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やる気スイッチ
弟の部屋に、弟の事が好きな幼馴染みが泊まった
そんなの、いつもの事で
いつもの事なんだけど
夜中…
弟の喘ぎ声が聞こえてきた
これは…
あの馬鹿に任せてる場合じゃない
「おはよう」
「おはよう」
「ユウ!大丈夫?!ちゃんとシュウ君と寝た?!」
「四葉…大丈夫だよ。ちゃんと寝た」
ちょっと、進行状況確認しとくか
さっさと朝ごはんを食べ終え
「ユウ、ちょっと一緒に来てくれる?」
「?…うん…」
階段を上りながら聞いてみる
「ユウ、昨日シュウに何かされた?」
「えっ?!なんで分かるの?!」
「ユウのお兄ちゃんだから」
「えっ?!お兄ちゃんだと、分かるもんなの?!」
「うん。ま、普通のお兄ちゃんじゃ、気付かないかもな」
「大和、すっげぇ…」
可愛い
こんな嘘信じるなんて
部屋に入り、荷物を準備しながら話す
「大丈夫?体…痛いとこない?」
「うん…ないけど……シュウが…あり得ないとこ触ってきた…」
どういう流れで、そうなった?
ユウの可愛いお尻を少し触る
「わっ!」
「ここ?」
「なっ?!…なんで分かるの?!」
「なんとなく、こっちかな?って…」
「あり得なくない?!ソコさ、アレの出るとこだよ?!アレ付いちゃう可能性あるだろ?!あり得ないんだけど?!」
そっち?
シュウの心配?
「ユウは大丈夫なの?そんなとこ、凄く不快だろ?」
「不快ってか…とにかくシュウの指が心配過ぎて…途中から、それどころじゃなくなったし…」
「そうなの?」
「うん……はぁ~~…大和…俺さ…」
ユウが、ネクタイをしてる俺の隣に来る
「なんか、人より感じるんだって」
ユウ以外、皆知ってるよ
「そっか」
「うん…だからね?普通男は、胸ってそんな感じないらしいのに、俺、訳分かんなくなったんだ…」
それどころじゃなくなったのは、それか
なんで、そんな恥ずかしい事、自ら告白するの?
可愛い過ぎん?
そんで、全然恥ずかしがってないどころか、ちょっと不貞腐れてんの?
「ユウ…自分の体質、嫌い?」
「ん~~…嫌いって言うか…ちょっと不便?あと…何かに負けてる気がする」
「でもさ、そのお陰で、あり得ないとこ触られてるの、あんまり気にしなくて済んだんだろ?」
上着を着ながら聞くと
「まあね……そのお陰でシュウ喜んでたし…」
「シュウ喜んでた?」
「うん…なんか、俺の中触れたって……アソコって…中さ、腸だよね?腸触って嬉しいのかな?」
ん?
中触れた?
中?
「ユウ…中…触られたの?」
「うん。指少し入れられたから」
マジか?!
「ユウ…大丈夫?痛くなかった?」
「だからさ、そっちどころじゃなかったんだよ」
どんだけ胸で感じたんだ?
初めて入れられるって、相当不快だぞ?
と、思うぞ?
「そっか…凄いね…ユウ…」
「凄い?何が?」
「いや…ユウが傷ついてないならいいんだ。シュウの事、嫌いになってない?」
「ないよ?」
「そっか。じゃあ、行って来るな?」
「うん……」
痛くない
シュウの事嫌いになってない
けど、何か気になってるか
「大和…夜に少し相談乗ってくれる?」
「もちろん」
漠然とした不安か?
ユウを抱き締めると
「ありがと…大和…」
抱き締め返して、甘えてきた
シュウとの関係の変化が不安か
少し、そうしてると
「行ってらっしゃい、大和」
そう言って俺から離れた
「ん…行って来ます。ユウ…キスしてくれる?」
「ん…ちゅっ」
「ありがと…行って来ます」
可愛い弟からのキスの後
可愛い妹からのキスをもらって
学校に登校する
電車に乗って朔に連絡する
『お前、今、指何本?』
もう少し、余裕あると思ってたからな
まあ、あんまり圧力かけて
俺とすんのが恐怖になられても困るし
なんて思ってたら
予想外に、指突っ込まれてた
やるな…シュウ
ヴヴ ヴヴ
『朝っぱらから、なんちゅう質問してくんだ?!アホか!』
あ?
朔のくせに何言ってんだ?
『お前、馬鹿?』
『朝っぱらから質問してる意味を考えろ』
絶対こいつ進めてないな
あのグッズ
全部説明書付いてるから、少しずつ準備進めて、指3本入る様になったら連絡しろって言っといたけど
絶対、適当に試してやめてんな
ヴヴ ヴヴ
『え?シュウとユウ、ヤッたの?』
ヤられてたまるか
今回は、指1本だったから、ユウの感度抜群の体質に救われたが
ここから先は、そうはいかない
悪気がなくたって、ユウが泣く事になる
『まだ指1本だ』
『今週末、突っ込める様にしとけ』
朔だって、感度はいい方だ
本気出したら、なんとかなるだろ
ヴヴ ヴヴ
『今週末?!たった数日で、どうにかなる訳ねぇだろ!殺す気か?!』
馬鹿が自ら白状したな
『お前、全く何もしてなかったな?』
たった数日になるまで
何日あったよ?
殺す気か?だって?
ユウが、そんな目に遭うんだぞ
こいつ…
無視しやがって
『今週日曜日』
『逃げたら、来週どんな目に遭うか覚えとけ』
どうせ俺から逃げられないくせに
なんで抵抗しようとするかな
あ…
馬鹿だからか
朝から携帯が鳴ったと思ったら
相手は悪魔だった
何考えてんだ?!
って思ったけど…
え……
ユウ…指…入れられたの?
あれ…やられたの?
今すぐユウを抱き締めてやりたい
相手は大和じゃなくシュウだから
きっと、ずっと優しかったろうけど
そういう問題じゃない
あんな感覚
やられた奴にしか分かんないんだ
不快…圧迫感…屈辱感…
ユウ…大丈夫か?
いやいや…
ユウの心配してる場合じゃない
俺…日曜日ヤられる事…決定されてた
「はぁ~~…」
「東雲、朝からなんだか、ぼ~~っとしてんな?」
「ああ…まあな…」
まさかお前も、俺が数日後に男にヤられる奴だなんて思ってないだろな
「彼女と上手くいってないんか?」
「また俺ら協力してやろうか?」
あ…思い出した!
「ほんっと、お前らやめろよ?あの後大変だったんだからな?!」
「あ、やっぱ盛り上がったんだ…羨ま~」
「はあ?!」
「いいなぁ…猟奇的な彼女」
ダメだ
こいつらに話通じない
「お、そろそろ昼休み終わるな。次は、化学室に移動だ」
「そうだったな。東雲、ほら行くぞ?」
「おお…」
いいなぁ…こいつら
毎日幸せな楽しい妄想で
俺は週末…悪魔と地獄の時間を過ごすんだ
「東雲~…さっさとしないと予鈴鳴るぞ~!」
「俺、トイレ寄ってから行くわ」
「お?じゃ、先に物持ってってやるよ」
「おお…サンキュ」
トイレ…
「はぁ~~…」
トイレも風呂場も嫌いになりそう…
トイレから出て化学室へと向かう
ユウの為にはって思うけど
あのグッズを見るだけで拒否反応が出て
正直あまり…頑張ってなかった
結局はヤられる運命なんだから
潔く頑張るしかないのか…
「はぁ~~…」
ガラッ
化学室のドアを開いて、歩き出して気付く
?
誰も…居ない
え?
何で?
そう思って見渡した時…
は?
ほんとに…時って止まるんだ
俺と、その教室に居た2人と
その3人だけが
時を止めた様だった
見渡した先には
廊下側の真ん中辺りに2人の生徒
入ってすぐには、死角で気付かなかった
なんで時が止まったかって…
そいつら2人が
今まさに…ヤッてる最中だったから
机に突っ伏して、突っ込まれてる奴と
そいつの後ろから、突っ込んでる奴
そこに乱入して来た俺
たった2、3秒が
2、3分位止まってたかの様だった
1番最初に動いたのは、突っ込んでる奴
「おい!何見てる!さっさと出てけ!」
そこで、金縛りの様になってた体が動き出す
「すっ…すいませんでした!」
一目散に逃げ出し、ドアをしっかり閉める
何処?!此処?!
とりあえず、その教室から離れて周りを見渡す
普通の教室が並んでる方を見ると…
3-D 3-C……
3?!
2階のはずが…3階まで上って来ちゃってたんだ!
あそこは…
ただの空き教室だ
予鈴が鳴る中、階段を下りて
化学室に入ると
「随分踏ん張ってたんだな?東雲」
「はぁ~~…教室間違えて、とんでもないもの、目撃してしまった」
「間違えた~?とんでもないものって?どっかで誰かシコッてたか?」
当たらずとも遠からず
ヤッちゃってたんだよ
授業が始まっても
俺の頭ん中は、悶々としていた
あいつら…先輩?
でも、うちの学校の生徒だよな
あんなとこで…ヤろうとかすんなよな
けど…
遊びとかじゃなくて
ちゃんと…好きな奴同士っぽい
だって…
ちゃんと凝視した訳じゃないけど
完全に突っ込んでた
繋がってた
自分の事考えたら
まず、そこ隠すと思う
だけど、突っ込んでた奴…
まずは、上着脱いで
相手の顔…隠しながら、俺の事怒鳴ってた
なんか…愛情感じられた
少しだけど
ほんの少しだけど
男同士のセックスなんて
まだ、あり得ないでしかないけど
ちゃんと…愛情あってシてる奴ら見ちゃったら
なんか…ちょっと嫌悪感薄れたかも
突っ込まれてる方の奴…
気付くの遅れたのか
一瞬見えた顔が…
すげぇ気持ち良さそうだった
ちゃんと準備したら、あんな気持ち良くなれんのかな
それとも…あの相手の愛情とかの問題なのかな
準備…
出来る事…してみようかな……
偶然見た、とんでもない光景は
俺に、変なやる気スイッチを押させてくれた
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