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先輩を好きになってみよう

ある日の昼休み 知らない先輩に呼び出された 「私の事、知ってる?」 「いえ…知りません」 「ふふっ…正直~~。でも…そういうとこ、いいなって思うんだ。私は、3年A組 岩城 真琴(まこと)。自分で言うのもアレだけど、このビジュアルで、結構学校内では有名人」 有名人… 全然知らない 「すいません」 「いいの、いいの。そういう浮ついてなさそうなとこ、いいなって思ったから」 「……あの…」 「東雲 秀真君。私と付き合って下さい」 「……すいません。気持ちは嬉しいですけど…応える事は出来ません」 「……そっか…残念。でも…お友達なら、付き合ってくれるかな?」 「友達としてって事ですか?そういうのも…」 「違う違う。秀真君のお友達もね…気になってるんだ」 ? 言ってる意味が… 「穂積 結叶君。秀真君と同じで、私の事なんて、知らないって感じだよね?」 「なっ?!…どういう…事ですか?」 「どういう事って…秀真君と同じくらい気になってるから、結叶君にも言ってみようかなと思って…」 「や…やめて下さい!」 「…どうして?気持ち伝えるくらい、いいでしょ?嫌なら、結叶君も断るでしょ?」 断る… ユウが…断れる? 人の好意を…突き返せる? 「相当大切な友達なのね?私…誘惑しそう?危険そうに見える?」 「…そういう意味じゃ…」 「ふふっ…困ってる。大丈夫…ほんとだから」 「…え?」 「私…こういう事…慣れてなさそうな子が、好きなんだ…」 先輩が…制服の上着の中に手を入れてくる 「……やめて下さい」 「中2でしょ?こういう事…嫌いな訳じゃないよね?」 「好きでもない人とするのは、嫌いです」 「そう?でもさ…体は反応するよ?」 そう言いながら、別の手で太ももを触ってくる 「やめて下さい」 その手を掴むと 「ふふっ…分かった。ごめんね?フラれたのに…じゃあ、結叶君のとこ行こうっと」 「なっ…?!待って下さい!」 「待たない。私が誰と付き合うかは、もう関係ないでしょ?」 そうだけど… 先輩のいう通り… 先輩が誰に告白するのも自由で ユウが誰と付き合うのかも自由だけど… 「結叶には…その…今みたいな事は…しないで下さい」 「それは、約束出来ないな。私だって、気になってる人と付き合いたいもの。持てる限りの手段は使うわ?」 「ユウ…結叶は……そういう事…俺より慣れてないから……その…」 「断りたくても、断れなくなる?それは…私が悪いのかな?」 違う… 手段は…正直卑怯だと思うけど 俺みたいに断わったらいい話で… 先輩の気持ちが、まるで分からない訳ではない だけど… きっとユウは… 「……じゃあ…秀真君、考え直してくれる?」 「え?」 「だって、秀真君と付き合えたら…結叶君には告白しないよ?」 「……それって…俺の事も、結叶の事も…ほんとに好きって言えないんじゃ…」 「そうね…『気になってる』だから。でも、それが第1歩でしょ?学年も違う赤の他人が、何もせずに近付けないでしょ?話さないと、相手を知れない。知れないと、ほんとに好きかは分からない」 勝手な言い分だって思う けど、間違ってもいないと思う 「……俺と付き合ったとして…やっぱり好きじゃないと気付いたら、結叶にも同じ事するんですよね?」 「……ふっ…ほんとに大切なんだね?…分かった。じゃあ、ほんとに真剣に私と付き合ってくれたって、私が思えたら…結局お互いの気持ちが一致しなくて別れる事になっても、秀真君の大切な人には手を出さない」 「ほんとですか?!」 「ん…約束する」 ユウ以外と…なんて… ほんとに嫌だけど ユウが…あんな事されるなんて思うと… 堪えられない 「分かりました。その代わり…お互いの気持ちが一致出来るかどうか…判断する日を決めて下さい」 「え~?全然好きになってくれる気持ちないじゃない」 「いえ…その日までは…ほんとに…出来る限り、先輩の事を思って…真剣に付き合います。ただ…実は俺も…気になってる人が居るので……」 「……そっか…うん、分かった。その日までに、私が、その子に勝てなかったら負けね?」 期限は1ヶ月…は、無理過ぎて だいぶ頼み込んで、1週間にしてもらった その代わり、先輩の要望には極力応える様にする それが条件だ クラスに戻ると すぐに、クラスの奴らが集まって来た 「なあ、なあ!さっきのって、岩城先輩だろ?!」 「なんの用事?!告白か?!」 「いいなぁ…岩城先輩に呼び出されたい!」 ほんとに…有名人だった 3年の先輩なのに、2年の俺のクラスの奴らが知ってるなんて… 「帰りは、一緒に帰ろうね」 自分で決めた事だ 1週間は、ちゃんと向き合わなきゃ ユウ…なんの疑問も持たずに、普通に話聞いてた ごめん… きっと彼女が出来たって言ったら 喜ぶだろう もうユウは、俺への気持ちを考えなくていい 俺に気を遣わずに、元の幼馴染みに戻れる だから… 良かったねって喜ぶユウを… どこか、ほっとしているユウを… 見たくなかった 見れる勇気がなかった 「ねぇ、うち寄ってって?」 「いや…」 「大丈夫。誰も居ないから」 「そういう問題じゃ…」 「はい、入って入って!」 嬉しそうに玄関のドアを開く先輩に それ以上強く否定出来なかった 「…お邪魔します」 「どうぞどうぞ」 普通の一軒家 今日付き合ったばかりなのに、いいのかな 「適当にどこでも座ってて」 ピッ…とテレビを点けてくれると 冷たいお茶を出してくれた 「ありがとうございます」 「ね…ご飯食べてかない?すぐに作るから」 「さすがに、そこまでは…」 「いいでしょ?一緒に食べよ?」 一緒に食べよ? 一緒に食べて そう…お願いしてる様に聞こえて… 「はい…」 「やった~!すぐに準備するね~♪︎食べれない物は~?」 「いえ…特に…」 なんだか… 告白してきた時の先輩とは、別人みたいだ 俺が居なくても 毎日テレビを点けてたのだろうか テレビを点けて 1人でご飯支度をしてたのだろうか 先輩には 俺にとってのユウみたいな存在が居なくて 寂しいのだろうか 野菜を切る音は 迷いのない、規則的な音で 何かを洗う音…炒める音… 淀みなく聞こえてきて 料理…慣れてるんだろうなって分かった 「完成~~!あと盛り付けるだけだからね~。お腹空いた?秀真君、大きいから沢山食べるよね?」 先輩の傍へと向かい 盛り付けた皿を手にする 「向こう運びます」 「じゃあ、ご飯盛るね~」 なんとなく… 留守番頑張ってて 俺達が帰って来た後の四葉を思い出した 普通に美味しいご飯を一緒に食べ 普通に世間話をしてくる 俺はこんなんだから、あまり会話になってないのに 楽しそうに話している 一緒に食器を下げ 「俺、洗いますよ?」 そう言うと 「じゃ、私シャワー浴びて来ていい?」 シャワー… それって… 「先輩…俺は…」 「行って来ま~す!」 そう言って、消えてしまった 彼女…だから そういう事しても、おかしくないけど 今日知り合ったばかりなのに 俺が…1週間って言ったからか…… ユウ…待ってたかな ご飯食べる頃には、来ると思ってたよな また…四葉に怒られそう… 「秀真君、部屋着も可愛い?」 「はい…」 「じゃ、秀真君もシャワーどうぞ」 「先輩…俺は別に…」 「大丈夫大丈夫。うちの親、深夜みたいな時間じゃないと帰って来ないから…」 「いえ…そういう事しなくても…」 「でも、しないと分からない事…あるでしょ?」 さっきまでの雰囲気とは違う 少し真剣な 必死にも見える先輩に… また、何も言えなくなってしまった シャワーを浴び終えると 先輩の部屋へと連れてかれた 女の子らしい可愛い部屋 「見て見て~。可愛いでしょ?選り取り見取り~~♪︎ここ、置いとくね」 色んなパッケージのコンドームを 嬉しそうに見せてきた ベッドの頭元に置くと 「ね…しよ?」 そう言って…俺の上着を脱がせ出した 「今日…知り合ったばかりですけど…」 「だから、知ってくんじゃない」 俺のネクタイを外し… シャツのボタンを外してく 「俺がまだ、どんな人間か…知らないのに?」 「エッチしたら…大体分かるよ」 そう言って、可愛いらしい部屋着を脱ぎ捨て 下着だけになると 俺の足の上に乗って、キスしてきた キスしながら… 俺のシャツを脱がせてく 「ね…ブラのホック…外して?」 言う通りにすると… そのまま脱ぎ捨て 俺に抱き付いてきた 「秀真君…しよ?」 何とも言えない複雑な気持ちで、家に帰る とても…ユウの家に行く気にはなれなかった このまま俺が、先輩を好きになれたら 全てが解決するのだろう ユウも…先輩も喜んで 皆が笑える ユウが笑えば、俺も嬉しい 先輩を… 真剣に好きになってみよう

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