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パラレルワールド

なんか…息苦しい… 喘息発作? 咳…してない 心臓…調子悪いかな… ? なんか、口に入ってる だから、苦しいんだ 何これ? あれ? 手…動かせない なんで? ああ、これ… 蓮が死ぬ前か 体動かなかったもんな ?! 誰? なんで、そんなとこ… 看護師さん? でも…触り方… や…やだ… やめて… そういうの…シュウじゃないと 「すっげ~…こっちも、勃ってきたわ」 「最高だな」 ?! これ…知ってる… こいつら… そうだ… 俺… 「さあ、続き…しよっか」 やだ! やめて! こんなの夢だ こんな事ある訳ない これは夢だ こんな怖い事 起こる訳ないんだから ぱちっ… ……あれ? これは… この、見慣れた光景は… ピッ…ピッ…ピッ…ピピピピ!ピピピピ! 「先生VTです!」 「胸骨圧迫開始します!」 この、聞き慣れた音のする この場所は… 急患室? 俺の心電図…正常 酸素もバッチリ ……なんで俺… 急患室に居るんだっけ? どこも、何ともないぞ? 全然苦しくないもん ここに来た記憶がないって事は、倒れて救急車で運ばれて来たのか? なんで… 何処で倒れたんだっけ? シャッ… 「あっ!気が付いた?」 「…はい…あの、俺…救急車で運ばれて来たんですか?」 「…そう…何処か痛い所は?」 「どこも痛くないけど…俺…怪我したんでしたっけ?事故?」 おかしいな さっきから、救急車に乗る前の事、思い出そうとしてるのに、思い出せない そもそも、今日は何してたんだっけ? 「えっと……あっ…とりあえず、先生呼んで来ますね」 「…はい」 今日は… そうだ 今日は、休みで、久しぶりにシュウと出掛けて… そうだ、そうだ 楽しくて、楽しくて…… え? それで、なんで、こんな事になってるんだ? 何か……… 何か、あった様な気がする なんだっけ? 「穂積君、目覚めたんだね?」 「先生…俺…目覚めてますよね?」 「ん?どういう事かな?」 「なんか…どうしてここに居るのか、全然思い当たる事が無くて……夢見てるのかなって…」 「……よし、穂積君。ちょっとテストだ」 「テスト?」 先生は、名前とか、生年月日とか、今日の日付とか、聞いてきた 「うん。正解。今日の日付まで、合ってるんだから、夢じゃないだろ」 「…そうですか」 「じゃあ、今日何してたか、覚えてるかな?」 「それが…シュウ…幼馴染みと出掛けて、ゲームしたり、ご飯食べたり…凄く楽しかったのは、覚えてるんですけど…」 シュウは? シュウと一緒に居て… 何かがあったんだっけ? 「ねぇ、穂積君…顔…痛くないかい?」 「顔?顔…あっ…痛っ…!」 適当に顔を触ったら 左頬の辺りが、めちゃくちゃ痛い! 「うん。顔ね…怪我してるんだ」 え? 何これ? 俺…何かにぶつかったの? 落っこちた? なんで、こんなに痛いのに、気付かなかったんだろ? なんか俺…変 「穂積君…どうして、その怪我したのか…覚えてないかい?」 「それが、全然思い当たる事なくて……俺…頭打ったんですか?」 「頭は、打ってないと思うんだけど…頭痛かったりするかい?」 「いいえ…痛くないです」 何? まるで、パラレルワールドにでも来たみたいだ 俺の知らない現実がある まさか、何かのキッカケで また蓮になってた? 「あの…俺と一緒に幼馴染み居ませんでしたか?」 「居たよ。今は少し、休んでもらってる」 「休んで?…病院で?」 「うん。少し気分が悪くなってしまってね」 「え?…気分…悪くなっただけ?休んだら、治る?」 「…そうだね…君も、その子も…体はすぐに治るよ」 「…そう…ですか…」 シュウは、俺と違って、めちゃくちゃ健康で 具合悪くなる事なんて、滅多にない なんか… 狐につままれた様って、こういう事言うのかな 話が、ふわふわしてて、全然見えてこない 「とりあえず、ご家族心配してるから、呼んで来るね」 「家族…はい…」 そりゃ、そうか 救急車で運ばれたら、家族呼ばれるよな なんか…モヤモヤする 思い出せそうで…思い出せない 左側…こっち側に… 何か衝撃が… 「っ!」 「結叶!」 「っ…母さん…父さんまで…心配かけて、ごめん」 今、一瞬… 顔に当たる物が… 一瞬思い出せそうになったけど…… 「~~っ…大丈夫?」 「うん。ちょっと痛いだけ」 「そう…」 母さんが、優しく抱き締めてくる すっごい心配させてたんだ 「父さん、四葉は?大和と居るの?」 「ああ…大丈夫だから、今は結叶の事だけ考えていいんだ」 「それがさ…俺、よく覚えてなくて…また蓮になってた訳じゃないよね?それに、あのシュウが気分悪くなったって何?何があったの?」 「結叶…お前…」 父さんと母さんが、驚いた様に、顔を見合わせている 「先生…?」 父さんが、先生の方を見ると… 「ご家族に会われたら、どうかと思ったんですが……どうやら、怪我した前後の記憶が、すっぽりと抜けてる様ですね」 記憶が…すっぽりと… そんな、一部分だけ? そんな事あるんだ あまりにも、衝撃的な事があった時、そういう事があるらしい それで、ようやく納得 「先生…体が元気なら、記憶飛んでても、帰っていいですか?」 俺が、そう聞くと 「う~~ん…それはそれで、ほっとく訳にいかないんだよ。帰ってもいいけど、ちゃんと専門の先生に診てもらえる様に手紙書くから、そっちの先生のとこ、行ってくれるかい?」 「分かりました」 そういう専門の先生も居るのか 色んな先生が居るんだなぁ… 「先生…東雲君も目覚めました」 東雲君…シュウだ! 「シュウ…大丈夫ですか?」 「大丈夫だと思うよ。君の元気な顔見せたら、もっと大丈夫だと思うから、一緒に行こうか」 「うん!」 どうやら、シュウのおじさんとおばさんも来てたみたいで、報告がてら、一度父さんと母さんは、待合室へと戻された 「東雲君」 「あ…すいません…」 「シュウ!」 「っ?!…ユウ!」 シュウの目が 過去一大きく、見開かれた 「シュウ…気分悪くなったって?どうした?」 「…ユウ…どうした?って……ユウは?…~~っ…ユウは…っ…気分悪くない?怪我…痛くない?」 「なっ…何泣いてんの?!どうした?ほら…大丈夫だから。俺は、顔が少し痛いくらいで、全然平気。あと、怪我した時の記憶が、すっぽり抜けてるみたい」 「………え?」 泣き出したシュウの手を握ってやって、そう伝えると、また驚いたシュウが、目を大きくした 「記憶…抜けて…?」 「な?そんな事あるんだな?怪我したのも忘れてたせいか、目覚めた時、全然痛くなかったわ。不思議だよな~」 「……え?…その怪我…した事だけ…忘れたの?」 「シュウと、楽しく遊んだり、ご飯食べてたのは覚えてる。その後、気付いたら此処だよ。パラレルワールドに来たみたいだ」 「………………」 シュウが、固まってしまった それから、何も言わずに、先生の方を見た 「そういう事だそうだ。これは、体が良くなって終わりじゃない。君の分も手紙書いておくから、必ず心のケアをする先生に診てもらう事。いいね?」 「……はい」 心のケアをする先生 頭じゃなくて? 診療科って、複雑で難しい とりあえず、俺もシュウも、元気は元気なので お互いの親に、先生からの話があって、例の手紙という物が出来るまで待って… 「ユウ…ほんとに痛くない?」 「うん。こんなの、全然我慢出来るよ」 「うん……寒くない?」 「大丈夫だよ」 待ってる間中 シュウが、隣に寄り添う様にして ずっと俺の心配をしてた 「シュウは、俺が怪我した時、そこに居たのか?」 「っ?!……居なかった……~~っ…ごめん…」 「え?なんで、シュウが謝るんだよ?たまたま、そこに居たかどうかだろ?…ってか、俺…シュウと離れて、どっか行ってたのか?」 「……トイレ…行くって…」 ドクン… トイレ…… なんか… なんだろう… 「ユウ?」 「…あ…そっか…それは、仕方ないだろ」 「だけど…もっと早く気付いてたら…」 「そんなの…超能力者でもあるまいし…」 あれ? 超能力… なんか… 引っかかる モヤモヤする 頭の中に 霧が、かかってるみたいだ 「……痛く…ない?」 「え?」 握ってた手を離して シュウが、俺の手首に触れてくる 「手首?なんで?痛くないけど?」 「……~~~っ…ユウ…」 「シュウ?」 俺の手首に、顔を埋め始めた 何? 「なんかまだ…気分悪いのか?」 「~~っ…違うっ……俺は…大丈夫…」 「そう?なんか、調子悪いなら、病院居るうちに、言っておいた方がいいからな?」 「~~~~っ…んっ…ユウもだよ…」 「俺は、病院のプロだから、分かってる」 シュウが泣いてるのは 気分悪くなったのは 俺が、無くした記憶のせい? 何があった? だけど、どこかで知りたくないって思ってる きっと、何か大きな事で 救急車で運ばれて、シュウが気分悪くなる位 何か大きな事で 知らないまま 忘れたままの方が いいんじゃないかって 何処かで思ってる 知ってしまったら シュウが もっと泣く事になるんじゃないかって… なんとなく、そう思った

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