19 / 55
.
「はぁー。やーっぱりそういう事だったんだ~?近親相姦とかまじ笑えね~てか超キモイわ」
相澤も驚いて後ろを振り返ると、昨日まで見てきた人物とは別人かのような、凄い剣幕をした東がそこに立っていた
「あ。実は昨日、お宅の息子さんボコボコに殴りつけたんだけど、ぜーったい俺が付けてないアザまであったからなんかおかしいと思ったんだよね~」
そう言いながら東は土足で玄関を上がりこちらに近づいてくる
「そしたらこんな有様なんて。相澤クン、あ、優斗クン大丈夫?まだその汚いのしゃぶってないよね?」
ケラケラと陽気に足を運ぶ東に、怒りでわなわなと震える父親の手が、近くに転がる酒瓶に伸びるのが見えた
「危ない!東!」
次の瞬間、父親が酒瓶を振り上げるよりも先に東が親父の胸ぐらを掴み、一気にそのまま背負い投げた。父親は宙を舞い鈍い音を立てながら床に背中を打ち付ける
ガァッとうずくまる父親に追い打ちをかけるよう更に顔面を蹴り付けその後全く動かなくなった
「あ、大丈夫だよ?安心して?伸びてるだけだから」
呆然と動かなくなったソレを見つめていた相澤に心配そうに東が声をかけた
「え、てかさっきやっと俺の名前言ってくれた?心配してくれるなんて超嬉し~」
ニヤニヤとまたいつものふざけた笑顔に戻った東に、なんと声をかけたら良いか分からずただ黙ってその顔を見上げた
「あ、混乱してる?かわいー」
そのまま東はスマホを取り出し、画面を相澤の前に近づけた
画面にはポイントがこの家に表示されている位置情報の画面が、映し出されていたものだった
「実は相澤クンのスマホにこっそり位置情報アプリとカバンに盗聴器仕込んでおいたんだよねー」
信じられない発言に更に言葉を失う
「そしたらまー案の定というか?相澤クンのドMの原因これか~って思ったらなんかめっちゃ腹が立っちゃって」
その後に東から笑顔がみるみる消えて行く
ともだちにシェアしよう!