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キスマーク
朝、朔兄から大和に連絡がきた
シュウがぼ~っとしてて起きられないから、今日は学校休ませると
確実に俺のせいだ
さっさと準備して
「ユウ、大丈夫なの?今日も具合悪かったら、無理しないで休むのよ?」
「ん。分かってる」
四葉のちゅ~で見送られて
シュウの家に向かう
ピンポ~ン
ガチャ
「ユウ君。ごめんね~。シュウ、未だに復活出来ないみたいで、多分夜も寝てないっぽいし、休ませるわ~」
「……ごめんなさい。俺のせいだ」
「あら。謝る事ないのよ~。これから慣れてけばいいんだから~」
「シュウの顔、見に行っていい?」
「勿論。おはようのキスでもしたら、シャキッとするかも♪︎」
おばさん…
何から何まで、母さんそっくり
階段を上がり、シュウの部屋の前に立つ
コンコン
「シュウ…ごめん。大丈夫?」
俺が声を掛けると
返事の代わりに
中から、物凄い音が聞こえてきた
シュウ?!
部屋のドアを開けて、中に入ると
布団に絡まって、ベッドの下に落ち
焦った顔で俺を見るシュウが居た
こんなシュウ初めて
「大丈夫?!シュウ…何処か痛くしなかった?」
「っ!……してない…」
顔、真っ赤にして、俺から顔を逸らせる
「ほんとか?足とか手とか…ちゃんと動かしてみて?」
俺に言われるまま
両手を、プラプラと動かす
なんか可愛い
「…大丈夫」
「足は?もつれたんだろ?捻ったりしてない?」
そう言うと
仕方なさそうに、両足を伸ばし…
伸びんなぁ…
足…長っ…
「大丈夫……行って」
大丈夫だから、ユウは学校行って
いつも以上に言葉が省略されてる
「行くけど……学校から帰ったら、また見に来る。ゆっくり休んでろ」
「………気を付けて」
「ん。シュウもな?」
「………友達……」
「分かってる。昨日、大和に少し教えてもらった。友達の前で寝たりしない」
何…その泣きそうな顔…
シュウが弟みたいで可愛く見える
「大丈夫だ。心配すんな」
シュウの頭を撫でると
「……~~っ……鞄…」
「もう背負える。痛かったら、抱けばいい」
「……ごめん」
「シュウが謝る事なんかない。俺が…シュウの気持ち知ってて…動揺させる様な事した…ごめん」
フルフルと頭を振る
クールでイケメンな東雲君
俺は…こんな可愛いシュウを知ってる
「行って来るな?ちゃんとベッドで寝ろ」
「………ハンカチ…」
「?…ハンカチ?」
これは、分かんないぞ?
ハンカチが何だ?
俺達は、母さんとおばさんが、絶対ハンカチ必要!と言われ育ったので、皆ハンカチを持ち歩いている
とりあえず、ハンカチを出してみる
「ハンカチ…使いたいのか?」
俺がハンカチを差し出すと受け取り
ようやく布団から抜け出した
何だ?
立ち上がって、戻って来たシュウの手には
2枚のハンカチ
俺のと、シュウのだ
そして、そのシュウの物が差し出された
「俺が…これ持ってけばいいの?」
と、聞くと頷く
よく分からんが
四葉みたいに可愛いくなってしまったシュウのお願いを、無視する事なんて出来ない
「分かった。行って来るな?」
四葉なら、ここでちゅ~だが
もう一度、シュウの頭を撫でてやる
「……~~っ!」
なんとも可愛い顔で
真っ赤になったシュウを残して
学校へと行った
学校…
前から好きだったけど
蓮の記憶が蘇ってからは、なんて言うか
凄く特別で貴重な感じがして
全てが楽しいし嬉しい
色んな授業…
別に、大和とかシュウみたいに、凄く頭がいい訳じゃないから
勉強が得意って訳じゃない
けど、こんなの将来使わないよなぁ…
とか
こんなん勉強して、何の意味あるんだ?
とか
言ってる人達居るけど
だからこそ、今しか勉強出来ない事なんだって思うと
それを自分が勉強出来てるんだって思うと
どんな授業も楽しい
当てられて、答えれても答えられなくても
正解しても、間違っても
テストの点数良くても悪くても
全部が授業の思い出
「穂積~」
「はい?」
返ってきたテストを見ながら考えてると
「確かに、穂積の点数は悪くはない。悪くはないが……そんな、満面の笑みで見る程の点数でもないぞ?」
先生がそう言うと、皆が笑った
でも先生、嬉しいんだ
俺の事で、皆が泣くんじゃなく笑ってる
全部が嬉しいんだ
「穂積は、いつも何してても楽しそうだなぁ?先生も、また学生に戻りたいな…」
先生…
俺も今、同じ様な事思ってて
やり直せてるから楽しいんです
「学校…楽しいから。テストの点数良くなくても、先生の授業楽しいし」
「んなっ?!穂積!お前…お前…そうやって女の子口説いてんのか?!」
「え?」
女の子を口説く?
「先生!穂積に変な知識与えるなよ!」
「そうよ!穂積君は、女の子口説いたりなんて、しません!」
「え?…いや、穂積はお前らの何だよ?穂積だって、もう中2だぞ?好きな子の1人や2人…」
「先生!さっさと授業始めて下さい!」
「セクハラ教師で訴えますよ!」
「うえっ?!セクハラ…?!…じゅ…授業…始める」
中2だぞ?
好きな子の1人や2人
好きな子…
多分、シュウが俺に抱いてるみたいな好き
多分…俺はまだ、そんな風に好きになった事ない
そんな風に思ったら
キスマーク付けたいとか思うのかな
「今日は、元気そうだな?」
「昨日は、ありがと甲斐」
昼休み、甲斐が話し掛けてきた
「調子悪い時は、甲斐だけじゃくて、言っていいんだからな?」
「ありがと、秋月 。でも、俺そこまで体弱くない」
「…って言える程、強くもないだろ?」
「うっ……いつも、皆様には、心配とご迷惑を…」
1年ん時もそうだけど…
全校集会で倒れたり
体育の授業で過換気起こしたり
バスに乗れば、誰も話し掛けるなオーラ出しちゃうくらい、グロッキーになり
既に俺は、他の奴より心配して見てやんなきゃ
の、レッテルが貼られてる
「次、体育だぞ?勿論、見学だろうけど、ちゃんと誰かの陰に隠れてろよ?」
「篠宮 …俺は、か弱い女子か?」
「飛んできたボールに背中当たったら、痛いぞ~?」
「あ…そっか。そうだな…気を付ける」
と、言う訳で
既に、結叶の人生でも何度してきたか分からない、体育の授業の見学
ピピ~
「次!交代!」
「んじゃ、俺ら行って来るわ」
「篠宮、穂積の事頼む」
「おお。穂積の背中は任せろ」
全然違う意味だけど
格好いい
「まだ少し痛むのか?」
「動くとね。けど、全然。痛み止めとか飲まなくても平気」
「穂積…見学する事多いけど、すげぇ真剣に見てるよな?」
「俺には出来ないけど…皆の上手に動くとこ見るの好きだから。皆が一生懸命やってるのも、楽しそうにしてるのも…見てるの楽しい」
やっぱ、小学生とは動きが違う
高校生だと、もっと違うんだろな
高校生になった俺…
どんなだろ…
「ふっ…そんな、ニヤニヤする程楽しいのか?」
「あ…いや。あと2年したら、俺でも高校生になるんだなぁ…と思って」
「何だ?それ?当たり前だろ。永遠に中学生やるつもりか?」
当たり前…
違うよ
中学生で…終わっちゃったんだ
「一緒に…中学卒業出来るな?」
「あ?そうだな…」
篠宮が、不思議そうに返事をした時
「お~い!行ったぞ~!」
「危ない!」
「穂積!」
複数人の声が一斉に聞こえて
バスケットボールが飛んでくるのが見えた
俺は、反応出来ず
馬鹿みたいに、このままぶつかっても、背中じゃないからいっか
とか思いながら、目の前に迫ってきたボールに目を瞑った
?
ピピ~~!
あれ?
痛くない
ってか、硬くなくて柔らかい物が当たってる
これは…
「篠宮!」
篠宮だ!
「おお。危なかった~」
「篠宮!大丈夫?!」
篠宮の胸の中だったという事は
篠宮の背中に当たった
「全然大丈夫だ」
「ほんとか?背中…背中…」
「お~い、大丈夫か~?」
「牧田、お前さ、もうちょい危機感ある感じで知らせろよ。お~い!行ったぞ~!じゃ、全然危なくなさそうだろが!」
「穂積、篠宮!大丈夫だったか?」
先生も心配して見に来た
「先生…俺じゃなくて、篠宮に当たった」
「篠宮、大丈夫か?」
「全然大丈夫っす」
「そうか?一応、保健室行くか?」
「え?保健室?行かな…」
「行きます!」
「え?…いや、行かねぇって」
「一応!念のため!保健室の先生に見てもらいます!」
俺みたいに…
後から痛くなるかもしれない
保健室の先生見たら、きっと分かるから
皆、少し驚いてたけど
先生も、じゃあ念のため行って来いと言ってくれて
篠宮を保健室に連れて行く
「おい、穂積。俺、ほんとに大丈夫なんだけど」
「今はね。後から腫れてきたり、痛くなるかもしんないだろ?」
「たかが、知れてんだろ」
「いいから。後からじゃ遅いって事…あんだよ?」
「……そういう事…あったのか?」
「俺じゃないけど…」
俺は、生まれつき心臓が悪かったから
でも、生まれつきじゃなくて
途中で病気に気付いたって子も居た
そういう子達のお母さん…
皆言ってた
もっと早く病院で見てもらえば良かったって
早く見てもらって悪い事なんてない
何でもなかったとか
気のせいだったとか
そんなんで終わるなら最高だ
「穂積君!また、熱出ちゃった?」
「今日は、篠宮。俺を庇って、背中にボール当たっちゃって…先生、念のため本当に大丈夫か、見てもらえますか?」
「どれどれ~?」
「全然大丈夫なのに…」
先生が、篠宮の背中を捲って見ると
「う~~ん...バッチリ赤くなってるわね?」
「はあ…」
「ま、背中だから大丈夫だと思うけど、背中じゃなくて、胸とかお腹でも、強い痛みとか、吐き気とか、いつもとは違う症状出る様なら病院行って、ちゃんと検査してもらう事」
「はあ…」
「で、今は湿布でも貼っときましょ」
「はあ…」
篠宮…ちゃんと聞いてんの?
なんか、適当な返事
「先生、今日病院行かなくて大丈夫ですか?」
「ん~…今のところ、行く必要ないかな」
「そうですか…」
ほんとは今日…
すぐに、ちゃんと検査してもらいたいのに…
「穂積君の背中は?だいぶ良くなった?」
「俺はもう平気…なのに…ボケッとしてたせいで…ごめん」
「いや。俺も、ボケッとしてたんだよ。ってか、牧田の知らせ方が悪い!もっと緊迫感持って知らせてくれたら、2人して避けられたのに」
多分それでも俺は、避けれなかったけど
それなのに、人の事まで考えれる篠宮は凄い
「よし!オッケー。そこの用紙記入してね~。先生、ちょっと出て来るから。10分位で戻るから、休んでてもいいし、用紙記入したら戻ってもいいから!じゃね!」
相変わらず、騒がしい
先生、学校で1人だけだから忙しいんだな
「ん~と?用紙?何処だよ?」
「これだよ」
「お~。さすが、来たばかり」
いや、来たばかりってか…
もう、何度来たか分かんないから
「クラス…名前~…これだけでいいのか?」
「あとは、先生が、ちゃんとした記録してくれるからいいんだよ」
「ふ~~ん?………ん??」
「ん?」
俺の方を見た篠宮が、俺の胸に顔を近づけてくる
「何?」
「お前…これ…」
「んっ…!」
また、そこ?
「んなっ?!…変な声出すなよ!」
「ごめん…首とか…弱くて…」
「いや…その、弱い首に、とんでもない物付いてるぞ?」
「篠宮も知ってるんだ、こういうキスマーク」
「はあ?!こういう?…ってか、ほんとにキスマークかよ!」
「俺は、こういうのキスマークだと思ってなかった」
皆、何処で、どういうタイミングで
こういう事とか知るんだろ
「いや…いやいや…自分で付けられてんだから、分かんだろ」
「何されてんのか、よく分かってなかった」
「はっ?!どういう状況だよ?!それ、彼女どう思ってんの?!」
「?…彼女?」
「?…彼女じゃねぇの?」
「俺、彼女居ないし」
「…………は?」
信じられないといった顔で篠宮が見てくる
「篠宮…戻るか」
「はあ?!こんな気持ちで、何事もなかったかの様に戻れるか!」
「え…どんな気持ち?」
「彼女じゃねぇなら、誰にそんなもん付けられたんだよ?!」
「誰って……幼馴染みと…あとは…知らない」
「はあ~~?」
この話になると…
皆機嫌悪くなる
「穂積の幼馴染みって、あれだろ?あの…すげぇ女子にキャーキャー言われてる奴。なんで、そんな事すんだよ?!あと、あとは知らないって何だよ?!」
「だから、知らない間に付いてて、そしたらシュウが怒って付けてきて、おばさんも怒ってて、それで、兄ちゃんにキスマークについて教えてもらった」
「………突っ込みどころ満載過ぎて、もう無理」
突っ込みどころ満載…
「じゃあ…戻ろ?」
「そうだな…うん…戻ろう」
体育館が近づいてくると
篠宮が、
「ちょっと、穂積…こっち向け」
「?何?」
「お前…これ、上げとけ」
そう言って、ジャージのファスナーを、ずっと上まで上げられた
「ちょっと…上げ過ぎ!苦しいって!」
「そんなもん見られたら、あちこちから質問攻めだぞ?いいのか?」
「それは…めんどい」
「なら、消えるまで見えない様に努力しろ」
「どの位で消えるんだ?」
「彼女居ない歴イコール年齢の俺に聞くな!」
「俺なんか、もっと分かんないし…」
「お前は、順番がおかしい!」
そんな事言われても…
だったら俺だって言いたい
彼女居た事ないのに
なんで、これがキスマークだって分かるんだよ?
「………穂積…なんで、そんなジャージのファスナー上げてんの?」
「甲斐…これには色々と事情があるんだ」
「ふ~ん?保健室行く前は普通だったじゃん?」
「…だな?」
何日かかるんだ?
それまで、あんまり体育あって欲しくない
学校終わった
さっさと四葉の待つ家に帰って、シュウの様子を見に…
「穂積、穂積…」
「何?甲斐…」
「ちょっと…話あるんだけど…」
「えっと…それは、今日じゃなきゃダメ?」
「うん…そんな時間…かかんないから…」
「ん~…妹待ってるから、手短にお願い」
って、言ったのに
なんで、まず移動な訳?
時間…時間…
四葉が待ってるのに
「甲斐…やっぱ、時間気になるから、明日じゃダメ?」
「あ、ここにしよ?」
「……え?」
ここって…
空き教室だけど?
「ここ入んの?なんで?」
「いや…ちょっと…」
「そんな本格的な話?じゃあ、明日ちゃんと聞くから…」
「いいから、入って」
「……はぁ~…分かったよ」
甲斐が、こんな強引な事とかない
何なんだ?
「こっち…来てくれる?」
「いいけど、早くして?」
甲斐の言われた通り、教室の真ん中辺りの壁側に行くと
「今日…篠宮に、何かされた?」
「……は?篠宮?何?」
「ちょっと見せて…」
「え?…は?ちょっと何…」
甲斐が、俺のネクタイ外そうとしてくる
「篠宮に…何された?」
「何もされてない…ってか、俺のせいで怪我してたろ。甲斐も見てただろ?」
「じゃあ…見てもいいよね?」
「は?…見てもって…ちょっと…」
俺の止めようとする手もお構い無しに
どんどん、シャツのボタン外し始める
「甲斐?…何…」
「っ!……これ…何…」
「え?」
また、そこ?
ってか、何で皆、それが何だか分かんだよ?!
「何が何もされてないだよ…これ…隠す為に、あんなにジャージで隠してたんだろ?」
「いやまあ…隠す為ではるけ…どっ?!…ちょっ…!」
なんで、なんで
それじゃ…
また更に消えなくなるだろ?!
「ちょっと…やめろって…」
ってか…
増えてんの見られたら
またシュウに怒られんじゃん!
「んっ…!…触んっ……んんっ…!」
舐めんな~~っ!
ってか…長い…
何個…もう…無理…
「あっ…大丈夫?力抜けちゃった?」
情けなく、その場に座り込む
「~~っ…何なの?なんで…甲斐…こんな事するんだよ?」
甲斐が、目の前にしゃがみ込む
「穂積が…他の奴に、触れられるの…~~っ…許せないからっ…」
「……え?」
「穂積…の…事が……好き…だから…」
「……え?」
「~~っ…穂積…好きなんだ…」
そう言って
甲斐が抱き締めてきた
好き…は、
多分、きっと…
シュウと同じ好きだよな?
だって…甲斐も…
泣きそうになってる
「甲斐…気持ちは…嬉しいんだけど…」
「分かってる…いいんだ……ただ…穂積が好きでもない奴に…手出されんのは……我慢出来ない…」
手…出される
ってか…
勘違いは、訂正しとかなきゃ
「えっと…これは、篠宮じゃない」
「……え?」
甲斐が、俺から離れる
「これは、俺の幼馴染みがやった。それに気付いた篠宮が、隠してくれた」
「マジか……はぁ~…ってか…幼馴染みって…あの…モテまくってる奴?」
「そうだな」
「なんで…そんな事すんの?」
「なんでって……」
甲斐と同じ理由だよ
ってか…
「甲斐…もし違ったら、ごめん。俺が寝てる時…これ付けた?」
「……ごめん!…ダメな事だって…分かってたけど……我慢出来なかった…」
「そっか…それを見付けた幼馴染みが、怒って付けてきた」
「……穂積…あいつと付き合ってんの?」
「付き合うって…幼馴染みとしてじゃなくて?」
「なくて…」
「じゃあ、ないよ」
俺とシュウが
恋人として付き合う
付き合う=デートする。キスする。
あれ…
キスは、しちゃった
けど、そんなんじゃないから
「じゃあ…まだ条件は同じか」
「条件?…って?」
「いや……悪い。嫌な事した」
そう言って、今度はボタンをして
ネクタイを結んでくれる
自分で出来るけど…
「ごめん。でも俺…諦めないから」
「いや…でも俺…」
「ん。俺の事、考えてみてもいいかなぁ…って、思わせてやる」
「頑張られても…」
「ふっ…いいね。マイナスからのスタートなんだから、怖いもの無しだ」
「あっ!帰んなきゃ!俺、帰る!」
「ん。足止めして、悪かったな」
「じゃね!」
マズイマズイ
四葉!
ダッシュだ、ダッシュ!
「遅い!」
「はぁっ…はぁっ…悪い……ちょっと…友達に呼び止められて…はぁっ…」
「なんの用事だったの?」
「はぁっ……え?」
「帰りに呼び止められて、何の用事だったの?四葉より大切な用事?!」
「四葉……ごめん。四葉より大切な用事じゃない。ちゃんと断らなかった俺が悪い。ごめん」
腕組みをして、プイッと横向いてるけど
きっと、寂しくて、不安だったんだ
「……ユウが、ちゅ~してくれたら、許してあげる」
「ん…いいよ」
四葉のほっぺに、ちゅっ…ちゅっとすると
「……ユウ~~...」
俺に抱き付いてきた
「ごめん…四葉。寂しかったな?不安だったな?」
「ん……ん?」
「ん?」
四葉が、俺の匂いをクンクン…クンクン嗅いでくる
「ごめん…すっげぇ走って来たから…あんまり、嗅がない方がいいぞ?」
「ユウ……誰かと抱き合ったりした?」
「…え?!」
「誰…ユウ…その人の事、好きなの?」
「え?!…いや…ってか…抱き合ってた訳じゃ…」
「じゃあ何…」
いや…
四葉に、キスマークとか言っても…
「シュウ君…悲しませる様な事じゃないって言える?」
「……え?」
「ユウは…シュウ君より、その人の事が好きなの?」
「……四葉…どっちが…どっちとかじゃないし……シュウは特別だろ?比べられるものじゃない」
「……そっか。そうだよね?シュウ君は、特別だよね?」
「?……うん」
なんか…いきなり機嫌良くなった
シュウは、四葉にとっても
俺達にとって特別だろ?
「シュウ君は?」
「なんか、調子悪くて今日学校休んだから、ちょっと見に行ってみるよ」
「シュウ君が?珍しいね?」
「うん……」
調子悪いってか…
俺のせいで、ぼ~っとして
寝不足なだけだけど
「じゃあ、シュウ君見に行ってきて、大丈夫そうなら呼んで来て?」
「連れて来れそうならな?」
「うん」
来ないと思うけどな
俺と、一緒に居たくないだろうから
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