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キスすればいいと思う
「ただいま~っと……ん?」
シュウの靴…
ユウんとこ行かなかったのか?
なんかあったか?
「はぁ…疲れた」
なんか、やらかしちゃった感じ?
我慢出来なくなって、手出しちゃったとか?
それで、ユウ泣かせちゃったとか?
「さて…」
着替えたし、シュウのとこ行ってみるか
コンコン
…………
寝てんのかな
でも、こんな時間に寝るって、やっぱ何かあるよな
コンコン
「シュウ…起きてるか?」
「…………」
「シュウ?寝てんのか?」
「…………」
ほんとに寝てんのか?
「シュウ…何かあったか?」
「………朔兄」
近っ…
ドアんとこに居る?
「どした?」
「……ユウ……」
やっぱ、ユウか
「ユウがどうした?」
「……ユウが…~~っ…消えちゃった…」
「……は?」
「っ…俺のせいだ……っ…ユウ…ユウっ…」
消えたとは?
どういう状況?
あっ!
「誘拐?!ユウ…誘拐されたのか?!」
「~~っ…違っ…」
え…違うの?
じゃあ、あと消えるって…
「ちょっと、シュウ…とりあえず、そっち行っていい?」
少しの間の後
ゆっくりとドアが開き
「~~っ…っ…~~っ…どうしようっ…朔兄っ…」
大きな体なのに
ちっさな子供みたいに、泣きじゃくってるシュウが居た
「大丈夫。大丈夫だから…とりあえず…」
シュウを抱き締める
「っ…朔兄っ……ユウ…居なくなっちゃった…」
「ん…後でちゃんと聞くから。まず泣き止め」
「っ…俺のせいだっ…~~っ…ユウっ…もっ…ユウに会えないっ…」
「んな訳あるか。ユウは、ちゃんと戻って来るよ」
分かんないけど
そもそも消えたの意味も分かんないけど
なんで、シュウのせいなのかも、分かんないけど
穂積家は、今どうなってんだ?
しばらくすると、シュウが落ち着いてきた
「ごめん…朔兄…訳分かんないよね」
「話せるか?そろそろ大和も帰って来てるだろうし、そっちから聞こうか?」
「大丈夫…それに…俺しか知らない事もあるから」
シュウしか?
益々分からん
「えっと…とりあえずユウは今、家に居ないのか?」
「ユウの体はユウの家に居る。けど、中身はユウじゃない」
「えっ…」
中身…とな?
「ユウは今、蓮って奴になってる」
「………誰それ」
「ユウの…前世の人」
………あれ
これ…大丈夫かな
うちの弟、こんな事言う奴だったっけ?
こんな中2病みたいな…
あ、中2だった
中2になったから、発症しちゃった的な?
「前にユウが階段から落ちたよね?」
「ああ」
「あの後から…前世の夢見る様になったみたいで…ユウ…夢見て泣くんだ。だから、なるべく蓮の夢は見ないで欲しいのに…夢の中では完全に蓮になってて……いつか…ユウが居なくなっちゃうんじゃないかって……思ってて…」
前世…
聞いた事あるけど
そういう人居るって聞いた事あるけど
「えっと…それで…ユウは今、その夢の中の前世の人になってるのか?」
「そう。でも、皆は知らないから、突然知らない人格出て来たって思ってる」
「えっ?!マジで?!おじさんとおばさんに言ってあげた方がいいんじゃね?!」
「そうだよね…ちょっと……余裕なくて、帰って来ちゃったから…」
いや、まだ全然状況把握出来てないけど
ユウが消えたってのは理解
んで、中2病…ではなく、ガチなやつっぽい
「それで?なんで、そんな事になったんだ?」
「……ユウ…朝からなんか、ぼ~っとしてて…だから、気を付けてって言われてたのに…隣に居たのに…ユウが…ほんの少し俺から離れた瞬間…後ろから来た自転車に、引っ張られて…ユウ…倒れて……気絶して…病院運ばれて……」
うわ…
ユウ、またそんな目に…
なんちゅうトラブルメーカーなんだ
「先生から、たいした怪我じゃなかったって聞いたけど…早くユウに会いたくて、家に行ったら……ユウじゃなくて…蓮になってた」
「……なるほど」
「階段から落ちたのも…俺が前の日キスして……ユウ寝不足だったせいで……蓮の事なんか思い出さなかったら…こんな事にならなかったのに…俺のせいだ」
ユウが階段から落ちて、結構経つぞ?
その間、シュウだけに相談してたのか?
「蓮の事…大和も知らないのか?」
「知らないと思う…」
「……よし。ユウんとこ行くぞ」
「………」
「信じる信じないは任せるとして、知ってる事話してあげた方が、皆安心する。今、ユウになってる奴だって、パニクってるかもしんないし…行こ?」
「……うん」
渋々承諾したシュウを着替えさせて
俺とシュウは、穂積家へと向かった
さすがの穂積家も
だいぶ混乱してるだろな
「シュウ君、朔兄!」
「おお四葉。ちょっと上がらせてもらうぞ」
「どうぞ~。朔兄、聞いた?今ユウはね、四葉の弟の蓮なんだよ?」
「え…」
なんで、四葉…嬉しそうなんだ?
「あら、シュウ君、朔君どうぞ」
「あ、こんばんは。ちょっとユウの事で話したくて…」
「あ、シュウ君に聞いた?なんとか落ち着いて、家に連れて来たら、なんだか皆と上手くやってるのよ」
「はあ…」
何故に上手くやってけるんだ?
中身だけ他人だぞ?
「今ね、大和とお風呂入ってるの。もう少ししたら、上がると思うわ」
「えっ?大和と風呂入ってんすか?!」
「え?うん…大和が話したいからって。うちのお風呂も初めてだしね」
「はあ…」
あいつ、ユウじゃないのをいい事に
ただ単にユウと風呂入りたかっただけなんじゃ…
「お、朔君。久しぶりだな」
「おじさん、こんばんは。なんか…大変な事になってますね…」
「病院ではね…ちょっとパニックになってたんだけど…別人なんだって受け入れた上で、ユウやおじさん達の為に、家に行くって言ってくれてね。まだ蓮君11歳らしいんだけど、凄く優しい子だよ」
「はあ…」
なんか、すげぇ受け入れられてますけど
流石っすね
「あのね、蓮華の蓮だよ。小学5年生だから、四葉がお姉ちゃんなの」
「ああ…なるほど」
お姉ちゃんになれて、張り切ってんのね
って…
ユウじゃなくなってんのに、何故に皆落ち着いてるんだ?!
ブォ~~
「あ、上がったみたいね」
「いいな、大和。明日は、四葉がお風呂入れてあげる」
「いっ?!それはダメだろ!」
「なんで?四葉、お姉ちゃんだもん」
「いやいやいや。体は14歳だから!」
「でも、11歳だよ?」
「でもダメなの!アウトなの!」
「んむ~~」
ふて腐れたってダメだ
中2の兄と小6の妹が、一緒に風呂入っちゃいかんでしょ!
ガラッ
「あ?なんで、お前が居るんだ?」
「もっと気の利いた第1声はないのか?ユウの話しに来たんだよ」
「今は蓮だ。蓮、こいつは隣に住んでる俺の腐れ縁だ。関わらなくていいぞ」
「おい!名前くらい紹介しろよ!」
「あの……蓮です。初めまして…」
どっから、どう見てもユウなのに
ユウじゃない!
「は…初めまして。シュウの兄の朔真です。えっと…ユウには、朔兄って呼ばれてました」
「ぶっ…なんでお前、敬語?」
「うっ…うるせぇ!蓮、朔兄でいいぞ」
「…朔…兄…」
「っ…おお」
なんか…
可愛いさ増してる!
そもそもユウも可愛いかったけど
子供っぽくなったからか?
「蓮…こいつを、あまり直視するな。目が腐るぞ」
「は?!…じゃなくて!大事な話!しに来たんだよ!」
ユウじゃなくても溺愛か
変態兄貴め
「…と、言う訳で…蓮はどうやら、ユウの前世らしい」
……………
まあ、そうだろうな
「なるほどな」
えっ??
まさかの大和が納得した!
「いや…前にさ、ユウが階段から落ちた後、熱に浮かされてパニックになってた時…蓮とか葵とか言ってたなと思って…」
「葵?!お兄ちゃん…葵知ってるの?!」
「いや…ごめん。前にね、結叶が夢で見た名前だって言ってたんだ。そっか…そういう事だったのか。蓮は葵知ってるんだね?」
「葵は…俺の妹……」
「そうだったんだ。蓮はお兄ちゃんなんだね?」
「うん…」
こりゃ…信憑性帯びてきたぞ
けど…前世って事は、蓮は死んでんだよな
じゃなきゃ、ユウは生まれないんだから
「大和…お前、こっち方面得意なんじゃねぇのか?」
「蓮は、霊として取り憑いてる訳じゃないからな。多分…ユウ自身の蓮の記憶の部分が、ユウのものより活発になってるだけじゃないのかな?」
「つまり、どうすればいいんだ?」
「う~~ん……結叶として、凄く衝撃的な事があれば、結叶に戻るかも」
結叶として、凄く衝撃的な事……
って、何だ?
「はいはいはいっ!四葉いい事思いついた!」
「いい事って?」
四葉は、どちらかと言うと大和寄りの人種だ
四葉のいい事は、少し怖いぞ
「シュウ君が、ユウにキスすればいいと思う!」
「はっ?!」
「あら~。それは、素敵な目覚めね~」
「えっ?!いや…それはどうかと思うよ?父さんは!」
「いや…案外いい提案かも…」
「やま…大和?!結叶は男で、シュウ君も男で幼馴染みだぞ?!」
おじさん…すいません
既にキスしちゃってます
「お母さん賛成!王子様のキスで目覚めるなんて最高!」
「でしょでしょ!」
「えっ?!ほんとに?!」
「やってみる価値ありだな。シュウ、やってみるか?」
「俺はいいけど…」
「えっ?!シュウ君いいの?!」
おじさん…
シュウは喜んでしますとも
それより問題は…
「蓮、ちょっとさ…シュウに、ちゅってしてもらっていい?」
「……結叶君の為になるならいいけど…」
「うん。じゃあ、試しにしてみよっか」
「マジで?蓮、大丈夫か?」
「うん…」
11歳の男の子
14歳の男子にキスされて大丈夫か?!
「まあ…皆の前もなんだし、結叶の部屋にでも行く?」
「あら~…お母さん見たかったけど…そうね?恥ずかしいわよね?」
「四葉も見たかったけどなぁ」
「俺と朔は、俺の部屋で待機」
「それはいいけど……マジか」
と、言う事で
俺と大和が階段を上り
後ろから、シュウとユウが付いて来ると
「あの…シュウ君……結叶君じゃなくなってて…ごめんなさい…凄く…大切な人…だよね?」
「……うん…だから、凄くびっくりして…嫌な態度取った……俺も、ごめん」
「俺に出来る事…なんでもする」
「ありがとう…でも…蓮が悪い訳じゃないのは、分かってる。謝らせてごめん」
なんて…
「なんていい子達なんだ!」
階段を上り切った所で、シュウと蓮(ユウ)を抱き締めてやる
「朔兄…蓮がびっくりしてるよ」
「ふふっ…朔兄は、面白いね」
可愛い奴らめ
確かに存在してるのに
ユウに戻った途端消えちゃうのか
なんか…ちょっと可哀想だけど
自分だけ知らない世界に居るってのもな…
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