85 / 132

朔の看病

ユウが風邪を引いたって事で、しばらく接近禁止命令が出て、見てらんない程落ち込んでたシュウ ようやく、ユウが治って良かったなと思ってたら 金曜の夕方 『熱出た』 『日曜まで俺の面倒見ろ』 悪魔から連絡がきた 「…って事で、ちょっと行って見て来るわ」 「この前まで、ユウ君が寝込んでて大変だったから、皆疲れちゃってるのかもね~」 なるほど… 「でも俺、看病なんて出来ねぇけど…ってか、俺がうつる可能性…」 「大和君がして欲しい事だけしてればいいのよ。朔がうつったら、シュウも覚悟するしかないわね」 覚悟するしかないわねって… うつる前提じゃん 仕方ないので、念のためマスクをして、大和の元へ… 「あら、朔君。大和に呼ばれたの?」 「はい。日曜まで面倒見ろと…」 「あの子ったら、すぐ朔君に甘えるんだから。傍に居てくれるだけで、安心するのね。咳き込んできたら避難よ」 傍に居てくれるだけで安心… とは、思ってないよ?おばさん そんな可愛い息子だと思ってるの? 階段を上ってくと… なんか話し声が聞こえる コンコン 「はいは~い!」 え? 大和の部屋から、元気に四葉が出て来た 「四葉…大和の看病してたのか?」 「うん!ユウと一緒に!」 言われて中を見ると 横になってる大和の傍には、ユウが座ってる 「朔兄…大和が心配で来てくれたの?」 「ああ…いや…」 俺を召喚した事言ってねぇのか 「ユウは、元気になったんだな」 「うん。俺は、免疫あるから傍に居ても大丈夫なんだ。だから今回は、俺が精一杯大和のお世話するんだ」 あ~… なるほど 「ユウと同じだとしたら、ここから1週間位調子悪いんだろ?日曜までは、俺が面倒見るからさ。ユウは、それまでに体調完璧にしとけよ」 「俺、もう全然大丈夫だよ」 「病み上がりは、体調崩しやすいだろ?それに、咳込んだら俺も避難しろって言われてるから、それまで限定だ。あとは、ユウに任せる」 「うん…」 納得いってないな しかし、大和の表情からして、大和も限界そうだ 「熱がある間は、大和の体支えれる俺の方が都合いいだろ?」 「……う~…いつも俺がしてもらってばっかだから、今回はいっぱい役立とうと思ったのに~」 「役立ってもらうさ。手貸して欲しい時呼ぶし。けど、熱がある間は、ユウと四葉じゃ大変な事あるだろ?」 「……俺が、もっと大きくて力があったら良かったのに…」 すっかり、ガックリしてしまったユウの頭に手を乗せて 「ユウ…薬、下から持って来といて」 「うん…」 「土日しっかり休んで…月曜からは、学校帰って来たら、おばさんのお手伝いしてやれよ」 「うん」 ようやくユウが、渋々四葉を連れて部屋を出て行った パタンとドアが閉まると 困った様に笑ってた大和が、すぐに目を閉じた 「馬鹿じゃねぇの?具合悪い時くらい、弱いとこ見せろよ」 反撃する力もないらしく 1ミリも動かずに熟睡した大和 「その、1人我慢大会…いい加減終わりにすりゃいいのに…」 ユウも四葉も、心配してお世話したいってのが1番だろうけど 大和の弱ってるとこを見たいって気持ちも、あるだろうに 階段を上って来る音が聞こえてくる ドアを開けると、ユウが薬を持って来た 「サンキュ」 「4時間位前に飲んだって。6時間経ったら、また飲んでもいいみたい」 「分かった」 「なんかあったら、俺、寝てても起こしてね?」 「分かってる。けど、今はゆっくり休んどけ」 「うん…」 しょぼんと肩を落として、ユウが自分の部屋に入って行く 悪いな… ユウの気持ちも、分からなくもないが お前の兄ちゃん、馬鹿な我慢大会開催してるからさ ユウ達が居ると、どんだけ具合悪くても、休めないんだわ 「……ん……んっ…」 「寒いのか?」 大和が、布団の中で体丸め始めた 「ん…」 目を瞑ったまま、小さく頷く 俺の布団の他に… 毛布発見! 「ほれ、毛布掛けとくぞ」 「…ん」 眉間に皺寄せて 耳まで布団にくるまって こりゃ、ユウ達に見られたくないだろな そして、絶対にユウ達が見たいやつ さてと… 自分の布団を敷いて 一応、真っ暗にしない方がいいか まだ眠くもないし 適当に、スマホゲームなんかしてると コンコン 「朔君、大丈夫?」 おばさんだ ガチャ 「今は寒がってるので、毛布掛けてやりました」 「そう。ありがとう。朔君も無理しないで、何かあったら、夜中でもおばさん達のとこ来てね」 そう言って、おばさんが去って 1時間位すると 「はぁ……ん……はぁ……」 バサッ! 「うおっ…」 大和が、突然布団と毛布を、物凄い勢いで吹っ飛ばした 「暑いのか?」 「はぁ…暑い…」 うわ… めちゃくちゃ機嫌悪い! はぁはぁしながら、大和が起き上がる 「何かすんのか?」 「……着替えるだろが」 「ああ…着替え出すか」 とりあえず、電気を点けると 「…眩しい」 「いや…でも、暗いと探せな…」 振り返って見た、大和の顔と言ったら 目で人殺せんじゃないかって顔で… 「もうちょい…暗くするな…」 「はぁ……はぁ……」 苦しいんだろうけど やべぇよ、その顔 「ほら、着替え」 「……脱がせろ」 「え?マジで?」 でも、確かに座ってるのがやっとって感じで 目は半開き 今にも倒れそうだ 上を脱がせると 腕1本上げるのも、だるそう すげぇダメージだな 「上着せたけど?下どうすんの?立てるのか?」 そう聞くと パタンとベッドに横になった 「ん?下は取っ替えなくていいのか?」 「……はぁ…早くしろ…」 あ、この状態で取っ替えろってか 「はいはい…」 ったく、俺じゃなかったら、こんな態度取らないだろうに… もうちょい大切に扱えよ 下を脱がそうとして… 「あ…」 パンツまで一緒に下がると ガッ! 「いてっ!」 こいつ! 座ってる元気もないくせに 俺を蹴りやがった! 「はぁ…余計な事…すんな…」 「誰が、好き好んでお前のパンツなんて下げるかよ?!ちょっと一緒にずれただけだろが!」 「はぁ……はぁ……」 全然納得いってない顔だが そのまま動かなくなった 今ので、全ての力を使い果たしたのか 「ったく…大人しくしてろ」 着替え終わると 「……洗濯機…」 「入れとけばいいのか?」 「……はぁ…喉…乾いた…」 「何…スポドリ?」 こくこくと頷いてる 「ほれ、熱計っとけ」 体温計を目の前に出すけど、動かない 仕方なく脇に挟めて、部屋を出る あんだけ具合悪いのに 四葉とユウが帰って来てから、強がってたんだろな 優しい兄ちゃんの顔してたけど、既に一言も発してなかったもんな スポドリを持って、部屋に戻ると 眠り始めようとしてる 「おい、熱は?」 「……知らねぇよ」 「は?!」 なんでキレてんだよ?! 仕方なく、体温計を取り出すと 「え…」 39.8℃ ヤバッ! そりゃ、機嫌も悪くなるわ! 「おい、頑張って薬飲め」 「…………」 「おい、ほら、手伝ってやるから…」 無理矢理、大和の体を起こす 「………痛い」 「あ?仕方ないだろ」 「…関節……っ…痛い…」 「えっ?」 何…こいつ… 泣いてんの? 「熱…かなり高いからな。だから、薬飲むぞ」 「っ……体…全部痛いっ…」 「分かったから。薬飲んだら効いてくるから」 「っ……ふっ…うっ…やだ…」 「何がだよ…とりあえず薬飲めばいいんだって」 「お前には…分かんないだろ…っ…」 訳分かんなくなってるくせに 上から目線かよ 埒が明かないので 大和の口を開けて、薬を放り込む 「ん~っ!」 「ん~っじゃねぇ!さっさと飲め!」 大和の口に、スポドリのペットボトルの口を付ける 「ん~…んっ…んっ…」 飲み始めたら、静かになった 喉乾いてたんだから、当たり前だ なんて、たちの悪い病人なんだ コンコン え… こんな時に誰? 「朔兄…大丈夫?」 ユウか… ちょっと騒いだから、気になったか 慌てて、大和を横にして布団を被せる ガチャ 「ユウ…起こしちゃったか?」 「あれ?大和の声も聞こえた気がしたけど…」 「おお。汗かいたから、着替えて薬飲んで寝たところだ」 「そっか…何か手伝う事ない?」 「大丈夫だ。俺ももう寝る」 「そっか…おやすみ」 パタン 「…あっぶな…」 大和が泣いてるとこ、見せるとこだった 慌てて頭まで被せた布団を、剥がす 「おい、大丈夫か?」 「………」 「もう、熟睡か」 大和の触り心地のいい髪に触れる 「こんな熱出る事ないもんな…泣く程痛いのか?」 優しく撫でると 「ん…」 「ふっ…悪魔も寝ると天使なんだよな…」 さてと、あさってまでか 俺も寝れるうちに寝とかないとな

ともだちにシェアしよう!