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キスする側

ちょっ…ちょ…ちょ… 「ちょっ…と待った!」 シュウの手を掴む シュウは…下向いたまま動かない 「え?シュウ…なんで、そんなとこ触るの?」 「……その友達にも…触られたんだろ?」 「その…友達にも…?…え??……は??…触られる訳ないだろ!そんなとこ!!」 「……ここじゃなかったら…どこ触られてたの?」 「え?どこって…とにかく…そこじゃないんだから、手…離してよ」 「………答えて…くんないの?」 めちゃくちゃ機嫌悪い いや、シュウと俺の家族以外には分かんないよ? けど、俺達には分かる 「答える。答えるけど…そんなとこ触られてたら…気になってしょうがないから、手離して?」 「……質問…変える」 「え?…変えるの?」 「…ここ…誰かに触らせた事ある?」 「……はあ??ある訳ないだろ?誰が、そんなとこ触りたがるんだよ?」 「……そう」 そう言って、ようやく手を離してくれた なんの質問? なんで、そんなとこ触ったの? 「……で?…どこ…触られたの?」 「触られたってか、俺を寝かせてくれるのに、肩と膝の裏掴んでくれたらさ。手抜く時、首元通るじゃん?それがもう…堪えられないのなんの…」 「首の後ろって事?」 「そうそ…んなっ?!…ちょっと…んっ…だからっ…堪えられないって…」 言ってんのに、なんで触ってくる訳?! 「んんっ…!…やめっ…シュ…」 「あとは?どこ…触られた?」 な…何? 嫌な事しておいて、ごめんもないの?! って、怒ってやりたいのに 最高に機嫌の悪いシュウに何も言えない… 「あとは、どこも触られてない!」 怒る事も出来ず 少し投げやりに答えると 「ほんとに?」 「あっ…おでこ。熱あるか確かめるのに、おでこ触ってた」 「……あとは?」 俺のおでこを触りながら シュウが、更に聞いてくる 「あとは、ないよ」 「ほんとに?」 「ほんと…~~っ!…なにっ…」 シュウが、首の周りを触ってくる 「…ネクタイと…ボタン外すくらい…自分で出来ただろ?…なんで、やらせたの?」 「~っ…なんでっ…てっ……~~っ!」 何? 何か探してるかのように 首の周りを執拗に触る 俺の髪退けながら うなじも、耳の周りも、Tシャツの中も 無理無理無理無理! もう限界! シュウ知ってるだろ? 俺、そういうとこ弱いんだって! 「……ユウ…これ……どういう事?」 「…っ…はぁっ…え?……何?」 急に動き止めたかと思ったら 左の鎖骨辺りを触って 凝視している 切れ長のシュウの目が ここまで大きくなる事は、あまりない 「これって?何?」 自分で見ようと思っても見えない 触ってみるけど、特に何もない 「これ…その友達に…付けられたの?」 「だから、これって何?何も付いてないじゃん」 「~~っ!…覚えて…ないの?」 「?…何…シュウが何を言ってるのか分かんないよ」 俺がそう言うと ゆっくりとシュウが、そこに顔を近付け …え? キスした 全然意味分かんないけど なんで、急にそこにキス? なんて思ってたら 「っ…!…何?…え?…シュウ…何してるの?」 摘ままれる様な… でも、当たってるの口だし 口で吸ってんの? 「ねぇ、シュウ…なんで、そんなとこ吸ってんの?」 俺がそう言うと、口を離し 「そいつにも…こんな風にされたんだろ?」 シュウの目が… 怖っ… 「……そ…そいつって?」 「ユウの服…脱がせた奴」 「…はっ?!こんな事する訳ないだろ?!」 「…っそ……寝てるうちに付けられたんだ」 「はあ??…って…~~~~っ!」 舐めてきた~~! なんで舐めんの?! そこが何なの?! 「許さない…ユウが知らない間に付けるなんて…」 「シュ…舐めない…で…」 堪らず、シュウの肩を掴む 「こんな事なら…付けとけば良かった」 そう言って 今度は別の場所にキスして、吸って… 舐めて…! 舐めんの勘弁! 何ヵ所か繰り返されたら もう…何の力もなくて シュウに掴まってるのも無理で… 「~~っ…シュ……もっ…おねがっ……やめっ…」 なんとか声絞り出して訴えたら シュウの体が、ビクッとなって離れた シュウの体…離れちゃったら… もう倒れるしかない このまま倒れたら背中痛いだろな なんて思ってたら 痛くないとこだけ触られて シュウに抱き締められてた 「……あれ?……シュウ…ありがと…」 「~~~~っ…ごめんっ…ごめんっ…」 「シュウ?…泣いてんの?」 「ごめんっ…ユウの気持ち無視して…勝手な事した……ごめんっ…」 頭、ボワッとしてて よく分かんない けど… あんな怒ってたシュウが 泣きながら反省してんのは分かる 「反省…したんなら…許してやる」 そう言って さっきまでより、ずっと小さくなって 俺にしがみ付いてるシュウの頭を撫でる 「~~っ…そんな簡単に…許すな…」 「…だって…シュウと喧嘩…したくない…」 「ごめっ…喧嘩じゃないっ…俺だけが悪いっ…」 シュウ…震えてんの? 頭と背中を撫でてやる 「そんな…怯えんなよ…俺、そんなに怒った事ないじゃん?」 「怒られんのが怖いんじゃない……ユウを傷つけんのが…それでユウに嫌われんのが怖いっ…」 「傷つける?…よく分かんないけど…シュウの事、嫌いになんてならないって」 「やっぱ俺…ユウの傍に居るべきじゃないかも…」 …え? 「こんな気持ちのまま、ユウの傍に居たら、俺の勝手な気持ちで、ユウを振り回す…ユウは、俺のものじゃないのに…俺が決められる事じゃないのに…」 「……それっ…て……シュウ…俺の幼馴染みやめるって事?」 「いや…幼馴染みは変わらないけど…今までみたいに、ユウの近くには居ない方がいいだろ?」 なんで… 俺が… どれだけ… 「~~っ…シュウ…俺の親友じゃなくなるって事?…っ…シュウ…俺の傍にっ…居てくんないの?」 「ユウ……泣くなよ」 俺が、シュウの背中にしがみ付くと シュウが、困った様な声で 痛くないとこだけ、必死に撫でてくる 「だって!…だって……シュウはっ……知らないだろうけどっ……俺っ…凄く嬉しいんだからっ…幼馴染みっ……居てっ……それがっ……シュウで……ずっとずっと………~~~っ…シュウ…俺から…離れんの?」 シュウは知らない 俺が生まれる前から欲しかった 幼馴染みの親友 それも、皆が羨む様な自慢の… 全然愛想ないのにモテて 全然笑わないのに、俺は笑ってる顔知ってて どんな友達出来ても、シュウなんて呼ばせるの俺だけで 「~~~~っ…やだっ…やだよっ……シュウ~…離れたくないっ…離れたくない~~っ…」 「~~っ…俺だって離れたくないっ…けどっ…ユウの傍に居たら…さっきみたいに…自分の気持ち抑えられなくなるからっ……それで…ユウが嫌な事したくないんだ…俺がユウを傷つける存在に…なりたくないんだ…」 傷つけるって何? さっきシュウにされた事で 俺が傷ついたって事? やだったけど それは…くすぐった過ぎるからで 別にそんな…傷つくとか… 分かんない 分からない事が多過ぎる 蓮なんか、俺よりもっと色んな事知らなかったから 二度目の人生なのに 全然分かんない でも… シュウは離したくない それだけは分かる 沢山の色んな情報 色んな感情 色んな出来事 でも、これだけは変わらない シュウを離したくない シュウの傍に居たい 「?…ユウ?…んっ…?!」 訳分かんなくなった頭で たった1つ分かる事を見付け出した時 俺は、シュウにキスしてた 「分かんない…色んな事分かんない…けど…シュウとは離れたくない…それだけは分かる…シュウ…」 ああ… なんか少し分かったかも いつも、される側だったけど キスする側って なんか…自分の気持ち込めれるんだ だから シュウも… 俺にキスしてくれたんだ シュウから唇を離すと 「……………」 「…シュウ?」 シュウが、見た事もない顔で呆けている いつも、どんな顔もキマってんのに 瞬き忘れて、いつもより大きな目 ポカンと開いた口 微動だにしない 大丈夫? 「シュウ?息…してる?」 「…っ…あ…はっ……ん…」 え…忘れてたの? 「大丈夫?」 「………ん………帰る」 「えっ?!…急に?!」 話…途中ですけど?! 「……ん……帰る」 いや… ん、と、帰る、しか言ってないけど? ってか、フラフラして なんか危ない 「ちょっと…気を付けてよ?」 階段を見守ると お邪魔しましたもなく、玄関を出る 心配過ぎて、シュウの家まで付いて… っても、隣だけど ぼ~~っとしながらでも ちゃんと鍵開けた 大丈夫か 玄関を開けると、ちょうど朔兄が上から下りて来た 良かった 「朔兄!」 「おお、ユウ。なんか、家に用か?」 「シュウが…なんか変なんだ。ぼ~~っとしてるから、危なっかしくて」 「ああ~?…んとだ。げっ…こいつが、こんなんなるって…何したの?」 シュウの顔を見た朔兄が聞いてくる シュウは、俺達なんか見えてないって感じで、靴を脱ぎ始めてて… 「分かんないんだけど…色々あって、俺がキスしちゃったからかもしんない」 「……はあ??!」 デカイ!声がデカイ! シュウが、フラフラと階段に向かおうとしてると、朔兄の声にびっくりして、おばさんが出て来た 「あら、ユウ君」 「あ、今晩は」 「何?朔、大きな声出して…」 「いや…だって…だって…」 「あ…朔兄、シュウ階段上り始めたから、お願い」 「え?…ああ…ってか…はっ?!」 俺とシュウを交互に見ながらも 朔兄は、シュウに付き添ってってくれた 一安心 「ユウ君、どうしたの?」 「あ、ちょっとシュウが、ぼ~~っとしてたから、付き添い」 「そう?後でお熱計ってみるわね?ユウ君、少し上がってく?」 「いいえ。もう帰ります」 「そう?ユウ君、ユウ君」 おばさんが、手でチョイチョイと呼ぶので おばさんの近くに寄ると 「これ、シュウが付けたの?」 さっき、シュウが触ったり、キスしてた辺りを指している 「俺、よく見えないんですけど、やっぱ何か付いてるんですか?」 「うん♪︎付いてる」 なんで、そんな嬉しそうなの? シュウは怒ってたのに 「なんか…付いてるって、シュウ凄く怒っちゃって…その辺触ったり、キスしたり…なんか、色々されて…」 「そう~~♪︎」 「………なんか…俺の傍に居ない方がいいから……~~っ…離れるって…言われてっ…」 「まあ!馬鹿な子ね?それで?ユウ君、泣いちゃったの?可哀想に」 おばさんが、俺を抱き締める 俺…おばさんの子供じゃないよ? 子供みたいなもんだけど 「俺…訳分かんなくて…訳分かんないけど……シュウとは離れたくなくてっ…」 「うん、うん。そうよね?ユウ君は、ちゃんと分かってるわね?」 「離れたくないってのだけっ……はっ…分かるからっ…どうしても伝えたくてっ…そしたらっ……シュウにキスしちゃって…」 「まあ!ユウ君!素敵♪︎」 素敵? 「そしたら、シュウ…ぼ~~っとしちゃって…あんなシュウ見た事ない位、ぼ~~っとしちゃったからっ…心配で…付いて来た」 「そうだったのね~?ありがとうユウ君♪︎……ところでユウ君…」 「え?」 なんか…おばさんの声が… 低くなった? おばさんから離れると おばさんの笑顔が引きつってる… 「うちのシュウの前に、それを付けたのは、どこのどいつかしら?」 「………え?」 め…めちゃくちゃ怒ってる! どいつって言った! 「わ…分かんない…」 「え?分かんないって…ユウ君知らない間に、無断で付けたの?そいつ…」 そいつって言った! 「お…俺…今日はもう……帰ります!お邪魔しました!」 「あっ!ユウ君!」 怖い怖い シュウなんてもんじゃない 俺の母さん、そっくりだ 笑ってんのに怒ってる! バタン 「はぁ…はぁ……こっ…怖かった~~…」 「ユウ?幽霊でも見たのか?」 「えっ?!」 お風呂上がりの大和が廊下に出て来て 俺の後ろを見ながら言うから、思わず振り返る 「いや、今居るなんて言ってないよ」 「っ…はぁ~~…驚かせないでよ」 大和は…ほんとに時々、見える人だ 「だって、家に入るなり、怖かったって言ってるからさ」 「あ…それは、シュウのおばさんの事で…」 「え?…おばさん…怒らせたの?」 「笑顔で…怒ってた……怖かった…」 「だろうな?」 靴を脱いで、大和と階段を上りながら話し 上りきったとこで 「ユウもお風呂入っといで?」 「うん」 と、分かれようとしたとこで… グイッと大和に腕を引っ張られる 「うわっ…」 「ユウ…これは?シュウに付けられたの?」 もう…今日、何度目? 何なの?! これ、何なの?! 「大和!」 「え…何…なんで怒ってんの?」 「あ…ごめん。怒ってない。これ、何なの?皆、これ見ては怒って…散々な目に合ってるんだけど…」 「ユウ……」 大和が、少し驚いた顔をしてから ぽんっと、頭の上に手を置いて 「そうだな。ちゃんと教えなきゃな?先にお風呂入っといで?」 「大和、教えてくれるの?」 「ん。知らないと、訳分かんないよな?」 「うん…お風呂行って来る...」 大和は、いつも色んな事教えてくれる 俺より3つも上なんだからって思うけど 多分、俺が知らな過ぎなんだ だって、シュウは知ってる そりゃ...シュウはモテるから? 彼女だって居たみたいだし? 俺の知らない事…… いっぱい知ってるんだろな 中1になると 小学校より、授業時間長くなって シュウと遊ぶ時間減った それでも、毎日シュウは来たけど 明らかに帰って来る時間遅くて 友達と遊んでんだろな こうやって、だんだん…俺より仲のいい友達増えてくのかな… とか、思ってた ある日、女子達が騒いでる先にはシュウが居て そんなの、別に珍しくない事で ただ… 「東雲(しののめ)君、大人っぽいね~?」 「ね~!全然笑わないのがいいよね?」 いいんだ… 笑わなくたって、充分格好いいもんな 「3年の先輩と付き合ってるんだって!」 え? 「え~~?!そうなの?誰?誰?どんな先輩?」 そうなの? 「ほら、相川先輩って、ちょっと大人っぽくて、読モやってるとかって…」 「ああ~~!あの先輩?!…っなら、分かる~!」 へぇ… モデルやってる様な先輩… その人とデートとかしてんのかな? だから、帰り遅いんだ 休みの日も 前よりずっと、一緒に遊ぶの減った 俺だって、シュウ以外の友達が居る訳で シュウ以外とも遊ぶ訳で そんなの、大して変わらない けど… きっと大和も、そういう経験あんだろなとか思うと あの時も、なんか… 俺だけ置いてかれるみたいな気分で 泣きそうになった コンコン 「どうぞ?」 ガチャ 「ユウ、宿題とか終わらせてからでもいいよ?」 「宿題…今日、少ししかないし…スッキリしないと手に付かない」 「そっか。じゃあ、どうぞ」 大和のベッドに座ると、大和も隣に座る 「ユウ、これ、ちゃんと見た?」 「あ…お風呂行って見ようと思ってたのに、忘れてた」 「そっか。まずは、ちゃんと見ようか……はい、こうなってるよ?」 大和が、鏡を持って来てくれて 俺の方に向ける なんか… 赤い痣みたいになってる そりゃ…あんな摘ままれるみたいに、吸われたら、こうなるかもな 「見えた?」 「見えた」 「見えたら、これが何だか分かった?」 「痣?」 「そうだね?どうやって出来たか分かる?」  「キスして、なんか…摘ままれるみたいに、吸われた」 「うん…それ、なんて言うか分かる?」 なんて言うか分かる? とは? それって? 「その…やった事?」 「うん…そうして付けた、この印。なんて言うか分かる?」 「あ…この痣の方?…なんて言うか決まってるの?」 「うん……キスマーク…って聞いた事ある?」 キスマーク? 「聞いた事ある…ってか、知ってるよ?でも、これじゃないよ?」 「ユウが知ってるキスマークは、どんなの?」 「真っ赤な口紅付いた唇の形」 「うん。それも、キスマークだね?でもね、これもキスマークなんだよ?」 大和が、俺の問題の場所を指す 「……これが?」 もう一度、よく鏡で見る 全然唇の形してない ただの、摘まんだ後みたいな痣 「うん。キスして付けるでしょ?」 「あっ…そっか……え~~?でも…これ、キスマーク?」 「ふっ…ちょっとイメージと違うよな?」 「うん…全然違う」 「うん…でも、そうなんだ。覚えておこう?」 「うん……分かった…」 変なの… 大体…こんなの付けて、どうすんだ? 「で…それ誰に付けられたの?」 「シュウなんだけど…でも、シュウも誰に付けられたの?って…スッゴク怒ってたんだ…怖かった」 「じゃあ…シュウの前に、誰かに付けられてたんだ?」 「…って、シュウは言ってたけど…俺は見えないし、全然覚えてない」 「ん~~…ユウ、誰かの前で寝ちゃったりした?」 「保健室行った時なら…」 「ああ…少し休んでたんだって言ってたもんな?ちょっと学校行くの、早かったかな?」 大和が、俺の頭撫でてくる 嬉しいんだけど… 甘やかされ過ぎだと思う… 「大丈夫。けど…友達が、熱っぽいの気付いてくれて、保健室連れてってくれて、上着とか…脱ぐの手伝ってくれて…俺、そのまま寝ちゃったから……でも…その友達が、こんなの付ける意味が分からない」 「……ネクタイとか…シャツ…首元緩めちゃったか…」 「うん…その友達…ネクタイ取って、ボタン外してくれた」 「……そっか……」 大和が少し考えてから ちょっと困った顔で 「だったら…意味、分かるかな?」 と、言ってきた 「え?意味…分かるの?」 「うん…気を付けるんだよ?って…言ったんだけどな?」 「?」 大和が、鏡を置くと 俺に向き直って 「ユウにね?気持ちがあると、それを伝えたくなっちゃうんだよ」 「気持ち…伝える…?」 「うん。ユウの事が好きだって思うと…伝えたい。だけど、なかなか言葉で伝えられない時…唇じゃなくてもね?キスして伝えたいって思う事もある」 「キスして…」 なんか…分かる シュウに…伝えたいって… 「あとね?キスマークって、こんな風に残るだろ?」 「うん…」 「マーキング…自分のものにしたいって気持ち…自分の痕を残せたって気持ち…他の人を牽制したいって気持ち…」 もう…まるで分からない 「大和…今のは難しくて、分からない」 「そっか。分かるとこまでにしよ?キスマークは、分かっただろ?」 「うん……なんか、まだ納得いかないけど…」 キスマークは、唇の形… じゃないのもあるのか 「ユウは、ちゃんと見た事ないからな?じゃあ…腕貸して?」 「腕?はい…」 大和に腕を差し出す 「見ててね?」 「うん…?」 そう言うと 俺の肘に近い内側の部分に キスをして やっぱり、摘まむ様に吸ってきた 口を離すと 「ここ…赤くなっただろ?」 「うん…」 「じゃあ…」 もう一度、同じ様なとこに 同じ様に何度かする 「見てごらん?」 「あ…ちょっと…キスマークっぽい!」 「ん…唇の形じゃなくてもね、分かる人はキスマークって分かるから、わざわざ唇の形っぽくする必要ない。だから、普通は、こっちみたいな痣になるよ?」 大和が、俺の首元を指す 「ふ~~ん?大和…何でも知ってるね?」 「まあね。ユウと四葉の兄ちゃんだから、何でも知っておきたいからね」 「でも、シュウも知ってた…」 「何でも知ってるのが、いい訳じゃないだろ?」 「……そうかな?」 「俺は、そう思うけどね?今回みたいに、困った時とかに、ちゃんと相談してくれればいいと思うけど?」 「………うん」 それで、シュウは怒った訳だけど まあ… ちゃんと話したら、多分…仲直り? もう、怒ってないと思うけど 「でもね?ユウ…」 「ん?」 「ユウが知らないからって、勝手にそんな事するのは、ほんとは良くないんだよ?」 「……うん?」 「それも…寝てる時になんて、許されない事なんだよ?」 「……そう?」 「うん…だから、シュウは怒ったんだと思う。その友達には…気を付けるんだよ?」 気を付けるんだよ? でも… 俺には、やっぱり 言ってる意図が、よく分からなかった

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