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保健室
「おはよう、蓮君。眠れた?」
「……おはよう…あんまり…」
「そっか…お熱、計ろうね?」
「うん…」
日中は、色んな音で掻き消される音も
夜中は、病棟に響き渡る
「……翔 君…死んじゃった?」
「…蓮君…」
「…お熱…36.8℃だよ」
「うん。今日は?苦しいの、どう?」
「いつもと、同じ位」
「そっか」
看護師さんは、あんまり答えたがらない
だから、あんまり聞かない
でも…何日か前に、翔君は、凄く苦しくなって、別の病室に連れてかれた
夜中…おばさんの
翔~~っ!
って、何度も何度も泣き叫ぶ声が聞こえて
朝方、静かになった
翔君…死んじゃったんだ
俺も死ぬ時、あんな風に泣かせちゃうのかな
夜中に泣き叫ぶ声は
いつも凄く苦しそうで
自分が死ぬのも怖いけど
家族を、そんなに苦しくさせるのかと思うと
それも怖くなる
「おはよう、蓮君。いっぱい眠れた?」
「……おはようございます。眠れました」
あと、どの位…
おはようって…朝、起きられるかな…
「おはよう…ユウ…」
「……おはよう…シュウ…」
朝は、当たり前にやってきて
毎朝、おはようが言えるって
そんなの考えもしなかった結叶の人生に感謝
「あ...そっか。俺のせいで、またシュウ…ここで寝たんだ。眠れた?」
「眠れた」
「ほんとに?今度は、シュウが寝不足で倒れないでね?」
「ユウは?眠れた?」
「うん…シュウのお陰で。ありがと」
?
シュウが、心配そうな顔で見てくる
「ユウ…なんで…名前、呼んで欲しかったの?」
「あ...えっと…」
ヤバい
何て言えばいい?
「ユウ…」
「…え?」
シュウが、痛くない様に抱き締めてくる
「どんな夢…見てるの?」
だよな?
明らかにおかしいって思うよね?
「……なんかね…昔…何度も何度も読んだ本があるんだけど……それ思い出したら、その中の人になってる夢…よく見る様になっちゃって…」
「……ほんとに?…ほんとに…それだけ?」
昨日は、かなり混乱してたから
だいぶ、皆の事心配させたんだろな
特にシュウは、夜中とかも一緒に居るから
「ごめん…夢と現実分かんなくなったりして…ちょっと混乱してたから…心配させた」
「………そっか…ユウ…………」
「?…何?」
「朔兄の事……」
「朔兄?…何?」
「……っ…好き…なの?」
朔兄の事…好きなの?
どういう意味?
なんで…シュウ…
そんな辛そうなの?
「好きって……好きだけど…シュウとか、大和とか、四葉とか好きなのとは、違う好きって事?」
「……分からない…ユウが…どういう意味で言ったのか…」
「え?俺?俺…何か言った?いつ?」
「昨日…ソファーで寝る前に…」
「……えっ?!そんな事言った??」
「うん…」
何だ?
なんで…そんな事言った?
「ごめん…よく、覚えてないから…どんな意図があったのか覚えてないけど…朔兄にだけ、特別な感情は持ってないよ?」
「…ほんとに?」
「うん」
「はぁ~…良かった…ユウが誰を好きでもいいんだけど…朔兄を…ってのは……さすがに、ちょっとキツイ…から…」
「勘違いさせて、ごめん」
カチャ
ん?
部屋のドアが、そろ~~っと、ゆっくり開く
「四葉?おはよ」
「ユウ!起きてたの?」
「うん…なんで、そんなゆっくり開いてんの?」
「えっと…まだユウ寝てるかな~?って…」
「そっか。さっき起きたとこだよ」
「そうなんだ。今日もユウ…シュウ君と一緒に寝てたんだね?♪︎」
嬉しそう…
すっごく
「ふっ…写真、撮りたい?」
「いい?!」
「いいよ。おいで」
パシャパシャ
「ユウ…」
「何?」
「あんまり、こっち見てニコニコしないで?」
「あ…ごめん。つい、四葉見ちゃった」
「うん…シュウ君見上げるか、シュウ君の胸の中入っててね?」
「ふっ…四葉は凄いな?」
見つめるのも、なんかシュウに悪いので
大人しく、シュウの胸の中に戻る
蓮もユウも、小6の時に
胸の中入っててとかいう言葉…
出てこなかったと思う
葵も最後は小6だったけど
俺より色んな事、沢山知ってた
俺が知らない事、やった事ない事
沢山教えてくれた
「シュウ君、シュウ君」
「何?」
「優しく抱き締めて、ユウの頭にちゅ~!」
え…
それは…
シュウ、大丈夫か?
あ…
何か言おうかと思ったら
もう終わった
「いい!シュウ君いいよ!」
四葉…そろそろシュウ…限界だと思うよ?
「シュウ君!そのまま適当に!四葉が好きそうなの分かるでしょ?」
何その…恋人同士みたいな会話
「んっ…?!」
シュウが、耳を撫でてきた
ほんと…なんで俺、どこもこんなに弱いのか
「シュ…みっ…耳…」
触んないでって言おうとしたら
「んあっ!」
耳に…キスしてきた
それは無理~~!
「ごめん…」
「あっ…俺も…ごめん…びっくりしたよな?」
「分かってる~♪︎さっすがシュウ君♪︎ありがと♪︎」
「四葉が貸す本に、よく出て来てた」
「そう!シュウ君に一生懸命学習させた甲斐がある~♪︎」
え?
シュウ君に一生懸命学習?
「ああ…そういう…なんで俺に、そんなに本貸すのかと思った」
「うん、うん。このまま、本物に向かって頑張ってね?」
「……いや…それは…」
「あ~~♪︎楽しみ~♪︎四葉、これからの人生楽しみでしかな~い♪︎」
2人の会話が
サッパリ分からないけど
四葉が、凄く喜んでるのは分かる
シュウの胸の中から出て、四葉を見ると
もう…
めちゃくちゃ笑顔だった
「ふっ…四葉、俺も出来る事ある?頑張るよ?」
「ユウはね~、そのままでいいの。シュウ君に任せておいて?」
「俺は、四葉の兄ちゃんなのに?」
「うん!ユウは、そのままで居る事が大事だから」
「そのままって?」
「ユウがユウでいる事!」
なんか…
そういう意味じゃないんだろうけど
「……そう」
「うん!」
このタイミングで言われると
ちょっと、ドキッとするな
「ユウ、起きれる?」
「大丈夫だけど、やっぱ動くと痛いね」
「ユウとシュウ起きたって言って来る~!」
ダダダダ~
ダンダンダンダン…
「四葉…階段から落ちないでよ?」
「…ふっ…ユウに言われたくないだろ」
「あ…そっか」
シュウの
貴重な笑った顔…
四葉…シャッターチャンスは今だよ
昼頃、また少し上がった熱も
夜にはすっかり下がって
今日は昼寝もせず起きてられた
シュウも安心して帰り
シャワーも1人で浴びさせてもらえた
「ほんとに大丈夫?また無理して行ったら、倒れちゃうわよ?」
「大丈夫。ちゃんと夜も眠れたし、調子悪かったら、すぐに先生に言って休むよ」
「そう?…ユウは、学校好きね?」
「うん…楽しいよ」
「そう」
ちゃんと学校行ける
それが、凄く嬉しい
ピンポ~ン
「あ、シュウだ。行って来ます!」
「ユウ!待って待って!」
「あ…そうだった」
「行ってらっしゃい。ちゅっ」
「行って来ます。四葉も気を付けて行くんだよ?」
「うん」
「お待たせ」
「ユウ…ほんとに学校行って大丈夫?」
「うん。念のため痛み止め持ったし、もう無理はしない。調子悪かったら、すぐ休ませてもらうから」
「…そう…同じクラスだったら…ユウの事見てられるのに…」
「ちゃんと自分で言えるし、1人で不安なら、誰かに連れてってもらうよ」
「………うん」
「シュウ…もう救急車呼ぶ事なんかないから、心配しないで?」
シュウは、家族みたいなもんなのに
家に帰って来るまで、詳しい話聞けなくて
凄く心配してる時間長かったから
「穂積君!大丈夫なの?!」
「大丈夫。皆さん、お騒がせしました」
「大丈夫かよ?!結構な高さから落ちてたぞ?」
「この通り…背中少し痛いくらいで、すっかり元気」
「マジか!」
「良かった~」
すごい大事になってた
学校に救急車来ちゃったもんな
クラスの皆も、先生も
凄く心配してくれて
その、クラス全員の顔と名前が分かるくらい
学校に通えてるんだってのが
凄く嬉しかった
「穂積?なんか、嬉しそうだね?」
「え?そう?」
給食を食べ終わると
甲斐 が、顔を覗き込んできた
「うん。怪我したのに、なんかいい事あった?」
そう言って、前の席に座る
「いい事って言うか…すぐに退院して…学校休まないで来れて、良かったなって」
「1日位休めた方がラッキーじゃない?」
「俺、学校好きだから」
「……そっか。俺も、学校で穂積に会えるの楽しみ」
「うん」
この、何でもない会話も時間も
全部大切で
俺が、ずっと欲しかったもので…
「穂積…少し熱ある?」
「え?そう?お昼から夕方にかけて、少し上がりやすいから…でも、全然平気だけどな」
「おでこ…やっぱ少し熱いかも」
俺の額に手を当てて
甲斐が、心配そうに言う
「分かった。俺、薬持って来たから、保健室行って熱計って、ありそうなら薬飲むよ」
「じゃ、俺も付いてく」
「そんなフラフラじゃないから、大丈夫だって」
「念のため。階段から2回落ちたら、シャレになんない」
「うっ…お願いします」
ガラッ
「先生~……あれ?居ない?」
「何処か行ってるのかな?とりあえず、体温計探して、熱計ってみる」
「そうだな」
2人で体温計を探して
体温計が、ピピッとなった頃
ガラッ
「あ…先生」
「あっ!穂積君!学校来てたの?大丈夫?!調子悪いの?!まさか、また怪我したとかじゃないわよね?!」
保健室の先生は
母さんより少し上の年齢っぽくて
…よく喋る
「大丈夫なんですけど…友達に、熱あるんじゃないかって言われて…」
「先生、体温計借りました。どれ?37.5℃」
「少し熱あるわね~。これから上がってきたら、またフラフラするかもしれないから、休んできなさい?」
「はい…先生、俺、念のため薬…」
「先生ちょっとね、今また行かなきゃなんないの!えっと…君!」
先生が、なんか資料を準備しながら、甲斐の方を向く
「はい?」
「ここに、穂積君のクラスと名前書いて。穂積君寝かせといてもらっていい?」
「え…先生…俺1人で大丈…」
「悪いけど、昼休み中には戻るから!穂積君に付いててあげて!何かあったら職員室来て~~!」
そう言って、バタバタと去って行った
絶対廊下走ってる
「甲斐…俺1人で大丈夫だから、戻って?」
「何言ってんの?先生にも頼まれたんだから、ちゃんと居るよ」
「こんなの、熱に入らない。昼休み終わる位まで横になったら戻るし、先生には、俺が帰したんだって言うから」
「はいはい。そんな話してる時間、勿体ないから、ほら、ベッド行くよ」
「行くけど…」
ベッドに行き、横になる
「…っ!」
「大丈夫?!手貸す?」
「大丈夫…そんな…我慢出来ない程…痛い訳じゃない」
「そんな痛いのに…鞄背負って来たの?」
「鞄は、一緒に来てる奴が持ってくれたから」
「……そっか…俺、先生に言われたの書いて来る。眠れなくても、目瞑って休みなよ」
「ん…ありがと」
そう言って、甲斐はカーテンを閉めてってくれた
カーテンは…色んな色あったな
多いのは、やっぱ白だけど
壁紙も、小児病棟だからか、可愛い絵が付いてたり、あちこちに、色んな可愛い物貼ってあった
けど…
シーツと、布団と、枕は…
どこも真っ白
保健室は…あまり好きじゃない
制服の上着、脱ぐべきだった
窮屈
我慢出来ると言えば出来るけど…
「はぁ…」
起きるか
気になってしょうがない
「…っ…ててっ…」
シャッ
カーテンが開いたかと思うと
「穂積!何で起き上がってんの?!」
「上着…脱いでなかったから…窮屈で…」
「あ…そっか。俺も気付かなかった。いいよ。穂積は、動かないで」
「大丈夫だって。ゆっくりやれば、自分で出来る」
「穂積、頑張り過ぎ。この位やらせて」
制服のボタンを外すと
甲斐が、右の袖を引っ張ってくれる
正直、腕を後ろに回すのは痛いから、助かってたりする
俺の腕を、なるべく動かさない様に、制服を脱がせると
「せっかくなら…」
と、ネクタイを外して
シャツのボタンを何個か外してくれた
「横にするのも、手伝う」
甲斐が、そう言ってきた
「ありがと。じゃあ、手伝ってもらおうかな」
甲斐が、俺の肩と膝の裏を支える
俺も、甲斐の首に手を回したいとこだけど
腕を上げると背中が痛いので
甲斐の制服を少し掴む
「倒すよ?」
「うん」
グルンと倒され、横になる
「大丈夫?」
「うん。ありがと」
そう言って、甲斐の手が足から離れ
肩から離れようとした時
「~っ!」
「え?何?痛い?痛いとこ触った?」
「あ…違う…ごめん」
痛くはない
ただ…首…擦れたから…
けど、首の下通らないと
甲斐の手は脱出出来ない訳で…
「ほんとに?動かして大丈夫?」
「うん...…んっ…!」
「え?何?…やっぱ痛いの?」
「ちっ…違っ……ごめん、甲斐……俺…首…弱くて…気にしないで、手抜いちゃって?」
「………え?」
う~~…
恥ずかしい…
情けない…
こんなの
家族と、ほぼ家族以外見られたくないのに
「じゃあ…ゆっくり…動かすね?」
「ん…んっ……んんっ……んっ…!」
ゆっくりだと…
益々、甲斐の腕が動く度
不意に自分の髪も首に当たって
早く抜いちゃって!
って思うけど…
甲斐が…せっかく考えてくれた優しい気持ち…
けど…
「んっ…はっ……かっ…甲斐…」
「…っ!…何?」
「もっ…と……早く……して?」
甲斐も…
この中腰辛いはず
「ゆっくりじゃない方が…いいの?」
「んっ……お願いっ…」
「…分かった…動かすよ?」
「うん…んんっ!…はっ…ぁっ…~~っ!」
首んとこ…
指が通る時…
ヤバかった
「穂積…大丈夫?」
「もう…大丈夫」
力入って、背中痛くなったけど
「ごめん…俺、余計な事しなきゃ良かった」
「いや…俺の体質が変なだけで…助かりました」
「穂積…泣かせちゃった」
「甲斐は悪くないよ」
甲斐が、俺の涙を指で拭う
「甲斐…ありが…」
ちゅっ
……え?
甲斐が、指で拭った所にキスしてきた
「穂積が、泣き止みます様に」
「ふっ…びっくりして、泣き止んだ」
「良かった」
「ありがと」
「あと10分位、目瞑ってな?」
「うん…」
ちょっと…疲れた
思わぬ疲労
これは、ほんとに少し眠れるかも
制服…
中学の制服…
蓮は、何回袖を通しただろう?
多分…
片手に納まる程だ
教室も、校舎も思い出せない
校歌も覚える事すら出来なかった
こんな風に…
特定の友達作るなんて
夢の様だ
「……穂積?…痛い?」
甲斐が、さっきと同じ様に、涙を拭ってくれる
「……大丈夫……幸せ…噛み締めてるだけ…だから」
「ふっ…こんな状況で…幸せ噛み締めてんの?」
「……ん…校歌…歌える…し……友達…出来て……」
「ふっ…そんなん普通だろ?」
その普通が、ずっと羨ましかったから
その普通の中に入れてるのが、嬉しいんだ
普通より少し弱いかもしれないけど
皆と同じく同じ時間を過ごせるのが
凄く嬉しいんだ
「……ん……あれ?」
目覚めると、甲斐は居なかった
お昼休み終わったのか?
「…っ!…いっ…!」
シャッ
「穂積君、起きた?」
「先生…甲斐は…戻ったんですか?お昼休み、終わったんですか?」
「お友達は、お昼休み終わるから、戻ってもらった。もうすぐ5時間目、終わるところよ」
「……え?5時間目…終わる…」
そんな寝ちゃってたんだ!
「先生…戻っていいですか?」
「念のため、熱計ってからね?痛みは?」
「全然大丈夫です」
「全然じゃなさそうだっけどな?起き上がる時の声」
「寝る時と起き上がる時だけなので、大丈夫です」
「そっか…穂積君は真面目だなぁ」
真面目じゃないんです、先生
学校に居れる事が
授業皆で受けれる事が嬉しいんです
保健室の先生の許可を貰って
職員室行って、担任の先生に声掛けて
教室に戻ると、皆が心配して声掛けてくれて
でも、帰りには、もういつも通りで
特別扱いは、ほんの少しだけ
それが嬉しい
「ユウ…」
「シュウ…迎えに来てくれたんだ。ありがと」
「鞄…」
「ん…ありがと」
シュウと家へと向かう
「ユウ…保健室行ったんだって?」
「あれ?知ってたの?自分では大丈夫だったんだけど、昼休みに、友達が熱あるんじゃないか?って、保健室連れてってくれた」
「熱…あったの?」
「37.5℃。こんなの大丈夫だよって言ったんだけど、横になったら、5時間目の終わりまで寝てた」
まあ…
あの戦いで疲れたのもあるけど
「痛みは?大丈夫だった?」
「寝起きだけね。手伝ってもらった」
「……そう」
?
なんか…
シュウ元気ない?
心配してるだけ?
「シュウ?大丈夫だって。制服脱ぐのとか…手伝ってもらったし、ぐっすり寝たし、全然無理してないよ?」
「……うん…ユウは…今日、ご飯支度しちゃダメだよ」
「…うん…手伝いくらいはするよ……シュウ?何かあった?」
「……何もない」
そうは見えなかったけど
言いたくなさそうだし…
家に帰ると
「ユウ~~!ちゅっ」
「四葉、ただいま。寂しくなかったか?」
「うん!ユウ大丈夫だった?」
「ちょっとだけ保健室で寝てた。でも、もう大丈夫」
「うん!」
シュウが、一度家に寄ってる間に
俺も部屋着に着替えて来る
シュウのご飯支度を手伝おうとするが
「いいから、あっちへ行ってろ」
何度かそう言われたので
四葉とソファーに座る
「ユウ!ユウ!」
「何?」
「見て~~!最新作!」
「へぇ~?四葉、どんどん絵が上手くなってくし、ちゃんとした漫画描けるんじゃない?」
「うん!いっぱい描く!…ユウ…」
四葉が、俺の腕を掴んで見上げてくる
これは…
「ふっ…おいで?」
「体、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「へへっ…」
四葉が、俺の膝の上に乗ってくる
「ユウ~~」
「ははっ…四葉は、1人で留守番出来てエライな」
元気いっぱいで
よく喋る四葉が
俺の腕を掴んで、名前しか言わない時
俺に抱っこして欲しいのサインだ
抱き付いてきた四葉を
いっぱい抱き締めて、撫でてやる
「ユウ~~」
「寂しくないか?1人で待ってるの」
「寂しくない…すぐにユウ帰って来るから」
「そっか。いつまで四葉、こうやって甘えてくれるかなぁ…」
「ずっとだよ?」
「ふっ…そう?」
「うん」
そんな事言って
中学入ったら、さすがにもう抱っことか…
そうだな…
ちゅ~もしなくなるか
あ…でも…
「話し掛けないでとか…触らないでとか…言われたら、ショックだなぁ…」
「誰に言われるの?!」
「ふっ…中学生になった四葉に」
「言わないよ!言う訳ないじゃん!」
「ありがと」
今の録音しときたいな
こんな事言ってたんだよ?って
シュウが作ってくれたご飯を3人で食べて
大和に…母さんに…父さんに
今日の事、説明して
「シュウ君、ほんとにありがとね?」
「いえ…」
ようやくシュウと部屋へと行く
「はぁ…」
「疲れた?」
「あ…ごめん。疲れたのはシュウだよな?俺の鞄持ちさせられて、穂積家のご飯支度して…」
「そんなの気にしなくていいけど…そろそろ四葉…抱っこするのも重いんじゃない?」
シュウ…
ご飯支度しながら、そんな事まで心配を…
「大丈夫。どうせ四葉も、来年中学生になったら、もう俺に寄り付かなくなるよ」
「いや…そうかな?」
「そうじゃない?」
「四葉だから…」
「…まあね」
四葉だから…か…
中学生になっても
あそこまでのスキンシップがなくても
ずっと仲良く出来たらいいな
「ユウ…横になる?」
「いや…どうせすぐ起き上がんなきゃなんないし」
「……制服」
「え?」
「制服脱ぐの手伝ってもらったって……」
「?…うん…上着…脱がせてくれて、ネクタイとボタン外してくれた」
「……それから?」
「え?…それから…寝てた」
なんだ?
「シュウ…なんかあったのか?」
「……保健室で…何…された?」
「え?何された…って?」
「俺…心配で教室行ったら、保健室連れてかれたって聞いて…保健室行ったんだ」
「え?シュウ…保健室来たの?」
全然気付かなかった
俺が寝てた時?
「……そしたら…声…聞こえてきた…」
「声?…え?じゃあ、俺が起きてる時に来たの?何で中入って来なかったんだ?」
「行っても良かったの?」
「え?」
なんか…
シュウ…怒ってる?
「ユウ…その友達と、どういう関係なの?」
「え?どういう…って…クラスの中では、1番仲いいけど?」
「……ああいう事する仲なの?」
「……ああいう…事って?」
俺がそう聞くと
シュウが、とんでもない所を触ってきた
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