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嫉妬

「…シュウ……キスして欲しい」 びっくりした ユウが…俺に… キスして欲しいって言った? 「……いいの?」 「うん…して…」 そんな顔で言われたら… 我慢なんて出来ない 「んっ……んっんっ…」 ユウ… ユウ… 全然違う 同じキスなのに 全然違う ユウ…好き… 好きで居ていい? 好き…好き… 全然抵抗しない 気持ち良さそうに 俺にキスされてる 「ユウ…倒していい?」 「うん…」 寂しかったから? それで、俺にこういう事されても嬉しいって 勘違いしてる? うっとりしてる様にも見えるユウを ゆっくりと押し倒す ユウの柔らかい髪… ユウの柔らかい頬… ユウの柔らかい唇… 気持ちいい 気持ちいい 「はぁっ…ユウ…」 1度唇を離して、ユウを見ると… っ! 「はっ…はぁっ……シュウ…」 気持ちいい シュウ…もっと… もっと欲しい 「~~~っ!」 思わずユウに抱き付く 勝手に…都合のいい台詞が… 「…シュウ?」 「っ…ごめん…ちょっと……喋んないで…動かないで…」 「…うん」 ユウを… 無理矢理抱いてしまいそうだ このままユウに擦り付けて ユウの胸…触れて… ダメだ ユウにそんな事許さない ユウが望んでないのに そんな事絶対ダメだ 俺の言う通り 俺に抱き付かれたまま、動かずに待っててくれたユウのお陰で しばらくすると、収まってきた ようやくユウから退けると なんか、ユウが勘違いしてる感じだった こんなに早く別れたって言ってるのに 彼女と別れた事、気にしてるんだ ユウの反応見てこうなってるのに 不思議そうな顔をしてる 「よく分かんないけど……シュウのキス…前より気持ちいい」 「っ!……そ…なの?」 ちょっと待って そんな事言われたら、期待してしまう 「うん…シュウ…上手くなった?」 上手くって… ユウ以外としてたからみたいな… 先輩としたけど…そうじゃない 「ちっ…違う!前と同じ様にしかしてない…」 「……そうなの?」 そうだよ なのに、気持ちいいって思うのは…… 「……ユウ…なんでキスして欲しかったの?」 「…なんで…か……自分でも、よく分からない」 分からない… でも、そう思ってくれたんだ 「…そう……教えてくれて、ありがと」 「うん…?」 ユウの分からない気持ちが なんだか、凄く嬉しかった 嬉しくて笑ったら ユウも嬉しそうに笑って また…嬉しくなった 家に帰ると コンコン 「シュウ」 「朔兄…どうぞ」 優しい朔兄 あまり話すのが得意じゃない俺の事を、いつも気にかけてくれる 「ちゃんとユウと話せたのか?」 「うん」 「そっか…大丈夫か?」 大丈夫… だったかと言われると… ちょっと危なかった 「ユウが…キスして欲しいって言ってきた」 「……は?!」 「キスしたら…前より気持ちいいって言われた」 「そ…それってもう……」 「ユウは…なんで、そう思ったか分からないって言ってた」 「………はぁ…まあ…ユウだからな…そっか。でも、まあ…とりあえずユウと普通に話せてんなら良かった」 ユウみたいに可愛い弟じゃない 話だってそんなにしない なのに、幾つになっても 俺を本当に心配して、元気付けてくれる 「朔兄…いつもありがとう」 「何かあったら、いつでも言うんだぞ?」 「うん」 朔兄と大和は、こんな俺を まるで、ユウみたいに可愛いがってくれる 少し恥ずかしいけど嬉しい 小さな頃思った 俺は、朔兄が可愛いがって、守ってくれる じゃあ、朔兄は? 朔兄は、誰に可愛いがって、守ってもらえばいい? けど… 可愛いがるとか、守るってのとは違うけど 朔兄の傍には、いつも大和が居た 「朔兄…」 「なんだ?」 「大和と…学校別になっちゃって…寂しくない?」 「は?!キモい事言うな!シュウとユウの関係とは違うって言ったろ?」 「うん……でも…いつも一緒だったから…」 朔兄がそうである様に 大和にとっても、朔兄は、いつも傍に居る存在だったと思うから 「いつも傍に居たくなくて離れたんだ。寂しい訳ないだろ」 「……じゃあ…朔兄は…」 誰に頼ればいい? 誰に甘えればいい? 大和は? 「ん?」 「……何でもない」 「……別に、いつも一緒に居なくたって、連絡は取ってる。土曜は大和と出掛けるし、学校離れたくらいで、腐れ縁は切れねぇよ」 「土曜…そうなんだ…そっか」 「ん…俺達の関係が変わる事はない。心配すんな」 「うん」 なんだ ちゃんと、大和と一緒の時間作ってた だって、大和も 朔兄の部屋じゃないと、きっと気が抜けない 良かった 「え?今日大和、朔兄と出掛けてるの?」 「そうみたいだけど…大和言ってなかったの?」 「全然。まあ…別に言わなくてもいいんだけど」 「四葉は?」 「友達の家で遊ぶって、なんか凄い量の本持ってった」 「ああ…」 何となく、どんな友達なのか察した 良かったな、四葉 「ユウさ…高校何処にするとか考えてる?」 「あんまり…でも、なんとなく大和が行ってる高校行くのかなとか……えっ?!シュウも、朔兄が行ってる高校行くつもり?!」 「いや…俺もまだ決めてないけど…ユウは、考えてんのかなと思って」 「ちゃんと考えてない…でも…高校もシュウと一緒がいい」 「うん…俺もそう思ってるよ」 ユウより、そう思ってるよ ユウがそれでいいなら、俺はユウが選ぶ高校、何処だっていいよ 「はぁ…高校かぁ……来年は、受験生なんだなぁ」 「勉強頑張らないとね」 「う~…シュウは大丈夫だよ。俺は、そんな頭良くないから、必死になって頑張らないと…」 「毎日、一緒に勉強しよ?」 「うん…」 ユウが、じっと俺の顔を見てくる 何? 「聞いても…いい?」 「?…うん」 「シュウの彼女…さん……凄く綺麗で、スタイルいい人だった…」 「うん…?」 「皆…羨ましいって言ってた」 「そうみたいだね」 え? なんで…そんな泣きそうな顔になるんだ? 「俺は…その中の1つも持ってない…」 「え?」 「あの先輩に…勝てる部分なんて見付からない……シュウは…俺の何が好きなの?」 「ユウ…」 勝てるって… 勝とうとか…思ってくれたの? 「ごめん!今のナシ!」 「え?」 「シュウの気持ちに応えられないのに…こんな事聞くのおかしい……俺…どうかしてる」 少しずつ… 気持ち…変化してる? 「そんな事ない。ユウの事、好きだって言っておいて、性別も何もかも違う人と付き合ったりしたら、そんな風に考えて当然。俺が悪い」 「俺は…シュウと付き合ってる訳じゃないから…そんなのシュウの好きにしていいし…俺にこんな事聞かれる筋合いもない」 「俺と同じ気持ちじゃなくても…少しでも意識してくれてるんだって思うと、嬉しいよ」 そう言うと… ユウが、益々困った顔になる 「意識…して……でも、結局は…シュウと同じ気持ちになれないかもしれない」 「当たり前だよ。頑張って、なるものじゃない。結果じゃなく…その過程を真剣に考えてくれてるのが嬉しい」 「ほんとに?期待みたいのだけさせて…終わりかもしれないよ?」 「それでも…ほんの少しでも、俺との事考えてくれたって事だから」 俺より、ずっとそういうのに鈍感で 興味だって、そんなになくて 分からない中で、一生懸命… 「じゃ…じゃあ……言っていい?」 「?…うん…?」 何を? 「シュウと…彼女さん……キスしてるとこ見て……凄く…嫌だった…」 「うん…ごめん」 「俺が、勝手に覗いたから、シュウが謝る必要ない。ただ……なんか…凄く嫌な気持ちになった」 「他人の…それも、自分を好きだと言った人の、そんなとこ見たら、誰だって不快に思うよ」 「……そういうもの?」 「そういうものだよ」 しかも ユウにとっては、衝撃的過ぎる光景だったと思うし… 「……シュウの…声が……」 「俺の声?」 「自分で…気持ち良くなってる時みたいな…声で……あの人に…気持ち良くしてもらってるって思ったら……凄く…嫌な気持ちになって……」 「ユウ…」 「凄く…自分勝手な事言ってるの、分かってる。けど…俺の名前じゃなくて……先輩って言ってたのが…~~~っ…なんか…凄く…っ…嫌だった…」 「ユウ…」 ユウを抱き締める ユウ…それ…嫉妬って思うのは 俺にとって都合良過ぎる? 「ごめんっ……シュウを好きになってくれた人と…付き合って欲しいって…思ってるんだ…ほんとに……」 「うん…」 「だから……~~っ…よく…分からない……喜んで…あげられなかった…」 「うん…」 喜んで…欲しくなかったよ 喜ぶ顔見るのが嫌で、言えなかったんだから 「ねぇ…シュウ……」 「うん?」 「凄く嫌な奴でしょ?…~~っ…嫌いに…なってない?」 「なってない…幼馴染みとしてでも…嫉妬してくれたの、嬉しい」 ほんとだよ 恋人としてじゃなくても そんな風に思ってくれるの、嬉しいよ 「ねぇ…シュウ……」 「うん?」 「…なんで……た……ス………って…思うのかな…」 「何?よく、聞こえなかった」 「………ううん…もう少し…このままで居ていい?」 「うん…」 なんか… キスって聞こえた様な気がしたけど 俺がしたいから、そう聞こえたのかな ユウに好きになってもらいたい けれども ユウは、俺より沢山の事に気付いてしまうから きっと俺と恋人同士になったら 凄く考える事も、悩む事も増えるだろう 「ユウ…」 気持ちは消せない けど…ユウを困らせたくない 「シュウ…」 俺が、ぎゅっと抱き締めると ユウも抱き締め返す 明らかに今までとは違う関係 ユウは… 自分の気持ちに気付いたとして 今までの関係が壊れる事を選ぶだろうか

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