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海外ロケとスキャンダル(16)

 あたたかなものに、肌を撫でられている。  舌とも、無骨な掌とも異なる、ざらりとした荒い感触に片方の腕を撫でられ、もう片方の腕を持ち上げられたところで、それがお湯で湿らせたタオルの感触だと気が付いた。  手指の一本一本を根元まで丁寧に拭ったそれは、手首から肘へと上がってきて、肩とその内側の腋窩を撫でられる。  くすぐったさに思わず身じろぎし、それにつられて朧げだった意識がクリアになっていく。  目を開けようとしても、重くて瞼が持ち上がらなかった。  重いのは瞼の腫れの所為だけじゃない。  冷えたタオルの感触を、瞼と額に感じる。そこには何か冷たいものが載せられているようだった。  どうにか手を動かし、瞼に載せられていたものを退かす。  重い瞼を開くと、ぼんやりとした視界が徐々に鮮明になる。随分と時間をかけて、見えているものを認識した。  奥には天井があり、その手前に、僕を見下ろす顔がある。  見下ろしていたのは、三間だ。裸の、三間だった。  そこでようやく、かつてない程の体の気怠さの理由を思い出した。    そうだ。僕は、三間と――……。 「お前が泣きすぎるから、瞼、冷やしてたんだぞ。明日の撮影に響くから、冷やしておいたほうがいい」  瞼の上に載っていたのはタオルに包んだ保冷剤かなんかだったようで、シーツの上に落としたそれを再び瞼に持ってこられて、目を瞑るしかなかった。  ひやりとした感触が気持ちいい。 「――すみません」  笑えるくらい、声もカスカスに枯れている。  明日の撮影は海の中のシーンで、台詞は日本に帰ってからアフレコになることを思い出し、ひとまずホッとする。いやでも、声が問題ないとしても、今この状態で、本当に明日、撮影できるのだろうか……。  今は石のように重い体が、明日になったら普通に動かせるとは到底思えなかった。  繋がって、三間が僕の中でイッた後、ほとんど休憩をおかずに繋がったまま上半身を抱き起された。  向かい合わせに座ってする体勢は対面座位というらしい。その対面座位でキスをし、乳首を弄られているうちに、挿れっぱなしだった彼の雄がまた硬くなり、「自分で動いたほうが腰への負担が少ないから」という理由で、三間の上で腰を振らされた。  結局、最後の方は、完全に仰向けに寝た状態の彼に激しく突き上げられ、僕は何も出さずに、射精を遥かに超える絶頂に達してしまった。直後に三間も僕の中で二度目の絶頂を迎えたところまでは覚えている。その後のことは記憶が朧気だった。  目を覚ましたらこうなっていたから、途中で意識を失くしたことは確かだ。

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