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天使の大和

さてと… バイト行って 帰って、また頑張りますかね… そう思って、校門を出た所で 「東雲、東雲」 「あ?来栖…何だ?」 「今日さ、清水とちょっとだけ体験してみよっかって話になったんだけど、東雲も来る?」 横で清水も、にこにこと立っている 「体験って?ってか、俺はこれからバイトだ」 「そっかぁ…残念。じゃあ、明日教えたげるね」 「あ?なんか知らんが、じゃあな」 いつもの様にバイトをして 賄いを食べて、ふと思う 来栖の兄ちゃん…男友達相手でも気持ちいいって思うんだな んで、相手も気持ちいいって思ってんのか いいな… 気持ちいいって事は、痛くないんだ 「はぁ…帰ろ」 家に帰る途中、携帯が鳴る 見ると…来栖? 『男同士のフェラ、めちゃくちゃ気持ちいい!』 「……はっ?!」 なんの報告?! 『清水とイキまくった』 『東雲も、今度一緒にしようね♪︎』 「はあ?!」 体験って… こういう事?! マジで? あいつら… お互いのフェラしたの? 2人の笑顔のツーショットまで送られてきてて… した後、こんな笑顔でツーショット撮れるもん? なんか… こんな簡単に友達同士でやってる奴らが居るなら 大切な弟達の為にやる俺は なんか…健気じゃね? 「うっし!気合いだ!」 待ってろよ?ユウ… お前が泣かなくていい様に この朔兄が、自分のケツ… 挿れれる様にしてやるぜ 「~~っ…はっ…はぁっ…」 力抜いて… 「はぁ~…っ…はっ…」 力抜いてたって 指が触れたら、勝手に力入る けど… 口…閉じてるより 開いてる方が、力は入んないから… 「はぁっ…はっ…~~っ…はぁっ…」 あと少し… あと少し… 「はぁ~っ…はぁっ…はぁ~っ…」 ちゃんと…指2本根本まで入った ちょっと…これで広げよう じゃないと…3本目入るスペースなんてねぇよ 「はぁ…っ…」 だんだん… 慣れてくるもんで 最初は、いくら洗っても 絶対出る!って、ビクビクしてたのに そのうち 圧迫感で、出そうな感覚が 気になって仕方なかったのに それも… 最初より、気にならなくなってくる 「はぁ…ちょっと…前とか触ったら…3本目…ちょっとでも入んねぇかな…」 前触ってみるけど 後ろが気になって、全然集中出来ない ダメだ… でも、せめて2本に、もう少し慣れておこう 「はっ……はぁっ……よし…もっ…いいだろ…」 疲れる いっその事… 早く突っ込んでもらいたいなんて思ってしまう 寝る前に思う そう言えば、来栖達…あれで終わりじゃないんじゃ… そのうち…後ろもやってみたりする? もしそうなら… 参加とか… させてもらったら早いんじゃ… いやいや 大和でもあり得ないのに 他の奴に見せるとかあり得ない 指3本 その事ばかりが頭を占めて 頭、おかしくなってんだ 次の日 学校行くと、案の定、来栖と清水の話で盛り上がってて 俺も参加しようかなって奴も、何人か居て… いやいや… ダメだって あり得ない 風呂場で、また1人頑張ったけど 3本目の指は入んなくって どんどん日曜日は近付いてくのに 翌日… 「マジで?!」 「マジマジ!田辺がさ、思いの外感度いいから、これならいけるんじゃね?と思ってさ」 「で?で?挿れたのか?!」 「んな、すぐ入んねぇよ」 「なんだ~」 「指2本は入ったよな~?田辺」 「バラすなよ!」 え? え? 「指2本で、限界なもん?」 「最初から2本入るだけで、凄いって」 「ふ~ん?じゃあ、アレ入れれる日なんて、まだまだじゃん」 「いや、田辺なら、すぐにでも入るんじゃね?」 「マジで?!」 「入んねぇよ!勝手に決めつけるな!」 田辺… 最初から2本入ったの? 俺が… こんなに毎日頑張って それでも2本しか入ってないの… 最初から出来たの? なんか… 泣きたくなってきた ヤベェな俺… メンタル相当きてる 今日…ダメだったら 明日…言ってみようかな 明日は金曜だし バイトの後、遅くなってもいいし だって… そうじゃないと… もう日曜日… 「東雲~」 「何?」 「なんか元気なくない?」 「そう?」 「俺らが、憐れだとか思ってるんだろ~」 「別に?」 「いや、マジで気持ちいいから、気が向いたら東雲も来いよ。清水ん家だけど」 「ほんとお前…俺ん家、なんだと思ってんだよ?」 笑えない 全然笑えない 女とのセックスもそうだけど 自分で指入れるだけでも メンタルって関係あんのかな 今日こそは3本って気持ちはあるのに 全然…入ってかない なんで? なんで? もう何日2本入れてると思ってんの? いい加減入ったっていいだろ? もう…痛くてもいい だって、そうじゃないと、もっと痛い事になる ローションたっぷりつけて 「はっ…はぁ~……はぁ~…っ!…~~っ!」 痛いのは…少し… けど… それより… あり得ない程、広げられて 大丈夫? これ…大丈夫なの? 怖い! 「~~っ…」 抜いてしまった 「~っ…もっ……やだっ…」 こんなんで泣いてしまう自分も こんな事して、泣きながら床掃除してる自分も 惨めで…なんか… もう…ほんと…限界… 限界過ぎて 全然眠れない 明日…来栖達んとこ、行ってみようか また勝手な事してバレたら怒られんのか 『頑張っても、3本入んない』 『明日友達んとこ行っていい?』 訳…分かんねぇな 何これ 俺、何やってんの? 「…っ…うっ…」 何の涙だか分かんないけど なんか、無性に泣きたくなってきた 「っ…っ…~~っ…」 最初から訳分かんなくて でも、ユウとシュウを思うと やっぱそうなのかな?とか思って 「~~っ…うっ…っ…」 でも、やっぱ、訳分かんなくて 分かんない… もう… ヴ~~ え? ヴ~~ 大和? …電話 ちょっと… 今、無理なんだけど… ヴ~~ ヴ~~ 『今、電話無理』 ヴ~~ ヴ~~ 無理だって言ってんのに ヴ~~ ヴ~~ くそっ… 「す~…はぁ~…あ…あ…」 大丈夫かな 泣いてたの、バレないかな ヴ~~ 「もしも…」 「何?誰に突っ込んでもらうって?」 「え?いや…」 「お前、馬鹿なの?馬鹿だけど。ケツ触らせんなって言ったのに、突っ込まれに行く訳?頭どうなってんの?」 「ち…違う……そうじゃなくて…」 「じゃなくて?何だよ?」 俺だって頑張ったんだからな! 頑張って…頑張って… でも… 全然進めらんないから… 「3本…っ…自分じゃ…無理っ…」 「…それで?そういう友達とすんの?」 「っ…ちょうど今…そういうの流行ってて…最初から2本入ったって奴…居てっ……~~っ…俺っ…何日もかけてっ…やっと入ったのにっ……もっ…日曜日っ…近付いてくるしっ……自分じゃなかったらっ…3本…入るかもしんないっ…」 泣き出したら もう…頭回んない 「朔…お前…やっぱ馬鹿だな」 プツッ 「え?」 ツー ツー ツー ツー 切っ…た 切られた こんな話の途中で 俺…泣いてんのに 悪魔だけど 何て言うか… こういう時は 優しい奴だとか思ってたのに 「~~っ…うっ…~~っ…うっ…」 大和のアホ… 何考えてんのか 全然分かんねぇよ あ、そっか 俺以外の事、考えてるんだった ユウとシュウと四葉と 俺は別 俺はただの… 使える奴で… 「~~っ…っ…っく……っ…」 別に大和にとっては 俺が泣くのなんて、どうでも良くて 「~っく…っ…うっ…」 きっと 俺の状況がどうだろうと 日曜日と決めたら日曜日決行する訳で 「っ…っく…~~っ…」 なんで… 優しい言葉かけてくれるなんて 少しでも期待したんだろう ガチャ 「あら、大和君。ごめんね~?こんな遅い時間に~」 「いえ。これからなら、遅くなっちゃうので、今日は泊まってっていいですか?」 「もちろんよ~♪︎朔~!大和君来たわよ~!」 え? 大和… なんで… 「もう!朔~!」 「あ、いいです。部屋行きますね?」 「ごめんね~」 ガチャ 「大和…珍しいね」 「シュウ。なんか朔が、全っ然宿題進まないから、手伝いに来いって、偉っそうに呼び出したんだよ」 え? 呼び出してなんか… 「そっか。泊まってくの?」 「おお。静かにするから、シュウは寝てな?」 「静かにしなくてもいいよ。おやすみ、大和」 「おやすみ、シュウ」 パタン コンコン 「朔、入るぞ?」 なんで… ガチャ なんで大和が… パタン 「お前…なんちゅう顔してんの?」 「っ…なんでっ…っく…大和っ…」 「だから、お前は馬鹿だって言うんだ」 ドサッと荷物を置いた大和が ベッドに上がって来て… 「え?」 抱き締めてきた すげぇ…優しく 何が…起こってんだ? 「お前は日曜日、誰とヤるんだ?」 「っ…やっ…大和っ…」 「その為の準備が出来ないからって、他の奴に手伝ってもらうのか?」 「~~っ…だっ…だって……っ…俺だって…頑張ってんのにっ……っ…全然っ…上手くいかないっ…」 「だから、なんでそれ…他の奴に手伝ってもらうんだよ?」 「だってっ…っく……だって…~~っ」 もう…訳分かんないんだ とにかく、3本入れなきゃってばっかりで 頭ん中そればっかりで 焦りと、不安と、苛立ちと なのに、すんなり2本入れたって奴居たら そこ…行ってみようとか思うだろ? 「悪かった。ユウが予想外に指入れられてたから、俺も焦ったんだ。日曜日なんて、勝手に決めて悪かった」 「……え?」 大和が… 謝った あの…大和が…俺に… 「お前が…まさかそんな、切羽詰まる程、真剣に頑張るなんて思わなかったんだ」 「はっ…っ…はあ?」 「だってお前…今まで散々怠けてたろ?」 「うっ…っ…それはっ…」 「真面目に頑張り出して、勝手にメンタルやられてんじゃねぇよ」 「~~っ…でもっ…早くしないとっ…ユウ…」 「大丈夫だ。ユウよりシュウのが、きっとショック受けてる。すぐには、これ以上進まないよ」 大和が… あの大和が、天使みたいに優しくて 俺の背中…ポンポンとかしてくれて 夢見てんじゃないかな 「自分で出来ないなら、一緒の時、頑張る事にしよう」 「いっ…いきなりはっ…無理っ…」 「だから、一緒の時に、まずは指3本頑張るんだよ。他のとこ気持ち良くなってたら、入るかもしんないだろ?」 「~~っ…前っ…気持ち良くしたらっ…入るかもと思ったっ…けどっ…~~っ…後ろ気になってっ…全然っ…気持ち良くなれなくてっ…」 「馬鹿だな。自分でするのとは違うだろ?」 大和の声が いつもより優しくて なんだか 声聞いてるだけで 不安な気持ちが…無くなってく 「朔…」 大和が、耳にキスしてきた 「んっ…!」 「ふっ…ほらな?こんなの…自分じゃ出来ないだろ?」 そう言って笑ってる大和の顔も すげぇ優しくて… 「……っく…うん…」 なんだか… 素直に頷いてしまった 「分かったら、もう寝ろ。あんまり話してると、シュウが気になる」 「っ…大和っ…ここっ…泊まってっ…くのか?」 「この時間に、呼び出されて、宿題見てやってる事にしたからな」 「んっ…」 あの電話で そんなの思い付いて すぐに準備して来てくれたんだ てっきり… 見捨てられたと… 「~~~っ!」 「おい、何故今泣く…」 「っ…大和っ……来てくれるっ…なんてっ……見捨てられっ…思っ…」 「見捨てるって何だよ?人聞き悪いな…」 「うっ…~~っ…っく…」 「はぁ…とりあえず、布団入れ。シュウに泣き声聞かれたくないだろ?」 「んっ…」 寝かせられて、布団掛けられた 「お前は、俺の腐れ縁で、本当に馬鹿な奴だけど…」 「っ…酷っ…」 「お前を見捨てた事なんて、なかったろ?」 「…っ…そっ…だったかっ?」 「そうだろが!この、恩知らず!」 ボフッと布団を殴ってきた 「お前が…勝手に離れたんだろが…」 え? 離れたって… 高校の事? 「馬鹿が…わざわざ男子校になんて行きやがって…」 男子校に… 行って欲しくなかったのか? わざわざって? 聞きたい事 いっぱいあるけど 今、上手く話せない上に 泣いて体力消耗したのと ここんとこの緊張が、一気に解れたのと 色々で… すげぇ睡魔に襲われて 俺は、そのまま眠ってしまってた

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