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Tシャツ

死んでしまったのか 寝てるだけなのか 死んだ事がないから分からない 今聞こえてきてるのは、現実なのか 死んで、まだベッドの上での夢を見てるのか 死んでも夢を見るのか 死んだ事がないから分からない 体のどこも… 瞼さえ動かせない俺にとって 意識がないのと…寝てるのは…同じで 目覚める事がないから 何かが聞こえたり、考えれたりする時 多分、生きてるんだろなと思う でも… それすらも、もう死んでて気付いてないだけなんじゃないかと思ったり… 死んだら…死んだって、教えて欲しい 「おはよう!蓮君!」 「採血してくね~?ちょっと痛いよ~?」 「蓮君、点滴のとこ腫れちゃってるから、別の場所にするね?針刺すから、ちょっと痛いよ?」 あまりにも、生きてる間言われ過ぎて ほんとに、今聞こえてるのか 夢なのか… 「蓮~。今日も葵と来たわよ~?」 「蓮、蓮~。今日はね、葵が読んだ、とっておきのお話聞かせてあげる~」 あ… それは、初めてだ… 多分俺、生きてる 「あのね~…家庭に複雑な事情があってね~…不良になっちゃったんだけどね~…隣に住んでた幼馴染みのお兄ちゃんは、ずっと優しくてね~…」 安心する 葵の話し方… 楽しそう… こんな俺に 楽しそうに話し掛けるの 葵だけ 葵…大好きだよ 言えないけど ずっと思ってる 葵…ありがとう 伝えられたらいいのに 今は… 死んでるのかな 生きてるのかな 誰か…教えて… 「ユウ…朝だよ」 「……ん」 「起きれる?」 「ん……ん?」 あ… そうだ俺… 「おはよう、大和…夜中にごめん」 「久しぶりに結叶と寝れて、嬉しかったよ」 「大和…四葉には内緒にして?」 「いいよ?ユウがキスしてくれたらね」 そう言って、大和が目を閉じたので ほっぺにキスすると 「ユウ…シュウの唇にキスしたんだよね?」 「うん」 「じゃ、出来るかな?」 そう言って、また目を閉じた 唇って事? 寝たまんまするの…難しい ふにっ…と唇にキスすると 大和が目を開けて 「ありがと。お返し…」 そう言うと 耳の辺りに触れてきて 「んむっ?!」 お返し要らない! 「んっ…ん~…んっ……ぁっ…ん~~!」 この…舌…慣れない 一生慣れない気がする 「っ…~~っ!…はっ…~~っ…~~~~っ!!」 ほら…もう頭、真っ白 「ユウ…息継ぎ、上達してないなぁ…」 息継ぎなんて、途中から考えらんないもん 何も考えらんないもん 「大丈夫か?戻ってきた?」 「ん…俺の人生に…唇のキスは必要ないと思う」 「何言ってんの?こんな感じんのに、キスしない人生なんて、勿体なさ過ぎるよ?」 「勿体ない…のかなぁ…あんまり、いいものとは思えない…」 「そ?可愛いな…ユウ」 「んっ…」 大和が、頭撫でながら おでこや、ほっぺにキスしてくる これは、気持ちいいし、安心する 「大和…」 「ん?」 「大和が兄ちゃんで嬉しい」 「ん…俺も、結叶が弟で嬉し…」 大和に甘えたり、甘やかされたりすると 兄ちゃん欲しかったんだなって思う 四葉が居ないと つい、甘えたくなってしまう 「ユウ…起きよっか」 「うん」 起きて… 1日が始まる幸せ 「俺と穂積って、おかしくね?」 「おかしいとかないだろ?ほら、ちゃんと俺の腕掴んで。行くよ?」 「おお…」 今日の体育の授業は、柔道 武道なんてものを、この俺が出来てるなんて そりゃ、全然弱いけど 出来てんのが凄い 「よ~~し!かかり稽古終わり~!それぞれ約束稽古だ~!」 こんな… 人と戦うみたい事 結叶の人生なら 人生で1度くらいは こんな風に喧嘩とかする事あるのかな ドテーン! ドテーン! ドテーン! 繰り返し 繰り返し 舞坂(まいさか)に投げられる こう投げられたら、こう… 体に覚えこませて… 「穂積、大丈夫か?」 「ふぅ~…大丈夫」 「次、逆行く?」 「よし!行くか」 「大丈夫かな…俺、10cm位穂積より身長あるけど…」 「大丈夫、大丈夫。いい受け身頼む!」 「おお」 手を離さない様に… おりゃ! ドテーン! 「よし!」 「おお…」 「な?お互いのバランスが大事だ」 「大丈夫そうだな」 ドテーン! ドテーン! 練習なんだから 投げる側と受ける側が、ちゃんとしてれば 俺でも投げられる 投げられるけど 体力には限界がある そろそろスタミナ不足… って… もっと早くギブアップするべきだった 「えっ…?」 「わっ…」 ドターン!! 「なんだ?!」 「すげぇ音したぞ?」 やっちゃった… 「穂積…大丈夫か?!」 俺と一緒に倒れた舞坂が 大の字になった俺の足の間に座って 心配そうに覗き込んできた 「はぁ…ってぇ~……はぁ…ちょっと…へばった」 「どこ痛い?頭か?」 舞坂が畳に片方の手を付いて、逆の手で頭を触ってきた頃 「おい、大丈夫か?」 「先生…はぁ…大丈…」 って、答えてる途中で 「なっ?!…お前ら、神聖な畳の上で何を?!」 「え?」 「穂積が、舞坂に襲われてる!」 「は?」 俺と舞坂が、頭ん中 ???で包まれてる中 「穂積!乳!乳出てる!」 「うお!ヤバッ!しまっとけ!」 「おい、お前ら退けろ!穂積、大丈夫なのか?」 「大丈夫で…」 「舞坂…こっち来い!柔道使って、穂積襲おうとか、汚ねぇぞ?!」 「は?」 舞坂が、ズルズルと引っ張られてく 「お…俺が、ちゃんと着せてやるからな?」 「待て!俺が…」 「ちょっと待て!俺がちゃんと…」 「お前ら!まず先生を先に通せ!穂積!俺の授業中に、エライ事になんなよ?俺の監督不行き届きで…俺は…俺の教師人生が…!いや…俺の人生が…!」 なんか… 凄い話になってきた ようやく、ちょっと体力回復 むくりと起き上がって 「先生、もう大丈夫です」 「おお~~!穂積!お前…どこも痛くないのか?!」 先生が、皆を押し退けて、俺んとこ来た 「どこも痛くないです。ちょっとスタミナ切れで、一緒に倒れちゃいました。舞坂~…大丈夫…」 「穂積~~!」 「わっ…!」 「「「あ~~~~!!」」」 先生が抱き付いてきた 「お前は、先生孝行だな~~!俺と、柔道の授業と、この学校を救ってくれた!上手く倒れたな!エライぞ?!」 抱き付いたまま、ガシガシと頭撫でてくる 「はあ…ありがとうございます」 「セクハラ!」 「セクハラだぞ!」 「えっ?!」 「セクハラ教師だ!」 「違っ…違うぞ!」 先生が、勢い良く離れてく 「穂積!お前!回れ右!!」 「え?」 「回れ右!」 「?」 皆に言われて、皆とは逆を向く 「ちゃんと道着直せ!」 「あ…ごめん」 「髪も、セクハラ教師にグシャグシャにされて、ほんとに襲われたみたいになってんぞ!」 「俺は、セクハラ教師じゃない!生徒思いの優しい教師だ!」 「はいはい。記者会見で、そう言って下さい」 「き…記者会見…」 皆、先生で遊び過ぎ… うっし! 「出来た!舞坂、大丈夫か?ちゃんと受け身取れなかったろ?」 「ああ…怪我はない。穂積も、ほんとに大丈夫か?」 「大丈夫!皆、先生からかわないでよ。先生、セクハラ被害者は存在しないから、心配しないで下さい」 「おお…穂積~~…」 なんて事があったのが、2時間目で お昼休み… 「穂積さ、柔道着着る時、中にTシャツ着なよ!」 「え…なんか甲斐…怒ってる?」 「別に?!」 「いや…怒ってんじゃん」 ぷいっと、そっぽ向いてるじゃん 「俺も、甲斐の意見に賛成!穂積のチラリはヤバイ!」 「ちらり?なんで、皆は良くて、俺はダメなんだよ?」 「穂積だからだ!」 「はあ?何それ…新手の苛め?」 「あのな?皆、穂積の着替えは覗かないってのが、暗黙のルールなんだ。なのに、自ら見せちゃダメだろ?」 だろ?と、言われても 別に見られてもいいし なんで、知らないうちに、そんなルールが… 「なんで、俺だけ……俺…情けない体してるから?皆…見られたら恥ずかしいだろうと思ってんの?そりゃ…見て欲しいなんて体してないけど…俺だけって…なんかやだ……俺だって、体力ないけど…弱いけど…同じ中2で…同じ男で……」 「え?いや…なんか話が斜めな方向行ってんな…」 「だな…穂積…なんか俺達の考えてんのとは…遠く離れてんな…」 「え?」 俺が可哀想な奴だからじゃないのか? ってか、甲斐は、なんで不機嫌なんだよ 「えっとだな…話をまとめると…俺達は、穂積の事が大好きで、凄く大切に思ってるんだ」 「それで…なんで俺だけ特別扱いなんだよ?」 「皆にとって、特別大切だからだ」 「それ…信じていいの?俺の事…馬鹿にして…騙してない?」 「してない。穂積の為なら、体育教師だろうが、担任だろうが、校長だろうが、戦うぞ!」 「そうだ、そうだ!いつでも言え!」 そんなの…分かってたけど そんな… 苛めとかする奴らじゃないって、分かってたけど どこかで、劣等感があるから 特別扱いは…苦手だから 「今んとこ、お前ら以外には苛められてない」 「だから、苛めじゃないって…」 「ははっ…お前ら、後で先生に謝ってやれよ?すっごく怯えた顔してたぞ?」 「いや、あれはアウトだからいいんだ」 「何がアウトだよ。人生終わりって顔してたぞ?」 「これで、二度と穂積に手は出すまい」 大切に…されてんだとしても 特別は…苦手なんだ 全然レベルが違ったって 皆と一緒がいいんだ 「と、言う訳で、穂積は中Tシャツな?」 「やだね。俺だけなんて絶対やだ」 「じゃ…俺も着る」 「え?」 甲斐… 「だったら…着る?」 「あ、じゃあ俺も着る!」 「俺も、俺も」 「あ、じゃ俺も着よ~。俺様の綺麗な乳首、お披露目なんてしたくないからな」 「お前は黙ってろ。お前の乳首が、真っ黒だろうが、真っ白だろうが、俺には関係ない」 「はあ~?きっれ~なピンク色だわ!見るか?!」 見せてどうすんだよ? 見せたくなかったんじゃないのかよ? でもきっと… そんなの、どうでも良くて なんで、そんなにTシャツ着せたいのか それは、いまいち分かんないけど 俺だけがやだって言ったからなんだ だから皆… 分かんないけど… 皆一緒だよって…言ってくれてんだ 「だったら…着てやってもいい」 「ほんと?!」 「ふっ…なんで、甲斐がそんな喜ぶんだよ?」 「よ~し!じゃあ、次回からTシャツ忘れらんねぇな?!」 なんで…皆が喜ぶんだよ 嬉しいのは俺… 1人じゃないよ 俺だけ…特別じゃないよって… 同じだよって… 「えっ?!穂積?!」 「なっ…泣いてんぞ?!」 「え?」 ほんとだ… 泣いてた 「あ…ごめ…」 「そんな嫌なのか?!じゃ、無理しなくていい!」 「悪い!そこまで嫌だとは思わなかった」 「Tシャツの話な~し!な?だから、泣き止め」 「~~~~っ!」 違う… 別にTシャツなんて、着ても着なくても、どっちでもいいんだ ただ、皆と一緒じゃないのが寂しくて 皆と一緒にしてくれたのが嬉しいだけ こんな、ちょっとした事で、こんなに泣けてくるのは… 多分… 一緒には、してもらえなかった蓮の涙だ 「落ち着いたか?」 「うん…ごめん…別に、嫌だった訳じゃない」 「穂積君、大丈夫?」 「男子共に泣かされたの?」 「こっちおいで?」 何人かの女子達が寄って来た 弱いけど、一応男が泣いてる時に あまり、来て見ないで欲しい 「違う…皆が、優しいから…」 「穂積~…可愛い奴だな~」 「キモッ!男子あっち行け!」 「は?!女子こそ、関係ねぇだろが!引っ込んでろ!」 「はあ~?引っ込んでろだ~?穂積君をこんな泣かせといて~?はあ~?」 「ちょっと…喧嘩すんな。もう泣き止んだ。喧嘩終わり」 俺が、そう言うと 一言二言交わして、女子達は、去って行った 「ごめん。Tシャツ、なんでそんな着て欲しいのかは、分かんないけど、俺だけじゃないなら着るよ」 「おお~!じゃあ、皆で着ようぜ!」 「一緒にって思ってくれて…ありがと」 …………… 「え?」 なんで…沈黙なの? ここは、ありがとうじゃなかったのか? 全っ然分からん! 「穂積…満面の笑みのありがとうは…俺達まだ…免疫不足だから…」 「は?」 「ちょっと…まだ早かったかな…」 「何の話?」 「流石だわ…いやほんと…毎日、俺達に癒しをありがとう」 「あ?全然分かんないけど?」 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン… 訳の分からん昼休みが…終わった そして… 学校からの帰り道… 「ユウ……」 「何?シュウ…なんか、元気ないな?どうかした?」 「大丈夫?」 「え…いや、元気ないのは、シュウだろ?」 「……なんか…体育の授業中……襲われたとか…聞いた」 「えっ?!」 相変わらず情報早っ! どうなってんの? 「いや…襲われてないよ」 「そう……先生に…抱き付かれたとか…」 「いっ?!」 ほんと…どうなってんの? これじゃ先生 ほんとに、セクハラ教師にされちゃうよ 「抱き付かれたけど、先生は、心配して安心しただけだ」 「……?」 そりゃそうだ 訳分からん 「昼休み…ユウが泣いたのは…そのせい?」 「……違う」 もう… 怖いんですけど 俺のクラスに シュウの手下の偵察員でも居るの? それとも 俺の体に、盗聴器埋め込まれてる? でも… そっか 俺の事心配して、元気なかったのか 「話…聞いてくれる?」 「うん…」 体育の授業中の真実を告げると 「……そっか……」 あれ? もっと、安心するかと思ったのに… 「それで…昼休みは、どうして泣いたの?」 今度は昼休みの話をする 「俺さ、皆に負けてる事が多いだろ?だからさ、どうしても特別扱いは…そんな風に思われてる気になる」 「うん…」 「誰もそんなん思わないだろうけど……女子って、柔道の時…中にTシャツ着てるだろ?なんか…弱いのに…益々弱く見えるって言うか……弱いってレッテル貼られてるみたいで…嫌だったんだ」 「うん…」 そんな風に思ってた訳じゃないのは、分かってるけど 俺の被害妄想なんだろうけど 「そしたらさ、甲斐って奴が、俺も着るって言い出したんだ」 「うん…」 「そしたら、他の奴らも、俺も着る…俺も着る…ってさ……ほんと…なんで、そこまでしてTシャツ着せたいんだか、訳分かんないけどさ…嬉しかったんだ」 「うん…?」 シュウになら…言える ほんとの気持ち 「俺が皆のとこ行くのは、難しい事多いだろ?そしたら…皆が俺のとこ来てくれたんだ。わざわざさ…降りなきゃなんないのにさ…俺に合わせようって思ってくれたのが、嬉しかったんだ」 「…そっか」 「それで…なんか、胸がいっぱいになったらさ……そうは…してもらえなかった蓮の気持ちまで…乗ってきちゃってさ……溢れちゃった」 「……そうだったんだ」 「ん…だから、心配する事じゃないんだ」 結叶は…まだ近いから それでも そんな風にしてくれる気持ちがないと そういう人達に巡り会えないと そんな風にしてもらえないけど 蓮は…あまりにも遠かったから 皆… 何かしたいと思ってくれても 難しかったのかもしれない… 「あ…」 「ん?ユウ?」 「ちょっと…喉変かも…」 「風邪?」 「なんか…そんな気がする」 食事の支度をしてて気付いた、喉の違和感 これは…風邪の引き始め 「ちょっと、風邪薬飲んどく」 「うん」 喉なんだよなぁ… 頭でも、鼻でも、腹でもなく いつも、喉からなんだよ 俺の喉は凄く弱い 「ユウ…大丈夫?お熱ある?」 「熱はまだないよ。でも、念のため四葉は、あまり近寄らないで?」 「四葉もう、ちっちゃくないから大丈夫だもん!」 確かに… もう…ちっちゃくはないな そして、俺より健康だ けど… 「え~?心配だもん」 「大丈夫!でも、今日の撮影は中止。ユウ、ご飯食べたら、早めにお風呂入って休んで?」 「四葉…ありがと」 「喉痛い?」 「まだ、痛いまでじゃないよ」 誰かが具合悪くなると、皆心配 そして、やらなきゃならない事が増える その誰かが、俺である事が、物凄く多い やだな… 「シュウ、ありがと。あと、煮込むだけか」 「うん…ユウ、お風呂入って来ちゃってもいいよ?万が一、寒気とかし始めたら、入れなくなる」 「…じゃあ…入っちゃおっかな」 「うん」 シュウも…四葉も… 心配し慣れてる どうすれば、俺にとっていいのか 予想出来る様になってしまった お風呂から上がると、ご飯が出来てて 風邪薬飲んだのに 食べ終わる頃には、違和感が増してきて 「ユウ…あと、やっとくから、もう休んで」 「ごめん…ありがと…シュウ」 「ユウ…四葉が、一緒に付いて行ってあげる」 「四葉は、あまり近寄らないで欲しいんだけどな…」 「大丈夫だも~ん」 そう言って、俺の部屋まで付いて来る ベッドに横になると 「ユウ、寒くない?」 「うん…大丈夫だよ。ありがと」 「ユウ…早く良くなりますように…」 四葉が、いつもみたいに、ほっぺにちゅっとしようと、顔を近付けてくる 「あ…今はだ~め…」 「えっ?大丈夫だもん!」 「だ~…め…」 「あ…ユウ…喉痛い?お水持って来る?」 ちょっと声が掠れると 一気に、心配そうな顔になる 「大丈夫だよ。ありがと」 「~っ…四葉…ここに居る?」 「今日は、熱が出てる訳じゃないから、何かして欲しい事あったら、ちゃんと下に行けるよ」 「うん…じゃあ…四葉居ない方がいいね?下行って…大和と、お父さんとお母さんに、教えるね?」 「ありがと…四葉……四葉は、俺よりずっと…お世話…上手だな…」 そう言って頭を撫でると 「へへっ…」 ようやく嬉しそうに笑って 「ユウ、ゆっくり休んでね?」 そう言って、部屋を出て行った …と、思ったら 頭…撫でられてる? 「四葉…下…行ってて…」 「四葉じゃないよ。ただいま…ユウ」 この声… 大和か 帰って来たんだ 「お帰り…大和……四葉…大丈夫?」 「大丈夫だよ。結叶は?熱はまだ、なさそうだな?声は枯れてる。他は?寒いとかない?」 「ん…大丈夫…」 「そっか。寝てていいよ。起こして、ごめん」 「ん…」 ごめんって…言わせたくなくて 謝らないで… 謝りたいのは また、皆に心配かけてる俺 大和が、ほっぺの辺りを触ってきた手に 甘える様に擦り寄る 「ユウ…今朝ちょっと寒かったもんな?夜中に起きたりして、風邪引いちゃったかな?」 「ん…」 ちょっとした季節の変わり目 ちょっと、いつもより温度差があったから 皆は気にもしてない様な事で 俺の体調は、すぐに崩れる 父さんも母さんも 仕事帰って来て… また俺、寝込んでるんだとか聞くの… やだろうな… 「……ごめんなさい」 「ユウ?…なんで謝ってんの?」 皆を、笑顔にしたいのに 俺は… 笑顔を曇らせるのが得意だ 「蓮…ごめんじゃなくて、ありがとうって言って?」 あ… そうだったね ごめんは… もっと曇らせるんだった 「……ありがとう」 「ふっ…夢見てんのかな?」 ありがとうは… 笑顔にする

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