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「えっアズどしたん?こんな朝から来て風邪でも引いたか?」
声をかけたのは東が毛嫌いしている同じ柔道部の吉田だった
「うるせえよ、風邪なら尚更来るかよ。てか話しかけんな朝からむさ苦しい」
吉田を軽くあしらって東は相澤の机に許可も無くドシッと腰掛けた
すると瞬く間にクラスの女子がそこに群がっていく
「えーほんとに珍しい~朝からたっくん見れるなんて幸せ~」
「ねーねーどうしたのー?どういう風の吹き回し~?」
キャッキャッと黄色い声が寝不足の頭に響く
「んーやっぱり学生の本分は学業じゃん?俺も相澤クンを見習って勉強に精を出して行こうかな~っと」
余りにも白々しい声色で、更にはわざとらしく名前を挙げられ頭痛に加えて胃痛まで上乗せされる
「えー?拓海くんって相澤くんと仲良かったっけ?」
「うん!今日から親友になるつもり」
ニコッと爽やかな笑顔でいとも簡単に女子を落としていきそうな営業スマイルを向け、女子たちは何それ?あははっとサルのようにキャッキャっと笑っている
しかしいつまでも無言を貫いている相澤に、でも相澤くん感じ悪くない?と東の取り巻きの一人がわざと聞こえるように言った
「…………。」
くだらない……何が親友だ
無意識に眉間に皺が寄っていく
「ごめんね~コイツちょっと体調崩しててさ~、みんなそっとしてあげて?」
誰のせいだと思ってんだ!
そう喉まで出かかった台詞をグッと堪えた
東は未だに顔を上げようとしない相澤を見兼ねたのか、女子たちにバレないようこっそりと制服のズボンのポケットからスマホを取り出し、昨日の醜態を俺にだけに見えるようチラつかせた
「ーーッ!」
それを見た相澤はカッと顔を赤くし、漸く顔を上げ東をキツく睨みつけた
目が合った東はニヤッと不敵に笑い、何か喋ろうと口を開く、その瞬間ーー
「おい、お前ら何騒いでる!さっさと席に着け!」
キーンコーンカーンコーン
いつのまにか予鈴は鳴っていたのか、本鈴と共に担任の教師が教室に入ってくる
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