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二人の関係は
xxx
「拓海くん、本当にかっこいいね!さっきの凄かったよ!」
「……でも結局負けたし!あ~かっこわり~俺ダサッ!」
「そんなことないよ!僕には絶対無理だもん!それに……また少し背、伸びた?」
「おう!嫌いな牛乳毎日飲んでるし!……早くお前を守れる立派なオトコになりたいし……」
「ん?ごめんなんて言った?最後聞こえなかったよ」
「なっなんでもねーよ!……また、来週も試合見に来てくれるか?」
「うん、もちろんだよ!応援する!」
遠くから声が聞こえる。父さんの声だ
「拓海、ーーー、早くこっちに来なさい」
父さんの隣に立つのは、俺の好きな子にそっくりな女の人ーーー
ハッと目が覚める
また昔の夢
数秒天井を見つめたあと、寝返りを打って横で規則正しい寝息を立てる優斗を見つめる
隣で寝ている姿がまだ現実味を帯びず、これもまだ夢なんじゃないかと片手で優斗の前髪を掬った
長いまつ毛だなぁ、とぼんやりした頭でその寝顔を見つめる。いつまでも眺めていたい衝動に駆られていたが、スマホの通知が忙しなく鳴っていることにようやく気がついた
画面を見るとそこには親父、と表示され通話ボタンが出ている
小さくため息を吐いたあと、東はベッドを抜け、部屋を後にした
「……もしもし、親父?……あぁ、あの女の息子もいるよ。うん……分かってるって!じゃあもう切るよ」
まだ話途中だったろう通話を強引に切り、東は紙タバコを手に頭を掻きながらベランダに向かった
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