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300%
俺の、好きって言葉に反応するユウ
もう、俺の期待でも、願望でもなく
誰が見ても、そういう事だと思う
なのに…本人は気付いてくれない
自分自身の、今までとは違う変化に付いてくのに必死だから
分かるよ
他の誰が分からなくたって
俺には分かるよ
だって、ずっと1番近くで見てきたから
病気かもって心配してたのに
いざ、そうなったら
嫌だって泣いてしまって
今、ユウは自分の事で必死なんだ
だから待つよ
だけど…
目の前で反応されると
このまま襲ってしまいそうになる
そもそもが可愛いんだ
そもそも…好きで…好きで…好きで…
俺が好きだと言う度に
可愛くなってしまうユウを
いつまで手を出さずに待っていられるだろう
「それじゃ、帰るね」
「うん……シュウ…」
「?」
「えっと……うんと………はぁ…やっぱ、また今度にする」
「…もう少し居る?」
「ううん…また明日な」
「…うん」
何を言おうとしたんだろう
なんか、一生懸命な感じだった
ユウは、一生懸命な事が多い
きっと今は、そうやって考えなきゃなんない事が、沢山ある
俺への気持ちに気付くのは
何番目かの事が片付いた後…
翌日
「お…おはよう…シュウ」
「……おはよう…ユウ」
ユウが、目を合わせない
避けてると言うより
気まずい感じ?
昨日の事があったから?
今さら?
「ユウ、帰ろう?」
「うん」
あ…普通だ
と…思ったけど
2人で歩き出したら、やっぱり違う
考え事してる様に、ぼ~っとしてたり
急に、いつも通り…の様に喋り出してみたり
なんか…危うい
四葉は、出迎えの歓迎は変わらないものの
あとは、ご飯が出来るまで漫画に夢中だ
ユウとご飯支度をしてると
「あっ…」
布巾を取ろうとした俺の手に
ユウの手が重なると
「ごっ…ごめん!」
ユウが、真っ赤になって、手を引っ込めた
可愛い過ぎて、キスしたくなる
「はい、布巾使う?」
「うん…あ…ありがとう」
ユウは…
この反応を、どう思ってるんだろう
四葉…この可愛いの見なくていいのか?
「いっただっきま~~~す!」
元気な四葉に対して
隣のユウは、溜め息を吐いてる
「ん?なんでユウ、元気無くなってるの?」
「元気無くなってないよ」
「じゃあ、疲れてる?」
「う~ん…疲れてんのかな…」
「ふ~~~……ん?!」
「ん?」
四葉が何かに気付いた
なんかピンときた時の顔だ
「ユウ!!」
「な…何?急に大きな声出して…」
「んむ~~~……シュウ君!」
「何?」
「なんで教えてくれなかったの?!」
「ユウがまだ気付いてないから」
「……え?……ええっ?!ユウ!!」
「だ…だから何?四葉、ご飯ひっくり返すよ?」
四葉…
言いたい事あり過ぎて、口パクパクしてるよ
しばらく、俺達を見て
それから深呼吸をした四葉が
「ユウ」
「何?」
「ユウ今…気になる人とか、もしかしたら好きかなぁ…って思う様な人、居る?」
突撃した
ユウが、時間をかけて整理していってる気持ちを…
また混乱してしまうんじゃ…
「~~~~っ…ぃ…居る」
え?
え~~~~?!
居るの?!
いや、居るけど
居るって答え出せてんの?
え?
待って待って
「ユウ!ヤッタ~~~!おめでとう!」
「え…あ…ありがとう…?」
「ユウに好きな人~~~♪︎ユウの初恋~~♪︎」
「四葉…もういいから、ご飯」
それって俺でいいんだよね?
なんか…自信無くなってきた
だって…
俺だったら、なんで言ってくんないの?
俺がユウを好きなのは知ってる訳で
え?
別の人?
いやいや…だって、さっき手が当たっただけで…
「シュウ君シュウ君、ソース取って」
え?
その人の事考えて、俺を見てるとか?
「シュウ君、これ、お醤油!ソース取って!」
え?
俺と居ながら、俺を見ながら
他の人の事考えてた?
「ユウもソース使う?」
「うん」
「はい、どうぞ!」
そんな…
ユウに限って、そんな事ないと思う
けど…分からない
「シュウ…シュウ…」
「あ…ごめん」
「ソース…使う?」
「うん」
「ここ置くね」
直接物を渡すのさえ照れてしまうくらい
そんなに好きな相手は
俺で…合ってる?
ねぇ、ユウ…
俺は、ユウの事分かってるつもりで
肝心な事…分かってなかったのかな
「……ん!シュウ君!」
「え?」
「かけ過ぎ!」
四葉に、持ってたソースを奪われる
確かに…
俺の皿は、ソースの海だ
「いい?!シュウ君の体は、もはやシュウ君だけのものじゃないんだからね?!そこんとこ、ちゃんと考えて!」
「……はあ」
俺…妊娠とか、してませんけど
でも、なんか聞くのも、考えるのも面倒で
適当に返事をしておく
その後も、ユウの態度はぎこちなくて
俺への想いで、そうなってると思うと可愛いらしく見えるが
俺以外の誰かを想ってかと思うと
消えてしまいたくなる
後片付けが終わると
俺と2人なのが気まずいのか
「俺、今のうちにお風呂入って来ちゃっていい?」
ユウは、風呂に行ってしまった
「シュウ君、シュウ君、良かったね!」
「……四葉から見て…ユウが好きなのは、俺だと思う?」
「え?はい?!何言ってんの?シュウ君…明らかに、シュウ君に対して、おかしいでしょ!」
「でも…だとしたら、俺の気持ち知ってるのに、どうしてユウは、言ってくれないんだろう…」
「んむ~~~…それは、ユウだから」
少し考え込んだと思った四葉が
すぐに答えを出す
「…どういう事?」
「だってユウ…そういう好きの前に、シュウ君の事好きでしょ?」
「うん…」
「その好きなシュウ君が、自分を好きだって知ってて、自分もそうじゃないかって気付いた時、きっとユウ…何回も何回も確認すると思う」
確認…
何回も…
「だって、ユウ初恋だもん。ほんとに、シュウ君と同じ好きなのか、きっと自信なんて持てないよ。そして、そうだと思ったのに違ったら…きっと、凄くシュウ君を傷つける事になるから……分からない頭で、きっと考えてる。ほんとにシュウ君と同じ好きなのかって」
「四葉は…同じ好きだと思う?」
「思う。300%」
「…ふっ…そっか」
300って…
どんだけだよ
「シュウ君…1番ユウの近くに居たのに、ユウのタイミングが来るまで、待っててくれて、ありがとう」
「え?」
「言ってしまいそうになったり…襲いたくなったり、する事あるでしょ?」
「四葉…お前、ほんとは何歳なんだ?」
「シュウ君が待ってくれたから、ユウ…最高の初恋出来てる!ありがとう!」
ほんとに嬉しそう
「四葉は、ユウが大好きだな」
「うん。ユウの前では永遠に可愛いくて、無垢な妹だから、忘れないでね?」
「永遠は無理だろ?」
「ユウなら、かなりの歳になるまで思ってそうなんだもん」
「ふっ…そうかもな」
俺達二家族の中の
最年少末っ子のお姫様は
実は、誰よりもお姉さんなのかもしれない
なんだか少し、気持ちが落ち着いた
ユウが風呂から上がり
大和が帰って来て
ユウの両親が帰って来て
「シュウ…」
「うん」
少しぎこちないユウと
ユウの部屋へと向かう
これが、ユウの最高の初恋だと言うなら
その相手が俺ならば
いくらだって待ってやろう
いつもと同じ様に、ユウの隣に座る
ユウ…緊張してる?
あまり、近くじゃない方がいい?
少し覗き込むと
「っ!」
視線に気付いたユウと目が合うと
ユウの体が、ほんの数ミリ浮いた気がした
「ユウ…大丈夫?」
「う…うん」
「えっと…俺…帰った方がいい?」
「えっ?!」
あ…
そういう訳でもないんだ
「あ…シュウが…帰りたいなら……だけど…でも…」
なんか、ゴニョゴニョ言ってる
居て欲しいとは思ってるんだ
「居ていいなら、帰らないよ」
「あ…うん!」
「っ!」
うわ…
不意打ちの、嬉しそうな笑顔…
攻撃力高っ…
「……シュウ」
「ん?」
「…なんか…なんか変な感じになって…ごめん」
「……うん」
「俺…思ってる事あるんだ……それが…本当だったら…凄く嬉しいんだけどさ……よく…分からないんだ…よく分からないのに、言っちゃダメなんだけど……見ると…~~~っ…言ってしまいそうになるっ…」
ユウが、自分の胸の辺りを、ぎゅっとしながら
一生懸命話している
「ユウ…」
「うん?」
「そんな顔して…必死に言葉にしてても…まだ…分からない?」
「~~~っ…だ…だって……万が一…違ってたら…」
「そんなに苦しそうなの…恋で間違いないよ」
「ほっ…ほんとに?間違いない?」
「人を好きになってるのに、苦しいのが、恋だから」
俺がそう言うと
ユウが、涙を浮かべた瞳で、じっと見てくる
「~~~っ…俺…俺っ…多分…」
「うん…」
「シュウの事…す…好きだと思う…」
「うん…」
「幼馴染みとしてじゃなくて……シュウと同じ…~~~っ…ぎゅ~~~ってなる…シュウが…好き…」
「うん…ありがとう、ユウ…俺も好きだよ」
ユウを抱き締める
同じ気持ちで好きだと言ってくれたユウを
愛おしい
「ユウ…」
「~~~っ…シュウ…」
「ユウ…」
「シュウ…~~~っ…シュウ…」
「ユウ…キスしていい?」
「…っ…きっ…きっと……また…なっちゃうよ?」
「いいよ…好きな人…気持ち良くさせたいんだ」
「~~~っ…いい…シュウのキス…好き…」
恋人になったユウ…
あんなに可愛いと思ってたのに
その何倍も可愛いく見える
どうしよう
際限がない
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