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妹って、別物

小3の頃は… 今よりずっと学校休んでた 特に冬になると、休む事が増えて… 「穂積、どこ悪いの?」 「え?どこって…」 「なんで、そんなに休むの?」 「すぐ…風邪とか引いて…」 「でも、休むの多すぎじゃない?」 「………うん」 明らかに…皆より多い 「穂積だけ、テストしなくていいなんて、ずるくない?」 「え?」 「俺ら、沢山やってるのに、穂積だけ、すっごく少なくない?」 「そうだよ。授業だってそんな休んで、ほんとは休みたいだけなんじゃないの?」 「違う!」 休みたいなんて思わない テストは苦手だけど 休みたいなんて思った事ない 「ほんとか~?わざと、嫌な授業の時とか休んでんじゃないの?」 「そうそう。テストある日とか」 「違う!休みたいなんて思わない!」 「だって、元気じゃん。ほんとに昨日まで、具合悪かったの?」 「めんどくさくて、長めに休んでたんじゃないの?」 違う… 俺は… ほんとに、休みたいなんて思わないのに 伝えたい事が伝わらない 信じてもらえない そんな思いで泣きそうになった時 「どうしたの?」 「あ、鍵谷。鍵谷も、思わない?穂積さ、いっつも休むけど、元気じゃん?」 「ちょっと具合悪いからって、サボってんじゃないかって、思わない?」 「…~~~~っ!」 「思わない」 え? 「は?なんで?」 「俺、去年の冬、日曜日に高い熱出て、当番の病院行ったんだ。ほんと…死にそうだったんだけど……でも、その病院に…もっと死にそうな子が居て……穂積だった」 「え?マジ?」 知らない... 俺…そんなの… 「待合室で、息…出来ない位苦しそうで…凄く混んでたから、すぐに呼んでもらえなくて…何回も看護師さん見に来て…結叶君、結叶君って言ってたから…穂積と同じクラスになるまでは、同じ学校ってのも知らなかったけど…」 「そう…なのか?」 「俺の熱の事なんか忘れる位…皆が穂積を早く診てあげてって思ってるの分かる位…穂積…苦しそうだったよ?入院してなくても…そんなに苦しそうだったよ?」 しーん…と…静まり返った 「穂積、凄いな?何回あんな苦しいのと、闘ってんだ?」 「え?俺は…ただ、先生や看護師さんに治してもらってるだけだから」 「でも、苦しいのと闘ってるのは穂積だろ?あんな苦しいの、俺なら泣いてる。でも、穂積…苦しいのに、ちゃんと看護師さんにお礼言ってた。すげぇよ」 「鍵谷……」 見られてたなんて全然気付かなかった きっと、凄く苦しかったんなら、凄い顔してた なのに… そんな風に見てくれてたなんて… 「……ごめん…ほんとに…苦しくなってたんだな」 「俺も、ごめん……そんな風に見えなかったから…」 「俺も…いっつもサボりたいと思ってるから、ちょっと羨ましかった」 「俺も!テストとか…宿題とか…やだから、いいなって…ごめん」 「ううん…休んで…授業もテストも少ないのはほんと……でも…学校…休みたいとは、思ってないから…」 そっか、ごめんな そう言って、皆、分かってくれた 鍵谷が居なかったら 分かってもらえなかった事 「皆と違う事言うのは、勇気いるだろ?鍵谷は、強くて優しい」 「だって、穂積が頑張ってんのに、皆にサボってるって思われんの、嫌だったんだよ」 「ん…ありがと」 「歩いて、クラクラしてない?」 「大丈夫。俺、あの頃よりは、だいぶ体強くなったよ?」 「ん…そうだな」 給食も完食! 完全復活! 「穂積って、鍵谷と仲良かったんだ?」 「甲斐…去年も、小学校の時も、クラス同じだったからね」 「そっか。具合、大丈夫?」 「全然大丈夫。ちょっと日光にやられただけ」 「今日、陽射し強かったもんな?」 「甲斐こそ、あの中でサッカーしてて、具合悪くなんなかった?」 「ヤバかった…」 だよね 俺、サッカーしてたら、絶対倒れてたよ 「泣いて…しがみ付く位の夢…見たの?」 「うっ…忘れて…」 「どんな夢だったの?」 「……優しい…お兄ちゃんの夢…」 「ほんとの兄ちゃん?」 「ううん…違うけど…」 ほんとの兄ちゃんみたいなもんだった 「そんなに…悲しい夢だったの?」 「……どうかな…悲しいとは…違うかも…」 「鍵谷だから…しがみ付いた?」 「……え?」 「俺でも…しがみ付いてた?」 「……多分…目覚める前に…しがみ付いてたし…」 「そっか。次、理科室だろ?行こ?」 「うん…」 何…今の質問 俺でも、しがみ付いた? 誰だからって… あんな所で、しがみ付こうなんて思わないよ 寝惚けてたんだから 「ユウ…帰ろ?」 「シュウ…うん…」 なんか… また元気ない? シュウが隣に居ると、視線を感じる 特に女子の… さっさと教室出よ 「ユウ…鞄…」 「もう大丈夫だって」 「今日…具合悪くなったって聞いた」 「え?早っ…でもあれは…」 「いいから…」 そう言って、ヒョイッと俺の鞄を持ってしまう 「ありがと…」 「行こ」 「うん」 シュウは… この、チラチラと向けてくる視線に気付かない いや…気にしてない 「体育の授業で具合悪くなったって…」 「うん。すごい天気だったから、木陰に避難したけど…」 そう言えば、背中強打したんだった 鞄背負ったら、少し痛かったかも 「泣いたって…聞いた…」 「え……」 どうしたら、シュウまでその話が伝わってくの? シュウの周りは、どうなってるの? 「泣いたの?」 「泣いた…けど…凄い情報網だね…」 「なんか…隣のクラスの奴に...しがみ付いてたって…」 「いっ…?!」 一体…どんな詳細な情報がシュウの元へ… 怖っ… 「ユウ…?」 「もう…忘れて欲しいのに、何故シュウの元にまで…」 「そいつに…何かされた?」 「え?!違う違う!俺、寝ちゃって、夢見て…」 あ… ヤバ… 「ユウ…また、泣く様な夢見たの?」 しまった… シュウ…かなり心配して… そして、多分怪しまれてるのに… 「えっと……えっと……」 そこまで情報入ってたら 嘘吐いてもバレる? 「えっと………はぁ…そう…」 「ユウ…その夢…いつも同じなの?」 「違うよ」 「違うのに…また泣いたの?今まで…こんな事なかった……」 うわぁ… 完全におかしいと思われてる そりゃそうだ だって、シュウと何回一緒に寝たか分かんない なのに、突然こんなになったら… 「昔読んだ本って?なんて本?」 「えっ?」 「昔読んだ本の内容なんでしょ?」 「あ…ああ…」 そう言ってたんだった 忘れてた 「なんて本?」 「なんて本…だったかな…」 「そんなに思い出す位覚えてるのに…なんて本か覚えてないの?」 「えっ?」 ダメだ… 俺…嘘吐く才能ない! シュウに嘘…つき通せる訳ない! 「ごめん…嘘……そんな本ない…」 「嘘?……ユウ…嘘吐いたの?」 「ごめん……」 「なんで…そんな嘘吐いたの?」 なんでって… だって… ほんとの事言ったって、信じてもらえないし… 「ユウが…嘘吐く時は…」 「え?」 「……今日…ユウの部屋で…ちゃんと聞かせて?」 「………ちゃんとって…言われても…」 「何でもいい…よく分からなかったら…分かる事だけでも…馬鹿げた話でも…何でも…」 馬鹿げた話でも… けど… 「……聞いて…気分のいい話じゃないよ?」 「それでもいい…聞かせて欲しい…」 「…………分かった」 「ただいま~」 ダダダダ… ガチャ 「ユウ~!」 「四葉ただいま」 「ユウ!ユウ!」 「ははっ…今日は、そんな遅くなってないじゃん」 四葉が、いつもより激しく抱き付いて ちゅっちゅ ちゅっちゅ してくる 「寂しかったか?」 「大丈夫!ユウ、あのね?今日ね?………」 「?…四葉?どうした?」 「また…ユウから、知らない人の匂いする…」 「え?……あっ!これは、体育の授業中付いたやつだから!放課後に誰かと会ったりしてないよ?」 「体育?何やったの?」 「サッカー……」 見学だけど… サッカーとは、全然関係ないんだけど… 「……ふ~~~~~~ん?」 長っ… 絶対なんか疑われてる 「まあ、いいや。シュウ君来るんだよね?」 「え?うん…着替えたら来るけど?」 「じゃあ、いいや」 「?…俺も…着替えて来ていい?」 「うん」 四葉は、漫画の世界みたいに、俺とシュウになって欲しいんだろうか? だから、シュウ以外と仲良くしてる気配を察知すると、機嫌が悪くなるんだろうか? それじゃ、俺にはシュウと恋人同士になる以外の選択肢が…… って… 四葉だって、中学生にもなれば変わる 好きな人できたり… か…か…彼氏なんて… できちゃったりなんかして… そしたら、俺やシュウの事なんか どうでも良くなるんだろな 家族として、幼馴染みとしては仲良くても 今みたいに毎日仲良く話したり まして、抱き付いて来たりなんてしない 「はぁ~~…」 着替えて、ベッドの上に座る なんか… 寂しくなってきた もっかい四葉を小1くらいまで戻したい 下に降りて、夕食の支度をする 「ユウ~…四葉もお手伝いする~♪︎」 「お?じゃあ、じゃがいもの皮剥いてもらおうかな?」 「うん!」 四葉も、時々手伝うようになってきた こうやって、だんだん料理出来る様になって 彼氏に食べさせたりするのかな 行ってらっしゃいのお見送りも お帰りなさいのお迎えも なくなるんだろな… 「~~~~っ…」 「ユウ?大丈夫?」 「…ぐすっ…玉ねぎ…水に浸けるの、忘れた…」 「え?これ…水入れて浸ければいい?」 「うんっ…」 ガチャ 「あっ!シュウ君!」 「四葉…手伝って……?!」 「ユウね?玉ねぎ、水に浸けるの忘れてたんだって」 「ああ…ユウ…こっち来て座ってろ」 「ぐすっ……シュウ~…」 「うん…ほら、座って。はい、ティッシュ」 「今日…肉じゃがと…ほうれん草のごま和え…」 「分かった。休んでろ」 玉ねぎのせいなんだけど ぼ~っとして、そのまま切っちゃったせいなんだけど 涙腺が崩壊したタイミングが… 四葉の事考えてたから せっかくなので…みたいな感じで どんどん出てくる お兄ちゃんとして、仲良く居られるのって 短いんだな… 兄弟とは違う 妹って、別物だ 「ごめん、シュウ…代わる」 「こっちは、やっちゃうよ」 「そ?じゃあ俺、ほうれん草の準備しよ」 「四葉も~~!」 「………四葉…好きな子とか…居る?」 「好きな子?いっぱい居るよ?」 「そっか」 良かった まだ、特定の子が好きとかじゃないんだ 「ユウは?居るの?」 「俺も、いっぱい居る」 「でも、シュウ君が1番でしょ?」 どうしても、そうなって欲しいのか 「シュウは1番ってか、特別だろ?」 「うん!ユウの特別は、シュウ君だけ!」 「四葉は?特別居ないの?」 「ユウ!シュウ君!大和!朔兄!」 可愛い~~! 「四葉は、可愛いな?」 「ユウも四葉の事、特別好き?」 「特別大好きだよ?」 「へへっ…」 大和や、シュウとじゃなくて 四葉との写真 いっぱい撮りたいんだけどな でも、四葉が喜ぶのは、俺達の撮影 「ユウ、今日これがいい~~」 「ん~?どれ?」 寝そべって、肩肘付いた男が 上半身起こして、上に跨がった奴の シャツの前開けたとこ、ツンツン?してる 首じゃないし、問題ないけど… 「いいけど…俺、こんな顔出来ないよ?」 ツンツンされてる奴が 顔赤くして、なんとも言えない顔してる …ってか、四葉が心配 もっと普通の漫画読んでくれ 「大丈夫。シュウ君に任せといて?」 「?」 「ん?」 シュウに任せる? どういう事だ? シュウの顔にも、?…出てるぞ? 「ユウは、こういうの着て来て。シュウ君、シュウ君~♪︎」 「ん?」 はいはい……… 歩き出して振り返る 四葉が、めちゃくちゃ嬉しそう いいんだけど 最近、好きとか、恋人とか そういうの考える様になったら… 実は四葉、シュウの事好きなんじゃ… なんて、思ってしまったりして… 「っ!」 シュウの腕、胸にぎゅってしてる! そりゃ…まだそんな、ないけど… でも… ちょっとは、あると思うよ? 「よ...四葉…」 「え?ユウ!まだ居たの?!」 「う…腕……胸……」 「何?これ、嫌なの?別のにする?」 う~~っ… そうじゃない でも… なんでだ? なんか…言えないっ! 「いや…着替えて来る」 「?…行ってらっしゃい」 う~~っ… 俺の意気地無し 仕方なく着替えて リビングのドアを開けると… 「…~~…ユウは…~~」 ん?俺? 「だから…~~...ユウ…~~...」 なんだ? 近付いてみると… 「んなっ?!」 「あ、ユウ、お帰り」 シュウの膝の上乗っかって 四葉が、シュウの胸、ツンツンしている 「何やってんの?!」 「シュウ君に指導してたの。こうやって、ユウ触ってね?って」 指導… でも… 「ちょっと…四葉、降りて」 「?…ユウ、どうしたの?」 そう言いながらも降りてくれた 「~~~っ!四葉…1回、お兄ちゃん、ぎゅ~っ」 「うん?ユウ、ぎゅ~っ!」 う~~~っ… 四葉~~... 俺の知らない四葉にならないでくれ 「ユウ、シャツのボタン全開で、シュウ君に跨がってね?」 「うん…」 「シュウ君、左腕付いて上半身起こして…ユウ、シュウ君の頭の後ろに左手回して…シュウ君適当にユウの胸、人差し指で触って?ユウはあと、シュウ君に任せて」 「うん…」 これ…何なんだ? 「ユウ…触るよ?」 「うん…っ…くすぐったい…」 「大丈夫?」 「もっと、力入れて触ってくれた方がいい」 「ダメ~!シュウ君、指、力抜いてる感じでね?す~…って、なぞる感じ」 「だ、そうだ」 「う~~…」 ツンツンじゃなかった… 四葉… 何を目指してるんだ? こういうの描く漫画家は、兄ちゃん反対だ 読むまでは許す こんなん仕事にして欲しくないぞ? 「~~っ…」 「んっとね~…シュウ君の指が、シャツで隠れる色んなバージョン撮りたいから、なるべくユウの右の胸なぞってて?」 「分かった」 「あ、そこで止めて!オッケー。もうちょい左…そこ!止めて!オッケー…そこからもうちょい左下…止めて!」 ちょっと… 四葉の指示が…どんどんプロっぽくなってきて怖いんですけど… 「そこから右に…そこ!止めて!」 「っ!」 「オッケー…もうちょい右…」 「えっと…四葉…」 「何?シュウ君?」 「いや…」 「集中して?」 「……はい」 シュウ…瞬殺 その先、乳首だからね? 気を遣ってくれたの? 俺もね、ちょっとは恥ずかしいよ 散々見られ慣れててもね ちょっとは恥ずかしいよ 「シュウ君?右にずらして?」 「うん…」 す~…とシュウが指をずらして… 「そこ!止めて!」 「っ…!!」 さすがに… 乳首の上、くすぐったいよ? 気まずいよ? …って…え?! なんでシュウ…ガン見… 「シ…シュウ…そんな見られると…さすがに恥ずかしいんですけど…」 「っ!…悪い…」 「シュウ君、もうちょい下…そこ!止めて!」 何故だか… 四葉にはシャツに隠れて見えてないはずなのに 乳首の周りばかり… ちょっと横に行って戻って 「っ…!」 ちょっと下に行って戻って 「~っ…!」 なんか… なんか… 「ユウ?」 「あ!ごめん…」 無意識に、シュウの腕掴んでた パッと腕を離す 「ユウ~?どうしたの~?」 「四葉…なんか…変な感じして…ごめん、大丈夫」 「力入る様なら、いつもみたく声出しちゃってね?あと、シュウ君の手が隠れない様なら、シュウ君のどっかに掴まってもいいよ?」 「あ…分かった」 こんなの、首に比べたら余裕なんだけどな 「シュウ君、今度は胸の真ん中、上から下に…」 す~…と胸の真ん中をなぞられる 「~~っ…!」 くすぐったい!くすぐったい! 「ユウ…危ないから」 思わず、シュウの頭から手離して、仰け反ってたのを シュウが、背中支えて戻してくれた けど… 「…っ!!」 背中… 「ユウ?どうした?」 「…っ…大丈夫…」 そのまま、シュウの胸に寄りかかる 背中… やっぱ触られると痛い… 「四葉…そろそろ…」 「オッケー。終了!」 「え?いいの?終わり?」 「ん。シュウ君が言うなら、終わり」 なんか… なんかシュウと四葉の間に… 何かが生まれてない?! 「シ…シュウ…」 「何?」 「よ...四葉…四葉…」 「四葉?どうかしたのか?」 ダメだ シュウは、周囲の女子の事なんて 全く気にしないタイプだ 四葉が…好…好きになってたとしても 気付かない それはそれで…四葉が可哀想 いや、待てよ? シュウは、俺の事が好きなんだよな? えっ?! じゃあ何?! 俺、四葉のライバル?! いやいや…四葉… シュウと俺をくっ付けようとしてるよな? どういう事? じゃあ、なんで急に最近、急接近してんの? 「ユウ…どうかした?大丈夫?」 「え?……あっ!ごめん!」 まだシュウに跨がって、寄りかかったままだった! 四葉は…… 俺達そっちのけで うっとりした顔で画像確認してる 四葉… 俺には、何が何だか、サッパリだよ……

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