは…これは… 「うん…大丈夫……でも、今日はもう帰る」 朔兄と、四葉の漫画と、先輩と付き合って これが…何なのか明確に分かった 俺…ユウの事…意識してる ユウの事が…恋愛的な意味で… 好きなんだ 他の男の人見ても、そうは思わない 先輩と付き合ってても、こんな気持ちにならなかった ユウだけ… 隠さなきゃ バレない様にしなきゃ 家族なんだ 皆…家族なんだ 俺だけ異質になってしまった バレたら全部壊れる ユウに…軽蔑されて嫌われる 大和の代わりに、ユウとする事になった四葉の撮影 ユウとの距離が近い 俺…ちゃんと幼馴染みでいれてるかな 「…んっ…」 このまま…キスしたい 「…はっ…やくっ…してっ…」 そんなの、微塵も出しちゃダメだ ユウにキスして… そんな声出させて… あの時みたいな顔にさせたい ユウの部屋行くけど… 今日は、早めに帰ろうかと思ってると 「シュウ…俺…何かした?」 「してない」 「じゃあ…何でこっち見てくれないの?」 「………」 いつかの、やり取りみたいに聞いてきた 今日は、ほんと無理だから 早く帰りたいのに 全然帰してくれない 話せば話す程… 気持ち…溢れそう… 「何言ってんの?シュウの事…今更嫌いになる訳ないじゃん」 もう…無理だった やってしまった ずっと我慢してたのに 全部全部…終わった そう思ったのに… ユウは、何故か軽蔑せず、友達を続けてくれた 理解出来ないが… とにかく嬉しかった まだ…ユウの傍に居られる そう思った矢先… ユウが階段から落ちた 救急車で運ばれて… 入院する程じゃなかったけど… 何だろう… 眠ると…ユウが…遠くに行ってるみたいだ 目覚めて、知らない名前を言ってみたり 寝てるのに、ずっと泣いてたり 寝てる間…ユウがユウじゃないみたいだ 「名前…呼んでてもらっていい?」 名前…怖い ユウはユウでしかないのに ユウに名前呼んでって言われたら… 一気に不安になる 「ユウ…ユウ…」 ユウだろ? 寝てたって変わらない 「ユウ…結叶…」 ずっと…これからもユウだろ? なんで…そんな泣くんだよ? 俺の名前を呼びながら 俺の胸の中で静かに寝始めたユウの頭を撫でる 「ユウ…好きだ……」 ユウのうなじにキスをする 「好きなんだ…ユウ…」 こんな気持ちユウだけ 「何処にも行かないで…」 俺と同じ気持ちじゃなくていいから

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