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整えろ
眠ろうと目を瞑ると、あの時のユウが出て来そうになって
それを思い出してしまうくらいなら、あいつらの顔思い出さなきゃ
ユウは、眠れてるだろうか
急に、思い出したりしてないだろうか
震えて…ないだろうか…
「……っ」
ユウ…何処?
「……やっ…やだっ…」
っ!
ユウ!
何処?!
「やっ…~~っ…シュウ…」
何処?!
ユウ!
「シュウっ…シュウ!」
居た!
っ?!
何…これ…
ユウ…
何されたの?!
ガバッ!
ユウが…
ユウ…
ユウの全部…見られた
夢…だけど
夢じゃない
ほんとに…
「~~っ」
あれは、実際に俺が見たユウ…
「…シュウ?…大丈夫か?」
全部…曝されて
小さくなって…
泣いてた
「シュウ?」
口…
口の中…
「っ…~~っ…」
ユウの手…
手…後ろで…
縛られ…
「っ…っ……はっ…っ…っ…」
「シュウ?どうした?」
苦しい…
朔兄…
「っ…っ…っ……さっ…っ……るしっ…」
「っ!」
おかしい
普通に息出来ない
病院に居た時みたいだ
苦しい
苦しい
「シュウ…ゆっくり…ゆっくりだ」
朔兄…
苦しいんだよ
ゆっくり出来ない
朔兄が、起き上がってた俺を横にしてくれる
手も足も
痺れてる様な、つっぱってる様な…
勝手に力が入り過ぎてて、ちゃんとした力が入らない
苦しい
苦しい
息出来ない
死ぬのかな
「っ…~~っ…っ…くっ…し…」
「苦しいな?ゆっくりだ…ゆっくり…」
頭…働かない
ゆっくり…ゆっくり…
「っ……はっ……っ…~~っ…はっ…」
「そうだ…ゆっくり出来るか?ゆっくりだ」
「っ…はっ……っ…はっ……っ…~~っ…はっ…」
「そうだ…そのまま…」
きっと、びっくりしたはずの朔兄が
ずっと傍で、ゆっくりって言ってくれてたお陰で
頑張って、ゆっくりしたら
落ち着いてきた
「シュウ…大丈夫か?」
「……ん…大丈夫」
ぼ~~っとする
凄く疲れた
「待ってろ…タオル持って来て、拭いてやる」
「…ん」
全身汗だくだ
なんで、ああなっちゃうんだろう
息出来なくて、死ぬかと思った
横になって、ウトウトしてると
「シュウ…大丈夫?」
朔兄と一緒に、母さんが来た
「………大丈夫」
大丈夫だけど
凄く疲れたんだ
母さんが、下に行くと
朔兄が、ウトウトしてる俺の体を拭いてくれる
もう、グッタリで
瞼も重くて
けど、眠ったら…
また夢見て、苦しくなったらどうしよう
怖い…
「……朔兄」
なんとか、ほんの少しだけ目を開けると
「大丈夫だ。寝てていいぞ」
朔兄が、そう言ってくれて
朔兄は…
大きくなった俺より大きくて…
「……ん」
朔兄が居るなら
大丈夫って思えて…
「シュウ…ちょっと狭いけど、一緒に寝ようか」
ウトウトしてたら
朔兄の声が聞こえてきた
「……ん」
「よし。隣、横になるぞ」
隣に来てくれた
「……朔兄…」
ユウとは別の安心感
朔兄は…兄ちゃんだから…
「怖い夢見たら、すぐに叩き起こせ」
「ん……朔兄…」
ユウは俺を、皆とは別の視点で見てくれるから
それが当たり前だと思ってくれてるけど
朔兄は、皆に俺がどう見られるか、知ってる
朔兄も、俺に少し近いから
だから、見た目で近付いたり、恨まれたり、妬まれたり
その気持ちを、分かってくれる
「……朔兄」
「ん…大丈夫だ」
だから、きっと…
俺が、ユウの事どれだけ大切にしてるかも、分かってる
朔兄…
俺しか知らないから
ちゃんと話さなきゃならないんだ
だけど、あのユウを思い出すと
苦しくなるんだ
「朔兄…」
「ん…大丈夫だから」
大丈夫?
いいの?
今…考えなくていい?
凄く疲れた
いっぱい…考えなきゃなんないのに
考えて、しなきゃなんない事あるのに
凄く…疲れたんだ………
……明るい
朝?
「シュウ?起きたのか?」
「朔兄…起きてたの?」
「少し前にな。少しは眠れたか?」
「うん…ありがとう」
結構、寝た
そして…
起きた途端に、嫌な現実が始まる
「まだ、寝ててもいいんだぞ?」
「ううん…ユウに会いに行く」
「そっか。じゃあ、起きるか」
ユウは、眠れたかな
記憶…
まだ失ったままかな
「シュウ…体の調子は?苦しくなってた時、かなり力入ってたけど、大丈夫か?」
「ん…もう大丈夫」
身支度をして、下に行くと
「シュウ…おはよう。具合は?」
「母さん、おはよう…大丈夫。心配かけてごめん」
父さんも母さんも、目の前で俺が苦しくなって倒れたんだから、心配して当たり前だ
朝ごはん…少しでも食べなきゃ
半分程で止めたものの
昨日は全く手を付けなかったので、少し安心したみたいだ
「母さん…ユウのとこ行っていい?」
「そうね…ユウ君も、どんな状況か分からないから、ちょっと連絡してみるわね」
母さんが連絡すると
ユウはまだ、記憶が抜けてるままらしく…
皆の心配を余所に、意外と元気との事だった
「ユウんとこ行くのか?」
「うん」
「んじゃ、俺も行くわ」
「その方が、お母さんも安心だわ」
結局、朔兄も一緒に、ユウの家へと向かう事となった
ピンポ~ン
ドタドタドタドタ…
「は~~い!」
「四葉…朝から元気だな」
「おはよう!シュウ君、朔兄!」
「おはよう…四葉」
「ユウ、頬っぺは痛そうだけど、元気だよ!」
「そっか…良かった」
このまま、ずっと記憶抜けてればいい
ユウの中の現実では、起きてなかった事になればいい
あんなの…思い出した時
ユウは、どうなる?
「シュウ…朔兄も、おはよう」
「ユウ…」
「おお、元気そうだな。顔、すげぇ事になってるけど」
「喋ってると、少し痛いくらいだよ」
ユウは、我慢強いから
少し痛いは、普通なら結構痛いはずだ
「シュウ、具合は?ちゃんと眠って休んだか?」
「ん…ユウは?眠れた?」
「眠れたよ。1回なんか変な夢見て起きたけど、大和…一緒に寝てくれてたから」
「……そう」
四葉の前だから、大和と寝たのが恥ずかしいのか
ほんの少し、顔を赤くして、そう話す
変な夢?
怖い夢じゃなくて?
「なんかさ、ずっと頭ん中に、モヤかかってる感じで、スッキリしないんだよな。なんか、こう…もう少しで思い出せそうな気がするんだけど…」
「思い出さなくていい!」
「っ……びっくりした~」
「あ…ごめん」
だって、ユウが思い出そうと、頑張ってるみたいだから
あんなの…
忘れておけるなら、その方がいいから
「まあ、忘れてて困る様な事も、大してないしな」
「うん…」
思い出したら、困るんだよ
ユウ…
小さくなって、泣いてたんだから
「ねぇねぇ!四葉、皆でゲームやりたい!対戦するやつ」
「四葉、皆が集まると、そのゲームやりたがるもんね」
「朔兄!やろ!」
「四葉…お前、皆ってか、俺を倒したいだけなんじゃねぇのか?」
「そうとも言う!」
四葉の提案で、ゲームが始まり
皆がゲームに、夢中になり始めると
「シュウ…大丈夫か?」
大和が、そっと横に来て小声で話し掛けてきた
「俺は…大丈夫……ただ…あの時のユウ思い出すと……苦しくなるから…ちゃんと伝えなきゃと、思ってはいるんだけど…」
「無理するな。今は2人共、一度休む時間だ。体も心も」
「うん…」
ユウは、四葉の応援
四葉と、朔兄は、ゲームに熱中している
「ユウが…トイレに入って、鍵をかけると、怖くなるらしい」
「っ……覚えて…ないのに?」
「何処かで、何かを感じるんだろな…今のところ、俺が付き添って、ドア開けさせてる。それでも、不安なのか…俺の名前を呼んで確認する」
記憶を消すだけの恐怖
消してるはずなのに、感じてしまう恐怖
「~~っ…トイレの…個室に…っ…閉じ込められてたからっ…」
「悪い。思い出さなくていい。シュウ…犯人の顔…覚えてるか?」
大和が、俺の肩を抱き寄せて、聞いてきた
「覚えてる…忘れない様に…紙に書いた」
「そうか…俺は、絶対に許さない。未成年だからって、逃さない」
「俺も…毎日思い出してやる…絶対…許さない」
「そうだな。けど…今はシュウも、ちゃんと休むんだ。自分をちゃんと、整えろ」
「……分かった」
自分をちゃんと、整えろ
それは、備えろって言われたみたいだった
ユウが…思い出した時、支えられる様に
あいつらを、見付けた時…
復讐出来る様に
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