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どうしようもない兄達

おかしい… そろそろ、シュウが帰る時間なのに、物音1つしない 俺が風呂に入ってる間に、帰ったのか? ヴヴ ヴヴ 『シュウ、ユウのとこだよな?』 さすが、ブラコン… 時間見てるね~ 『そうだと思うけど、物音1つしない』 『ちょっと様子を見て来る』 まあ、俺も気になるしな なんか、こじれて2人して泣いてたりして… コンコン 「ユウ…」 「……………」 「シュウ…」 「……………」 「ちょっと、開けるよ?」 「……………」 そろ~~~っとドアを開けると 2人して寝てたのか… ん? ん??!! これは?! 静かに部屋に戻りスマホを手に、ユウの部屋へと戻る これを取らねば、俺は一生後悔する! パシャ パシャ 全然起きない 可愛いよ~~~ 可愛いよ~~~ 満足行くまで写真に納め 電気を消して部屋を出た 自分の部屋へと入りドアを閉める ベッドへとダイブして 枕に顔を埋めて叫ぶ 「可愛い過ぎんだろ!!」 仰向けになってるシュウ シュウの方を向いて眠るユウ ユウの手は、シュウの首にしがみ付く様になってて そのユウの頭を、軽く触ってる様なシュウ そして、2人共、小さな子供みたいに 無防備な顔で、すやすや眠っていた この興奮を、分かち合わねば 『可愛い過ぎ!』 『鼻血出そうだった!』 撮れたてホヤホヤの写真と共に送ってやる 「はぁ~~~…なんで、あんなに可愛いんだ」 世界一だな ユウの気持ち、伝わったんだかなんだか知らないけど 幸せ過ぎん?あの状況 ヴヴ ヴヴ 『可愛い!』 『何?!アイツら小学生にでも戻った?!』 『可愛い過ぎん?!』 だろ?! だろ?! 可愛い過ぎる写真を堪能しながら  仕方ないので、全部朔にも送ってやる 多分あいつも、今日は寝るまで堪能するだろな 小さい頃、よく、ああして2人で寝てたよな どっちかが、どっちかにしがみ付いてたり 何故だか、シュウの上に垂直になってユウが寝てたり 兄弟…って言うか もはや双子みたいに育ったせいか 言葉を話す様になってからも たいして話をしてなくても、同じタイミングで2人して笑い合ったりしてて 不思議だなと思って見ていた事を思い出した 『起きないだろうから、シュウこっちに泊めるって伝えといてくれ』 2人は、どんな夢を見てるのかな あんな顔して寝てるって事は ユウ、気持ち伝えたのかな 「はぁ…」 あの2人が幸せだと思うと なんとも言えない幸せな気持ちに包まれる 神様…可愛い弟達を与えてくれて、ありがとうございます 翌朝 目覚めると、ユウの部屋から話し声が聞こえてくる 時々笑い声… ああ…きっと、上手くいったんだ 良かったな、シュウ 朝ごはんを食べると、シュウが帰って行った すると、すかさず四葉がユウに近付く 「ユウ、ユウ…シュウ君と何かあった?!」 「えっ……と……うん…あった」 「だよね?!何?何??」 「あ…えっと……あの…実は…」 「実は?!」 「昨日…その……俺も…シュウの事が好きだって…伝えました…」 ユウ… うん 分かってたよ 伝えてくれるだろうなとは、思ってたけど 妹に、こんなに問い詰められる形で告白するとは… 「エライ!!ユウ!!よく頑張ったね!」 「えっと…ありがとう」 「はぁ~~~…ようやく四葉の理想の世界が…」 そう言って、四葉は夢の世界に入ってしまった 鼻血出すなよ あ、後で昨日の写真送ったげよ 「良かったな、ユウ」 「大和…色々ありがとう」 「シュウ、喜んでたろ」 「うん。凄く……だから、俺も凄く嬉しい」 「ふっ…うん。凄く嬉しそうだ」 「うん!」 こんな可愛い2人が付き合ったら 一時も見逃せない 全部見たい 盗聴器くらい設置してもいいかな 「今日は?シュウと遊ぶのか?」 「うん。お昼なんか食べて、少し外歩こうかって」 「そっか。楽しんどいで」 「うん!」 あ~ 付いてきたい 朔の奴も、絶対思ってる 付いてこうかな と、言う訳で 「いや、やっぱ良くないって、大和」 「何、今さら自分だけ、誘われましたみたいな事言ってんだよ」 「いや、俺は最初から、良くないって言ってたぞ」 「良くないって言いながら、ここまで付いて来てんのは誰だよ」 「だってさ……そりゃ…気にはなるだろ」 決行すると決めたからには ちゃんと任務を遂行して欲しいのに いつまでもうるさい奴 「はぁ…シュウの笑う回数が、信じられないくらい多い。相当嬉しいんだろなぁ…」 「その、シュウの笑った顔見る度に、ユウの顔が真っ赤になってる。ユウの心臓大丈夫かな」 「今日さ、シュウ…ちゃんと報告してきたんだよ。ユウに好きだって言われたからって。良かったなって言ったらさ…すっげぇ嬉しそうに笑ったんだ…あ~~~!可愛い!!」 「うるっせぇな。声のボリューム考えろ、馬鹿」 「あ…」 馬鹿は、ほんと困る が、確かにそれは 俺が想像しただけでも、相当可愛い 「お、あそこで昼か」 「ハンバーガーは、学生の味方だからな」 「俺達も入るか」 「え…俺、今日は飯の気分」 「あ?なんで、お前の気分に合わせなきゃなんねぇんだよ?」 馬鹿は、ほっといてと さっさと店に入ろうとすると 「いいだろ!すぐ近くにさ、定食屋あるんだ。俺、あそこ行ってみたかったの。食べたらすぐ出て来るからさ。な?!」 「おい!引っ張るな!」 「まあまあ。絶対旨いから」 「目的忘れんな!今、旨さとか求めてねぇんだよ!」 「はいはい、いいからいいから」 「馬鹿力が!離せって!おい!」 「生姜焼き定食がお1つ。海老フライ定食がお1つ。以上でよろしかったですか?」 「「はい」」 結局、入ってしまった 馬鹿力に引きずられて来た定食屋は、確かにメニューも豊富で、美味しそうな匂いがしている 「あ~~~…腹減った」 「お前は、1日中減ってるだろ」 「まだまだ成長期だからな」 「まったく…見失ったら、お前のせいだからな」 「んな、食ってすぐ出るかよ。しばらく喋ってるに決まってるだろ?」 そうかもしんないけど その喋ってるとこも見たかったのに 「それにしても、相変わらずお前の嗜好はお子ちゃまだな」 「は?海老フライのどこが、お子ちゃまだよ」 「だってお前…こういうとこ来ると、絶対海老フライ定食か、ハンバーグ定食だろ?変わってねぇなぁ」 「別に…大人だって食うだろが」 「ああ…はいはい、そうですね」 ムカつく 朔のくせに、何大人ぶってんだよ 「お待たせしました。海老フライ定食のお客様」 「はい」 うわぁ~ 俺好みの海老フライ定食だ 山盛りのキャベツに、たっぷりのフレンチドレッシング その手前に綺麗に並べられた海老フライ達にも、たっぷりのタルタルソース そして、可愛いらしく添えられたミニトマト 完璧 「ぶっ!」 「ん?」 「おっ…お前……その顔…くっくっくっ…ユウ達に見せてやりたい…くっくっくっ…」 どんな顔してたんだ、俺… ヨダレは垂れてないぞ けど、これを目の前にしてしまったら、仕方がない 「いっただっきま~す!」 「いただきます」 「……んっま~~~!」 「…ん…美味し…んっ……美味し…」 見た目だけじゃなく 味も完璧です 素晴らしいです 最高の海老フライ定食です 「…っはぁ~~~…旨かった~」 「確かに、最高の海老フライ定食だった。お前にしては、いい店見付けたじゃん」 「一言余計なんだよ。やっぱ、俺の勘は当たってたぜ。次はトンカツ定食も食いたいなぁ」 「よく、この満腹な状態で、そんな話出来るな…」 こいつの満腹中枢は、イカれてんのか? …と、ゆっくりしてる場合じゃなかった 「おい、行くぞ」 「え~?まだ動きたくねぇよ」 「うるさい。お前と飯食う為に出て来たんじゃないんだ」 「へぇへぇ…んじゃ、行きますか」 さっさと店を出て、さっきの場所へと戻る え~っと…この辺から見える位置に座ってたはず 「あれ?居ねぇな」 ほんとに…居ない 「おい…」 「何だよ」 「お前のせいだぞ!」 「何だよ!お前だって、海老フライ堪能してただろが!」 くっそ~! まさかの、こんな早い段階で見失うなんて 馬鹿の言う事なんか聞かなきゃ良かった 「どうする?家で待機でもする?」 確かに… いずれは、家に帰って来る そしたら、ユウの部屋でイチャつくかもしれない 「はぁ…俺の部屋で待機だ」 「随分早く出てったな。なんか映画とか、予定あったんかな」 「さあな」 「そんな怒んなよ。旨かったろ?海老フライ」 「…それは…美味しかったけど…今日じゃなくて良かった」 「まあまあ。あの2人こそ、これからいつでも尾行出来るって」 尾行する気満々だな まあ、俺もだけど 「あ、コンビニでアイス買ってく」 「はあ?お前、満腹で食い物の話すんなとか、言ってなかった?」 「アイスは別腹…ってか、あれは溶けるんだから関係ない」 「いや…俺は胸にきそうだから、いいわ」 アイス食べた方が、満腹感もスッキリするのに それが分かんないなんて、おかしな奴 さて、今日はどんなアイスにしようかな

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