50 / 50

キスすればいいと思う

「ただいま~っと……ん?」 シュウの靴… ユウんとこ行かなかったのか? なんかあったか? 「はぁ…疲れた」 なんか、やらかしちゃった感じ? 我慢出来なくなって、手出しちゃったとか? それで、ユウ泣かせちゃったとか? 「さて…」 着替えたし、シュウのとこ行ってみるか コンコン ………… 寝てんのかな でも、こんな時間に寝るって、やっぱ何かあるよな コンコン 「シュウ…起きてるか?」 「…………」 「シュウ?寝てんのか?」 「…………」 ほんとに寝てんのか? 「シュウ…何かあったか?」 「………朔兄」 近っ… ドアんとこに居る? 「どした?」 「……ユウ……」 やっぱ、ユウか 「ユウがどうした?」 「……ユウが…~~っ…消えちゃった…」 「……は?」 「っ…俺のせいだ……っ…ユウ…ユウっ…」 消えたとは? どういう状況? あっ! 「誘拐?!ユウ…誘拐されたのか?!」 「~~っ…違っ…」 え…違うの? じゃあ、あと消えるって… 「ちょっと、シュウ…とりあえず、そっち行っていい?」 少しの間の後 ゆっくりとドアが開き 「~~っ…っ…~~っ…どうしようっ…朔兄っ…」 大きな体なのに ちっさな子供みたいに、泣きじゃくってるシュウが居た 「大丈夫。大丈夫だから…とりあえず…」 シュウを抱き締める 「っ…朔兄っ……ユウ…居なくなっちゃった…」 「ん…後でちゃんと聞くから。まず泣き止め」 「っ…俺のせいだっ…~~っ…ユウっ…もっ…ユウに会えないっ…」 「んな訳あるか。ユウは、ちゃんと戻って来るよ」 分かんないけど そもそも消えたの意味も分かんないけど なんで、シュウのせいなのかも、分かんないけど 穂積家は、今どうなってんだ? しばらくすると、シュウが落ち着いてきた 「ごめん…朔兄…訳分かんないよね」 「話せるか?そろそろ大和も帰って来てるだろうし、そっちから聞こうか?」 「大丈夫…それに…俺しか知らない事もあるから」 シュウしか? 益々分からん 「えっと…とりあえずユウは今、家に居ないのか?」 「ユウの体はユウの家に居る。けど、中身はユウじゃない」 「えっ…」 中身…とな? 「ユウは今、蓮って奴になってる」 「………誰それ」 「ユウの…前世の人」 ………あれ これ…大丈夫かな うちの弟、こんな事言う奴だったっけ? こんな中2病みたいな… あ、中2だった 中2になったから、発症しちゃった的な? 「前にユウが階段から落ちたよね?」 「ああ」 「あの後から…前世の夢見る様になったみたいで…ユウ…夢見て泣くんだ。だから、なるべく蓮の夢は見ないで欲しいのに…夢の中では完全に蓮になってて……いつか…ユウが居なくなっちゃうんじゃないかって……思ってて…」 前世… 聞いた事あるけど そういう人居るって聞いた事あるけど 「えっと…それで…ユウは今、その夢の中の前世の人になってるのか?」 「そう。でも、皆は知らないから、突然知らない人格出て来たって思ってる」 「えっ?!マジで?!おじさんとおばさんに言ってあげた方がいいんじゃね?!」 「そうだよね…ちょっと……余裕なくて、帰って来ちゃったから…」 いや、まだ全然状況把握出来てないけど ユウが消えたってのは理解 んで、中2病…ではなく、ガチなやつっぽい 「それで?なんで、そんな事になったんだ?」 「……ユウ…朝からなんか、ぼ~っとしてて…だから、気を付けてって言われてたのに…隣に居たのに…ユウが…ほんの少し俺から離れた瞬間…後ろから来た自転車に、引っ張られて…ユウ…倒れて……気絶して…病院運ばれて……」 うわ… ユウ、またそんな目に… なんちゅうトラブルメーカーなんだ 「先生から、たいした怪我じゃなかったって聞いたけど…早くユウに会いたくて、家に行ったら……ユウじゃなくて…蓮になってた」 「……なるほど」 「階段から落ちたのも…俺が前の日キスして……ユウ寝不足だったせいで……蓮の事なんか思い出さなかったら…こんな事にならなかったのに…俺のせいだ」 ユウが階段から落ちて、結構経つぞ? その間、シュウだけに相談してたのか? 「蓮の事…大和も知らないのか?」 「知らないと思う…」 「……よし。ユウんとこ行くぞ」 「………」 「信じる信じないは任せるとして、知ってる事話してあげた方が、皆安心する。今、ユウになってる奴だって、パニクってるかもしんないし…行こ?」 「……うん」 渋々承諾したシュウを着替えさせて 俺とシュウは、穂積家へと向かった さすがの穂積家も だいぶ混乱してるだろな 「シュウ君、朔兄!」 「おお四葉。ちょっと上がらせてもらうぞ」 「どうぞ~。朔兄、聞いた?今ユウはね、四葉の弟の蓮なんだよ?」 「え…」 なんで、四葉…嬉しそうなんだ? 「あら、シュウ君、朔君どうぞ」 「あ、こんばんは。ちょっとユウの事で話したくて…」 「あ、シュウ君に聞いた?なんとか落ち着いて、家に連れて来たら、なんだか皆と上手くやってるのよ」 「はあ…」 何故に上手くやってけるんだ? 中身だけ他人だぞ? 「今ね、大和とお風呂入ってるの。もう少ししたら、上がると思うわ」 「えっ?大和と風呂入ってんすか?!」 「え?うん…大和が話したいからって。うちのお風呂も初めてだしね」 「はあ…」 あいつ、ユウじゃないのをいい事に ただ単にユウと風呂入りたかっただけなんじゃ… 「お、朔君。久しぶりだな」 「おじさん、こんばんは。なんか…大変な事になってますね…」 「病院ではね…ちょっとパニックになってたんだけど…別人なんだって受け入れた上で、ユウやおじさん達の為に、家に行くって言ってくれてね。まだ蓮君11歳らしいんだけど、凄く優しい子だよ」 「はあ…」 なんか、すげぇ受け入れられてますけど 流石っすね 「あのね、蓮華の蓮だよ。小学5年生だから、四葉がお姉ちゃんなの」 「ああ…なるほど」 お姉ちゃんになれて、張り切ってんのね って… ユウじゃなくなってんのに、何故に皆落ち着いてるんだ?! ブォ~~ 「あ、上がったみたいね」 「いいな、大和。明日は、四葉がお風呂入れてあげる」 「いっ?!それはダメだろ!」 「なんで?四葉、お姉ちゃんだもん」 「いやいやいや。体は14歳だから!」 「でも、11歳だよ?」 「でもダメなの!アウトなの!」 「んむ~~」 ふて腐れたってダメだ 中2の兄と小6の妹が、一緒に風呂入っちゃいかんでしょ! ガラッ 「あ?なんで、お前が居るんだ?」 「もっと気の利いた第1声はないのか?ユウの話しに来たんだよ」 「今は蓮だ。蓮、こいつは隣に住んでる俺の腐れ縁だ。関わらなくていいぞ」 「おい!名前くらい紹介しろよ!」 「あの……蓮です。初めまして…」 どっから、どう見てもユウなのに ユウじゃない! 「は…初めまして。シュウの兄の朔真です。えっと…ユウには、朔兄って呼ばれてました」 「ぶっ…なんでお前、敬語?」 「うっ…うるせぇ!蓮、朔兄でいいぞ」 「…朔…兄…」 「っ…おお」 なんか… 可愛いさ増してる! そもそもユウも可愛いかったけど 子供っぽくなったからか? 「蓮…こいつを、あまり直視するな。目が腐るぞ」 「は?!…じゃなくて!大事な話!しに来たんだよ!」 ユウじゃなくても溺愛か 変態兄貴め 「…と、言う訳で…蓮はどうやら、ユウの前世らしい」 …………… まあ、そうだろうな 「なるほどな」 えっ?? まさかの大和が納得した! 「いや…前にさ、ユウが階段から落ちた後、熱に浮かされてパニックになってた時…蓮とか葵とか言ってたなと思って…」 「葵?!お兄ちゃん…葵知ってるの?!」 「いや…ごめん。前にね、結叶が夢で見た名前だって言ってたんだ。そっか…そういう事だったのか。蓮は葵知ってるんだね?」 「葵は…俺の妹……」 「そうだったんだ。蓮はお兄ちゃんなんだね?」 「うん…」 こりゃ…信憑性帯びてきたぞ けど…前世って事は、蓮は死んでんだよな じゃなきゃ、ユウは生まれないんだから 「大和…お前、こっち方面得意なんじゃねぇのか?」 「蓮は、霊として取り憑いてる訳じゃないからな。多分…ユウ自身の蓮の記憶の部分が、ユウのものより活発になってるだけじゃないのかな?」 「つまり、どうすればいいんだ?」 「う~~ん……結叶として、凄く衝撃的な事があれば、結叶に戻るかも」 結叶として、凄く衝撃的な事…… って、何だ? 「はいはいはいっ!四葉いい事思いついた!」 「いい事って?」 四葉は、どちらかと言うと大和寄りの人種だ 四葉のいい事は、少し怖いぞ 「シュウ君が、ユウにキスすればいいと思う!」 「はっ?!」 「あら~。それは、素敵な目覚めね~」 「えっ?!いや…それはどうかと思うよ?父さんは!」 「いや…案外いい提案かも…」 「やま…大和?!結叶は男で、シュウ君も男で幼馴染みだぞ?!」 おじさん…すいません 既にキスしちゃってます 「お母さん賛成!王子様のキスで目覚めるなんて最高!」 「でしょでしょ!」 「えっ?!ほんとに?!」 「やってみる価値ありだな。シュウ、やってみるか?」 「俺はいいけど…」 「えっ?!シュウ君いいの?!」 おじさん… シュウは喜んでしますとも それより問題は… 「蓮、ちょっとさ…シュウに、ちゅってしてもらっていい?」 「……結叶君の為になるならいいけど…」 「うん。じゃあ、試しにしてみよっか」 「マジで?蓮、大丈夫か?」 「うん…」 11歳の男の子 14歳の男子にキスされて大丈夫か?! 「まあ…皆の前もなんだし、結叶の部屋にでも行く?」 「あら~…お母さん見たかったけど…そうね?恥ずかしいわよね?」 「四葉も見たかったけどなぁ」 「俺と朔は、俺の部屋で待機」 「それはいいけど……マジか」 と、言う事で 俺と大和が階段を上り 後ろから、シュウとユウが付いて来ると 「あの…シュウ君……結叶君じゃなくなってて…ごめんなさい…凄く…大切な人…だよね?」 「……うん…だから、凄くびっくりして…嫌な態度取った……俺も、ごめん」 「俺に出来る事…なんでもする」 「ありがとう…でも…蓮が悪い訳じゃないのは、分かってる。謝らせてごめん」 なんて… 「なんていい子達なんだ!」 階段を上り切った所で、シュウと蓮(ユウ)を抱き締めてやる 「朔兄…蓮がびっくりしてるよ」 「ふふっ…朔兄は、面白いね」 可愛い奴らめ 確かに存在してるのに ユウに戻った途端消えちゃうのか なんか…ちょっと可哀想だけど 自分だけ知らない世界に居るってのもな…

ともだちにシェアしよう!