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相澤は怪訝な顔でその画面を見ると、午前中の保健室での情事が映し出された画像や動画が、大量に送信されてきたものがそこに映し出された
「ッッ!!」
相澤は顔を真っ赤にしスマホの電源を落として後ろを睨みつける
「わ~怖い顔、相澤クンぐっすり寝ちゃってるからさ~俺の連絡先入れといてあげたよ」
「……………。」
これでもう学校でも家でもコイツからは逃げることができないんだと絶望する
「アハッ良い顔~じゃ、また後で、ね?」
そう言うと東はクラスの女子たちに囲まれそのまま教室を後にした
もうそのまま他の女と朝までよろしくやってろ!そう頭で罵倒するが、声に出す度胸もない自分が腹立たしい
相澤も重い足取りでいつもより重く感じる鞄を背負い、教室を後にした
家にも居場所がない俺は、日が暮れるまで自宅付近の廃れた公園で途方もなく暮れていた
いつもなら単語帳や参考書で授業の予習や復習をするが、今はそれすらも手がつかない
ただボーッと誰も遊ばない滑り台を見つめて、無駄な時間をただ過ごした。辺りはいつの間にか暗くなっていてすっかり夜も更けた
やばい、そろそろ帰らないと
あまり遅い時間まで外を出歩くと、厄介な見廻をしている警察に目をつけられ兼ねない。
これ以上ここまで築き上げた優等生の名に泥を塗りたくはなかった
動きが悪い自身の足を必死に奮い立たせて、自宅までの帰路に着く
帰宅し、玄関の扉に手をかけた時、
パリンッと甲高い音が扉の内側に響いた
恐る恐るその扉を開けると、地面には酒瓶の破片が無数に散らかっている
後少し開けるのが早かったら、これが当たっていたかもしれない
「あぁ?どこほっつき歩いてんだこのボンクラ息子が!今何時だと思ってやがるグズ!」
酒買ってこい酒!と続け様に言うこの典型的なクズな男は、言うまでもなく相澤の唯一の肉親だった
昔から酒癖の悪かったそんな親父を母親は見限り、相澤が中学に上がる前、小学校の卒業式の日に蒸発した。
親父は今でもあのメス豚のせいで、とぼやいては俺を殴り蹴り、酒を飲んではまたギャンブルに出かける日々が続いた
暴力じゃない方の身体に手を出してきたのは、相澤が中学ニ年に上がった頃からだった
母親に似てきたな、と毎晩組み敷かれた
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