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悪魔な大和

「えっと…思い当たるのは…キス…とかなんだけど…?」 分かってるわ 「……っそ」 「俺…お前にキスすんの?」 白々しいな 先輩とも色々して来たんだろ? 今さら童貞でもあるまいし 「……なんだよ…キスくらい…すりゃいいだろ…」 「いや…物理的には出来るよ?けど…気持ち的にさ…」 ああ… そうか 俺になんてしたくないよな 「……だったら…いい」 「え?」 自分で何がしたいのか分からない なんで今…泣きそうなのか分からない 朔から離れると なんか調子悪いのかとか心配してきた 「…そうかもな」 もしかして、ほんとに調子悪いのかな だから、こんなに気分が落ち込んでるのかな 分かんないっつってんのに色々聞いてくる うるさい 「……何とかしろ」 無茶苦茶だ 訳分かんない けど…いいんだ 朔だから こいつには 何言ったって どんな俺見せたっていいんだから 「キス…したら、少しは調子良くなんのか?」 どんな調子悪さだよ 「…知らねぇよ」 やっぱ馬鹿だこいつ 「はぁ…言っとくけど、ほんとに先輩とはしてないからな?」 どうでもいい どうせ今までも、これからも 俺の知らない事なんて、いくらでもある それを、俺が気にする必要なんてない お前…キスする時 そんな、迷ってる感じで抱き寄せんの? ああ…俺だからか… へぇ… 撫で方…気持ちいいじゃん そんな耳触ったって、お前じゃないんだから、感じねぇんだよ ちゅっ ………は? これ、キスか? なんか、ちょっと当たっただけだろ ふざけんなよ… 「こんなん言うな。お前とキスする意味は分かんねぇわ、お前調子悪いわ、どこまでしていいのか、分かんねぇだろが」 「…俺がお前にしたみたいのしろ」 この歳になって、あれで済まそうとするお前にびっくりだわ ユウかよ 「はあ?!あんなんしたら、お前…調子悪くなくたって、苦しくなんだろが!」 「うるさい…デカイ声出すな」 別に…したくないなら、そう言えばいい 俺だって、お前とキスする意味なんて分かんねぇよ 訳…分かんねぇよ… 「出来ないならいい…もうお前…帰れ」 「出来るから…その代わり、苦しいとか、すげぇ調子悪くなってきたとか、ちゃんと言えよ?」 ほっときゃいいのに そんな必死になる必要ないのに なのに… 何処かで、帰って欲しくないって思ってる自分が 優しい言葉かけられて、嬉しいとか思ってる自分が 信じられない 「…いいから、さっさとしろ」 なんだよ… やれば出来るじゃん 男なのに…俺相手なのに… 「……はっ……んっ…はぁっ…」 なかなか… 気持ちいいキス 出来るじゃん キスされるの…初めてじゃないけど 「…んっ……んっ……」 こんな濃厚なのされんの 初めて… やらしい奴… 朔のシャツ…引っかけさせときゃ良かった 掴むとこ…ない いや…あんな匂いの付いたもん… あんなん廃棄だ 「んっ……はっ…んんっ…」 俺…やっぱ調子悪いのかな 弱ってんのかな なんか… 全然力入らない… 朔が、俺の左手掴んで押し倒してきた 押し倒したくせに 「大和…大丈夫?まだ続ける?」 とか聞いてくる 大丈夫か?続けるか? 分かんねぇよ 今…全然考えられない けど…続けて欲しい気がする 「はぁ…はぁ……んっ…」 「…っ!」 薄暗い部屋ん中が ほんの少し明るくなった時 朔の、なんだかいっぱいいっぱいな顔が、映し出されて 何こいつ…俺とキスしてこんなんなってんの? でも…それはなんか…気分がいい 「はぁ…朔…」 何故だか 名前呼びたくて、呼んだら… 「~~っ!…つっ…続けてっ…欲しい…のか?」 「ん…」 なんか… 更に、いっぱいいっぱいな顔になって 俺は、すっかり気分が良くなってきた 朔が、さっきより、激しくキスしてくる 「…はっ…んっ……」 キスしながら シャツのボタン開け始めた 首…ちょっと弱いから… あんま触んなよ 「んっ……んっ…」 胸やら腹やら触ってたら 「ぁっ…!」 下に手を伸ばして、触ってきた 自分が、思ってたより気持ち良くなってて びっくりする 俺…朔で気持ちいいって思ってんの? 朔で…感じてんの? 色んな訳の分からない感情が 気持ちいいって事に乗せられて 俺…こんな感じる方じゃないんだけど… 勝手に…声…出そうになる 必死に声、堪えてると カチャカチャ え… ベルト…外し… 「…さっ…くっ…」 「これ…このままじゃ辛いだろ?」 「~~っ…」 そうだけど さすがに、そこまでお前がする事ない お前は… 訳分かんない俺に、付き合ってくれてるだけで… え? 朔が…抱き締めてきた 「心配すんな。俺なんか、それ…ケツに突っ込まれるんだぞ?」 なんで… こんな時にやめて欲しい とんでもない事されんのに 凄い優しい声で… 甘やかす様に囁いてきた もう限界なのに そんな優しくされたら 「~~っ…朔が…ほんとに嫌なら…しない」 ほんとは…知ってる 何言われても 何されても どれだけ文句言いながらも 俺の全部知ってるのに 俺が必要な時…必ず傍に居てくれる 「そうだなぁ…ほんとは、やっぱ…ちょっと怖いかな」 「んっ…ごめん」 朔を守るとか言って きっと俺… 1番近くにいるのが、俺じゃない事が嫌だったんだ 俺の隣は朔で 朔の隣は俺で だんだんそれが… 遠くなってくのが 嫌だったんだ それで… 朔と距離近付けたくて 俺… 「…もう少し…様子見ないか?」 「んっ…分かった」 近くに居ると安心する 小さい頃から 1番近くに居たから… 「大和…どうする?これ…」 「んっ…!」 朔が… 気持ち良くなってるとこ、触ってきた 今…無理 「…じっ…自分で…出すから…」 「こんな弱ってて…下まで行って、自分で出せんのか?」 頭…おかしいし 体も…多分おかしい こんなんで…今…無理 「~~っ…だっ…だって…」 「だって?」 朔が、めちゃくちゃ見てくる 見ないで欲しい 朔だから…いいんだけど… でも…やっぱ恥ずかしくて顔を逸らせる 「~~っ…多分っ…今……してもらったら…声っ…我慢出来ないっ……からっ…」 恥ずかしいの我慢して言ったのに 朔が下着の中から出して、手を動かし始める 「さっ…朔っ…だから…」 今、無理って ヤバいんだって 「大丈夫…こうすればいいだろ?」 そう言って 朔がキスしてきた 「んっ?!…」 待って… 待って待って待って! 気持ちいいから! これ…きっと… イッたら 凄いイッちゃうから 「~~~っ!…~~っ!…~~っ!」 キスされて…頭思うように動かせない 膝立てても…体動かせない 無理…無理だから… どうしようもなくなったものが溢れて 目から流れ始める 逃げるの諦めて 朔の背中に手を回す 朔の背中… こんなおっきかったかな こんなん… 俺が守るとか…要らないよな そうじゃない そうじゃなくて 普段は離れてたっていい お前の1番で居たいんだ 俺の全部知ってるお前が… お前にしか見せられない俺…いっぱい居るのに 他の奴のとこ…行ってしまうのが 寂しいんだ…不安なんだ… 頭…使い過ぎて 気持ち良過ぎて 息すんの忘れてると 時々、朔が口を離してくれる 「~~っ…んはっ…はっ…はぁっ…んっ!…」 もう…だいぶ意識ヤバい 気持ちいいの中のどこかで 朔が、涙拭ったり 頭撫でたりしてくれてんの なんとなく分かる もう… 「んはっ…さっ…もっ…」 「イキそう?」 「んっ…んっ…」 俺が頷くと それまで以上の刺激が与えられ 「~~~~~っ!!」 ああ… こんなんなんだ 気持ちいいのに…怖い様な 気持ち良くてイッてるんだって分かってるのに 堪えられない快感と 意識を手離す怖さと だから…皆イク時… 思いっきり背中に…しがみ付いて… そして…安心出来る人の前で 手離すんだ… 少しの間、意識手離してると 「…や…大和……なぁ…おい…」 ちょっとまだ…反応出来ないから 「大和…おい…」 今度は、ゆさゆさ体揺すってくる ちょっとイッてるだけだって 「………ん…」 「大和…大和…大丈夫か?」 大丈夫だって 聞こえてんの 「大和…ちゃんと息してる?」 息? ああ…してなかったかも 「大和…答えて…ちゃんと…息して」 「………はっ…はっ…」 それで心配してたのか 「ちゃんと…なぁ…ちゃんと息して?」 「はっ…はぁっ……はぁっ……はっ…はぁ……」 「ごめんっ…大和……調子悪いって言ってたのにっ……ごめんっ…苦しい?大丈夫?」 うっすらと目を開くと デカイ体なのに ちっちゃい頃みたいに泣いてる朔が居た 「大和…大丈夫?ごめんっ…苦しいな?」 「……はっ……何っ……泣いてんだよっ……はぁ…馬鹿朔…」 朔の泣き顔は…見たくないんだ 朔は…怒ってるか…笑ってるかじゃないと… 困ってたり…びっくりしててもいいけど 泣いちゃダメだ ふっ…と笑って 頭に手乗っけてやる ちょっと…撫でてやる力…出ないや 「~~っ…大丈夫か?…お前っ…っ…死んじゃったのかとっ…思っ…」 そんな簡単に死ぬかよ ほんと馬鹿だな 「……ば~か……ちょっと…いっぱい過ぎて……弱ってたから…だいぶ…イッてただけだ…」 「イッてた…だけ?」 鳩が豆鉄砲の顔してる 傑作だ 俺が死んだら、そんなに泣いてくれんの? あんなに理不尽な事ばかりさせられてんのに? ほんと…馬鹿だな 馬鹿みたいに…優しい 「……ふっ…お前……そこまで…イカせた事……ねぇのかよ?」 優しい馬鹿は… 俺が悪魔だと思ってて どうやら俺が悪魔じゃなくなると かなり不安らしい だから… 思いっきり、意地悪そうに笑ってやった 「~~っ…わっ…悪かったな!ねぇよ!ねぇから、めちゃくちゃビビったわ!くそっ!」 悪魔なとこ見せたら デカイ朔が戻って来た 「声…デカイ」 「あ…」 「馬鹿朔…」 三つ子の魂何とやら… 3歳で出会った時の俺は、悪魔じゃなかったけど きっと 離れてたって、俺達の絆は変わらない 俺は、ただの面倒な腐れ縁じゃない気持ちに気付いちゃったけど この優しい馬鹿に気付かれると また馬鹿なのに、色々考えようとするから 朔が安心出来る様に 「…おい」 「あ?」 「馬鹿面してないで、さっさとティッシュをよこせ」 「へぇへぇ」 また始めよう 悪魔な大和を だって、こいつ馬鹿だから 俺にこんな事言われて なんだか嬉しそうな顔してるから

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